Figureのヒューマノイドが物流現場で作業する動画を公開 有識者や視聴者の意見と感想まとめ

Figure社はヒューマノイドにおける機械学習の開発状況を示したYouTube動画を2025年6月8日に公開した。タイトルは「Scaling Helix – Logistics」で、1時間もの長尺な動画となっている。
Figureは、Microsoft、OpenAI Startup Fund、NVIDIA、ジェフ・ベゾス氏などから1000億円以上の資金調達をしているスタートアップ企業。わずか2年程度の間に累計約7.5億ドルを調達し、さらに15億ドル(約2,325億円)規模の資金調達に向け交渉中と言われている。


今回の動画は、物流現場に導入されることをイメージしたもので、ラインに流れてくる荷物の向きを確認しながら、タグ(シール)が貼られた面を下にして、カラーやサイズが異なる袋、時には段ボール箱をつかんではコンベアに流すという、見た目には単純な作業を繰り返す内容だ。成功したシーンだけを編集したものではないことを示すために、長尺の長回しの動画で公開している。

動画には下記の説明が表記されている。

Helixは、より多様な梱包に対応し、完全自律型の荷物仕分け作業をこなし、人間レベルの器用さとスピードに近づきました。この急速な進歩は、Helixの学習ベースのロボット工学アプローチの拡張性を強調し、実世界への迅速な応用を示唆しています。

■動画


この動画を見るポイント

一見すると、袋詰めの商品を漫然と別のコンベアに流しているシーンが延々と続いているだけのように感じるこの動画、どの部分に注目して見るべきだろうか。


この動画を見た有識者やロボティクス研究者は、「視覚言語動作 (VLA)」 モデルに注目する人が多い。このロボットは同社が開発した「Helix」が搭載されている。
これは視覚(Vision)、言語理解(Language)、学習制御(Action)を統合するモデルで、従来はそれぞれ認識・判断・操作に別れていたネットワークを、「Helix」では単一のネットワークとして処理することができる。今回の動画はそれを表している。

比較的認識や把持がしやすい梱包箱だけでなく、カタチが定型でなく、把持するのにもコツがいる袋などの曲面物体も、チカラ加減を考慮しながら扱える点(力覚フィードバック)、それらを単一のニューラルネットワークでおこなっている点に注目したい。


懐疑的な意見も

もちろん、この動画の視聴者の中にはヒューマノイドの実用性に懐疑的な意見も多い。

比較的多い内容としては「人型である必要性がない」というもの。この作業であれば、ロボットアーム型でもできるし、専用ロボットとしてこの業務向けに最適なデザインのものを開発した方が精巧で、作業速度も速く、運用面でも優れているだろう、という意見があった。実際に「人が作業するよりも遅い」「維持コストが高すぎると思う」という性能とコストのバランスを疑問視する声は他にも多かった。

また、「作業の速度や運用コスト面は日進月歩で進化するだろう」として問題視しない声や、物流だけでなく、家庭支援や介護支援への展開を期待する声もある。

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ロボスタ編集部

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