アクセンチュアは最新レポート「生成AIによる企業オペレーションの再創造(Reinventing Enterprise Operations with Gen AI)」を公開した。
調査によると、74%の企業(日本では76%)が生成AIと自動化への投資効果が期待通り、またはそれ以上であると回答し、また、63%の企業(日本では95%)が2026年までに生成AIと自動化への投資を拡大し、さらなる機能強化を図る予定であることが明らかになった。
AI主導の業務プロセスを導入した企業の収益成長率は同業他社比2.5倍に
業務をAI主導のプロセスへと進化させた企業の数は、2023年の9%から2024年には16%へとほぼ倍増(日本では17%から21%に増加)した。また、これらの企業は同業他社と比較して、収益成長率は2.5倍、生産性は2.4倍、生成AIの試験導入から本格実装への移行に成功した割合は3.3倍であることも分かった。
これらの「変革に向けた準備が整っている(Reinvention-ready)」企業は、迅速に生成AIの効果を企業活動全体に拡大させている。俊敏性とイノベーションを生み出す基盤であるデジタルコアに、IT (75%)、マーケティング (64%)、顧客サービス (59%)、財務 (58%)、研究開発 (34%)など、ビジネスの中核となる部署で生成AIの活用事例をいち早く開発してきたことも明らかになった。日本国内では、ITおよびセキュリティ(94%)、マーケティングおよびデジタルコマース(82%)、営業(75%)といった幅広い分野での生成AIの活用ユースケースの開発が進んできた。
調査によると、一部の企業ではすでに先端の業務オペレーションが実現されている一方で、64%の企業(日本では62%)は旧来のオペレーション体制からの脱却に苦労している。例えば、データ基盤の構築が遅れているために、61%が自社のデータ資産が生成AIに対応できないと回答しているほか、70%が独自データを使用する事業の規模拡大が困難と回答している。
さらに、オペレーションの成熟度が低い82%の企業では、人材変革に向けた戦略策定に着手していない、人材ニーズを満たす計画がない・新規人材の獲得が進まない、生成AIを活用した業務に備えるための研修が整っていない、などの課題を抱えている。実際、多くの経営幹部(78%)は、生成AIをはじめとする技術の進歩が速すぎて、自社の人材育成が追いつかないと回答している。
企業が業務オペレーションの成熟度を高めるために必要な4つのポイント
アクセンチュアが公開したレポートでは企業が業務オペレーションの成熟度を高めるために必要な4つのポイントを紹介している。
データのモダナイゼーション(近代化)のための、一元化されたデータガバナンスとドメイン中心のアプローチ
・データの作成・管理・活用の方法を理解するために、各ドメインで対象となるプロセスとツールを明確化
・AIツールがデータにアクセスするための、標準化されたプロセスとデータ構造
人材ファーストの変革戦略
・業務の抜本的見直しと、プロセスやワークフローの再検討
・生成AIが顧客サービス、人材サポート、ビジネス成果に最も影響を与える場所を明確化
ビジネスとテクノロジーの両部門が協働して変革を実現
・ビジネスとテクノロジーの両部門がともに当事者として協働し、生成AIが持つ価値を最大限引き出すために、資産、プラットフォーム、製品を開発
・コラボレーションによるイノベーション促進
最先端のプロセスを導入しビジネス成果を創出
・クラウドベースのプロセスマイニングを活用した、内部および外部とのベンチマーキング
・プロセスギャップの可視化と、運用の非効率な点や改善の検討
アクセンチュアのコメント
アクセンチュアのオペレーションズグループ 最高経営責任者 アルンダティ・チャクラボルティ氏のコメントは次の通り。
チャクラボルティ氏
大多数の経営幹部は、生成AIを使って早急に企業変革を進める必要性を理解しているものの、現場の業務オペレーションの体制が整わず大規模な変革に対応する準備ができていません。生成AIは単なるテクノロジーではありません。ビジネスの概念を根底から覆す原動力として企業全体に影響を与えるものです。企業が生成AIのメリットを享受するためには、強力なデジタルコア、データ戦略、そしてビジネスの運用方法を変革するための明確なロードマップが必要です。また、AIを活用したインテリジェントオペレーションの実現には、人材、先端のビジネスプロセスの実践、ビジネスとテクノロジーの部門間の効果的な連携など、首尾一貫した視点が不可欠です。
調査について
アクセンチュアのレポート「生成AIによる企業オペレーションの再創造(Reinventing Enterprise Operations with Gen AI)」は、日本を含む12か国、15業界で2,000人の経営幹部を対象に実施した調査に基づいて作成。
この調査では、企業の業務オペレーションの成熟度を、データの活用、自動化、一般的なAIや生成AIを活用した働き方の観点から評価し、「変革に向けた準備が整っている(Reinvention-ready)」、「知見をベースに取り組んでいる(Insight-driven)」、「自動化が出来ている(Automation)」、「基礎的な状態(Foundational)」、という4段階に分けた。
その後、財務、顧客体験、サステナビリティ、人材、インクルージョンとダイバーシティ、変革、アジリティ(俊敏性)などに関する外部データをアンケート結果と組み合わせて検証。収益成長率の比較にあたっては、調査対象企業の財務実績データを適切な品質検証のもと活用した。インテリジェント・オペレーション・グループごとに特定の会計年度の収益を調査し、この指標に基づいて組織の収益成長率を算出した。
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