
TISは、ピクセルインテリジェンス、ドットミーおよびCyberneXと共同で、没入感のある自動運転モビリティによるポップアップ店舗とAIを活用した商品レコメンド診断により、企業ブランドの世界観を体験できる「ブランドエクスペリエンスポップアップモビリティ」の実証実験を実施したことを発表した。次世代を見据えて、無人のプライベートな車内でのPR効果やAI接客の成果をはかる考え。
実証実験は、2025年3月15日に東京都千代田区丸の内で開催された未来のイノベーションをテーマとしたイベント「UPDATE EARTH 2025」内で実施し、約70名に対し「ブランドエクスペリエンスポップアップモビリティ」のPR効果やAI接客での価値提供等に関する検証を行った。
TISが実証実験の企画・運営、ペルソナバンク(脳波測定オプション)の提供 、ピクセルインテリジェンスが自動運転車「Robo-Shop」の提供、ドットミーがウェルビーイングブランド「Cycle.me」の世界観を活かした体験設計・商品提供、CyberneXが参加者の脳波を測定するイヤホン型脳波計「XHOLOS Ear Brain Interface」の提供を担った。
背景
少子高齢化が進む中、人手不足を背景として、小売業を中心とした企業ではECの増加とリアル店舗の減少が加速している。中でも、リアル店舗での接客や試用を通じて商品の魅力やブランドの世界観を伝えることを重視する商材ブランドなどでは、ブランド・商品の訴求機会の減少が課題となっており、DXによる効率化や付加価値化が求められている。
また、昨今では、顧客のペースを尊重し、販売員による積極的な声掛けを行わない「しすぎない接客」の浸透、多様な付加価値を求める顧客へのアプローチなど、変化する消費市場に対し、ブランドの認知や集客、深いエンゲージメント獲得の必要性を感じている企業は少なくない。
そこでTISは、ピクセルインテリジェンス、ドットミー、CyberneXと共同で、無人のプライベートな車内で一人ひとりに深くブランドの世界観や商品理解を促進させ、AIによる購買アドバイスを提供しスムーズな購買を可能にする新しい取り組みの本格提供に向けて、今回の実証実験を実施した。
実証実験の概要
今回の実証実験では、「Cycle.me」ブランドへの没入感を体感できる専用デザインを施した自動運転車「Robo-Shop」において、参加者に「Cycle.me」の各商品の香りを嗅いでもらい、イヤホン型脳波計を用いて参加者の脳波測定を実施。その結果を受けて、生成AIが顧客ごとの測定結果の説明、商品レコメンドを提供した。
プライベートな車内空間での商品説明や脳波診断、AIによるレコメンドといった新たな購買体験を通じて、ブランドの認知拡大や世界観の伝達、ファン獲得につなげることを目的としている。
実施日 | 2025年3月15日 |
---|---|
実施場所 | 東京都千代田区丸の内仲通り |
参加人数 | 約70名 |
参加者属性 | 起業やイノベーションなど先進的なことに関心のある人(社会人、学生、子ども連れ家族、カップルなど) |
実施内容 | 1組ずつ無人移動販売車に案内し、以下の内容で実施(1組5-10分程度) 1:説明動画視聴 2:脳波測定と生成AIを活用した結果説明と商品レコメンド 3:ブランドイメージ動画視聴・理解 4:サンプリング・ブランドサイト誘引 |
検証内容 | 「ブランドエクスペリエンスポップアップモビリティ」における以下の効果を検証 ・PR効果 ・AI接客での価値提供 ・没入空間の創出 ・ブランドの態度変容 |
検証効果
体験後のアンケートでは、95%が「Cycle.me」に対する「理解が深まった」「好意が高まった」と回答し、購入意欲も85%と高い評価を得た。「Robo-Shop」内での没入体験とAIでのレコメンドにより、深くブランドの世界観を伝えることができたとしている。
