
藤田医科大学と株式会社日立ハイテクは、共同研究講座の成果である「採血呼出し時間予測AIシステム」を2025年8月から藤田医科大学病院で本格的に運用開始すると発表した。このシステムはAIを活用して採血の呼出し時間を予測し、患者に通知することで待ち時間の有効活用や採血待合室の混雑緩和、患者の心理的負担軽減を実現する。
医療現場の待ち時間課題に対応
外来患者の採血における待ち時間短縮は多くの医療施設に共通する課題となっている。厚生労働省の統計調査によると、診察の待ち時間が1時間以上になると「不満」を感じる患者の割合は5割を超えるという。採血についても、受付から採血までの時間が長くなると患者満足度の低下につながると考えられている。
各医療施設では採血待ち時間短縮に向けてさまざまな業務改善や工夫が行われているが、待ち時間の見通しが立たないことにより「何もしていない時間は長く感じる」といった不満が残り、待ち時間の短縮だけでは患者満足度の向上に限界がある。
高精度なAI予測システムの特徴
本システムは、患者が病院の採血室で受付した際に、AIが採血呼出し時間を予測して患者へ通知するもの。2023年9月に採血受付票に呼出し時間を印字する実証実験を開始し、「±4分以内での予測精度が94%」という高い精度を維持している。
患者は呼出し時間がわかることで、待ち時間の過ごし方や場所を選ぶことができるため、滞在場所の分散が進み、待合室の混雑が緩和される。また、採血受付窓口担当者への待ち時間に関する問い合わせがほぼなくなり、受付業務の負担が軽減される効果も確認されている。
医療DXの推進と今後の展望
藤田学園では、医療従事者の負担軽減と業務の効率を図り、質の高い医療を持続的に提供することを目的に、病院内でのAI/ICTの導入を推進している。日立ハイテクは、血液検査を中心とした体外診断システムなど、データとテクノロジーを通して世界で毎年延べ10億人の健康な暮らしの提供に貢献している。
両者は今後も強みを生かした研究を推進し、より安全・安心な医療の提供と医療現場における最先端のニーズに対応するソリューションを提供することで、人々が健康で豊かな生活を送り続けることができる未来に貢献していく方針だ。
川崎重工、看護師補助ロボットを台湾企業のフォックスコンと共同開発 総合病院で実証実験し、2026年度に市場投入へ
世界初「遠隔触診システム」を公開デモ 名古屋大学と豊田合成が3/1にシンガポールと結び遠隔触診 オンライン配信も
GMOヘルステック「処方薬デリバリーサービス」本格始動 送料や利用料無料 「薬局24」と「調剤ロボット」を特別公開
この記事を読んだ人におすすめ
-
NTT東日本「触覚と映像を使ったオンライン診療」デモを公開 現場の看護士と遠隔の医師がIOWNでリアル触診 ユカイ工学が協力
-
【世界初】遅延時間を50分の1に短縮「ポスト5G半導体チップ」を開発 超低遅延通信を実現 NEDOの委託事業
-
NVIDIA ヘルスケアと医療分野での生成AI活用 AIと自律型ロボットの重要性を語る
-
【日本初】大阪けいさつ病院が1つの傷口だけの「単孔式ロボット支援手術」を実施 最新機種「ダビンチSP」で患者負担軽減へ
-
世界初「遠隔触診システム」を公開デモ 名古屋大学と豊田合成が3/1にシンガポールと結び遠隔触診 オンライン配信も
-
日本ストライカーが本社を拡張移転、ショールーム付きに 人工関節置換術用ロボット「Mako」訓練施設も
-
NVIDIA支援のスパコン、欧州最速を省エネで実現 AI、量子コンピュータ、デジタルツイン用途を牽引
-
川崎重工、看護師補助ロボットを台湾企業のフォックスコンと共同開発 総合病院で実証実験し、2026年度に市場投入へ
-
サイボーグ型ロボット装着者が「動かす意志」を持つことで脳の高次運動野が活性化、筑波大学が世界初実証 臨床応用に期待
-
脊髄損傷の回復に期待 CYBERDYNEの装着型ロボット「HAL」が唯一の治療装置と確認