1:車内での体験の魅力度
2:ブランドに対する理解や好意、購入意向
PR効果 | ・ブランドの世界観を伝える車両ラッピングや車内ディスプレイで通行人の注目を集めた |
---|---|
AI接客での価値提供 | ・「新鮮さ」「商品選びの参考」「新しい気付き」などが感想として多く挙げられた ・脳波測定結果を受けたAIによる商品提案により、参加者に新しい購買体験を提供できた |
没入空間の創出 | ・車内の演出と一連の体験を魅力と感じた参加者は97%にのぼり、「ワクワク感」「新しさ」や「没入感」「リラックス」など肯定的な意見が多く見られた |
ブランドの態度変容 | ・参加者の95%が体験後にブランドの理解度が深まり、ブランドへの好意が高まったと回答し、85%が体験を通じてブランドを購入したいと思ったと回答 ・「栄養が取れる」「健康的である」「商品を時間帯で選べる」といったサイクルミーのブランドメッセージが伝わった |
今後について
今回の実証実験を経て、自動運転技術を活用した無人移動販売のノウハウの蓄積や需要把握、課題抽出に取り組む。
2025年夏以降の「ブランドエクスペリエンスポップアップモビリティ」の正式提供開始を目指し、今後さまざまな施設での体験やポップアップストアなどの展開を進め、将来的には自動運転技術を活用したビジネスの拡大を進めていく。
TISは今後とも、ピクセルインテリジェンスと協力して車両開発や、診断機能、AI活用の拡充を行い、新たな市場の創出や地域課題の解決を目指すとしている。
「ブランドエクスペリエンスポップアップモビリティ」について
人が集まるホットスポットに設営不要で巡れる自動運転型のポップアップ店舗モビリティ。無人のプライベート空間で深い没入空間によるブランド体験と、接客の煩わしさのないAIアドバイスによるスムーズな買い物体験を提供することで、ブランドや商品の良さを伝えることができる。
「ペルソナバンク(脳波測定オプション)」について
TISが開発した、顧客のパーソナルな情報(趣味嗜好や意思など)を活用したプラットフォーム。ペルソナ診断、理想ペルソナ設定に加え、イヤホン型脳波計による測定体験の提供と、脳波測定の結果を掛け合わせることにより、ユーザー自身でも知らない自分自身の脳の反応を加味したレコメンド体験を提供する。
この記事を読んだ人におすすめ
-
自動運転車で無人移動販売の実証実験 沖縄県カヌチャリゾートで開始 物販売上の向上と小売業DX化を実現
-
NVIDIA ヒューマノイドや自動運転などフィジカルAI開発を支援する世界基盤モデル「Cosmos」をCESで発表
-
NVIDIAとトヨタが自動運転AI開発で連携 自動運転トラックでAurora、Continentalも連携追加 NVIDIAと連携する理由
-
NVIDIAがデジタルツイン基盤「Omniverse」をロボティクス、自律走行車、ビジョンAIなどに拡張する生成AIモデルと「ブループリント」を発表
-
ローカル5G「共同実証レポート」発行 NTT東ら 26社が参加、接続や互換性・セキュリティ・速度・遅延等「ローカル5G共創プロジェクト」
-
自動運転の世界最高峰フォーミュラカーレースに日本チームが参戦へ VariousとTGM
-
NTTドコモ主催のプログラミングコンテスト「第2回ドコモ未来ラボ」グランプリ決定 中学生まで対象の応募総数2,056作品
-
【世界初】自動運転バスの現在位置や所要時間などの情報をスマホ連動型「生成AI車掌」が自然対話で案内 自動運転EVバスに生成AIコンシェルジュ搭載
-
都留市でオンデマンド交通の実証運行を実施、AI自動音声応答の電話予約で送迎車が停留所に 95%以上の予約が正常に完了
-
【フィジカルAI最前線】NVIDIA「GTC 2025」で発表されたヒューマノイドロボット開発とデジタルツインの未来、開発基盤を総まとめ