GMOヘルステック「処方薬デリバリーサービス」本格始動 送料や利用料無料 「薬局24」と「調剤ロボット」を特別公開

GMOヘルステック株式会社は、2024年12月6日(金)より、薬局に出向くことなく送料無料で薬を自宅などの指定した場所で受け取ることができるサービス「処方薬デリバリーサービス」の本格提供を開始したことを発表した。これに伴い、報道関係者向けに説明会を開催した。

実店舗として「薬局24」を今年の9月に開局した。写真は受付。ただし、オンライン服薬を利用する場合は受付はオンラインで行うことができるので、全国どこからでも利用できる

メディア向け説明会では、特別に受付の内部に。

この壁の向こうが調剤室で「調剤ロボット」が導入されている。壁の下に3つの受け出し口があるが、調剤ロボットが迅速にピッキングした薬がここに並べられる

説明会ではGMOヘルスケアが運営する「薬局24」を紹介し、同店内の「調剤ロボット」も報道関係者に公開した。調剤ロボットは日本ベクトン・ディッキンソン株式会社のソリューション「BD Rowa」を採用している。

調剤室に配備された「調剤ロボット」

説明会に登壇したGMO ヘルステック株式会社 代表取締役社長 福留理氏


処方薬デリバリーサービスとは

今回、本格的にサービス開始を発表した「処方薬デリバリーサービス」は、薬局に出向かずにオンラインで薬剤師による服薬指導を受け、送料無料・最短当日発送で薬を受け取ることができるもの。

GMOヘルステックは「病院の検索」から「予約」「診察」「会計」「薬局」まで、一気通貫のサービス提供を将来的に展開する予定。現在は既に「病院の検索」や「予約」など、ほとんどの項目で実用化していて、今回の「処方薬デリバリーサービス」は「薬局」のプロセスをオンライン化、配送型にするもの

スマホアプリ「GMO クリニック・マップ」の機能のひとつとして位置づけられている。


「調剤」と「発送」はGMOヘルスケアが運営している実店舗「薬局24」から行なわれる。全国の医療機関での対面診療やオンライン診療で処方された、紙の処方箋か電子処方箋を「薬局24」に出すことで、顧客の自宅など指定する場所へ薬を無料配送する。(「GMO クリニック・マップ」のユーザー登録が必要。登録と利用料は無料)。


処方薬は「薬局24」の所在地である東京都渋谷区から、日本郵便のゆうパック、またはゆうパケットで配達される。利用者のメリットとしては、診察を受けた後、薬局に行って処方薬を受け取るまでの待ち時間が発生するが、宅配で受け取ることができるようになることで薬局への移動時間と待ち時間が削減される。また、薬局での他の疾病の感染リスクを避けること、薬局での会話によるプライバシー情報の流出などの心配から解放される。

【ユーザーの利用メリット】
・小さなお子さまがいるご家庭など、薬局までの移動・待ち時間を減らしたい方
・アレルギーや慢性疾患などで定期的に服薬が必要な方
・急ぎではない場合のお薬の受け取りで、薬局に移動する手間を省きたい方
・薬局での混雑を避けて二次感染リスクを減らしたい方
・服薬指導の際のプライバシーを確保したい方

「薬局24」は、紙の処方箋と電子処方箋の両方に対応するが、紙の処方箋の場合、実店舗の渋谷「薬局24」に持って行くか、処方する医療機関から「薬局24」にファックスで処方箋を送ってもらう必要があるので、慣れるまではその点だけ注意が必要だ。


「処方薬デリバリーサービス」の利用方法

利用方法は、次の3ステップで完了する。



ステップ1:医療機関へ処方箋の送付を依頼する


1).医療機関受診の際に、処方箋を受け取る前に「『薬局24』のオンライン服薬指導を利用したい」と伝える。
2).「薬局24」のFAX番号・住所などの連絡先が書かれた「GMOクリニック・マップ」サイト内の所定の画面を医療機関に提示する。
3).医療機関より、処方箋が「薬局24」に送付される。
なお、電子処方箋の場合には、「GMOクリニック・マップ」でのオンライン服薬指導の予約画面で「処方内容(控え)」を撮影して画像をアップロードする。
電子処方箋に対応している医療機関の場合、電子処方箋を希望する旨を伝える。


ステップ2:日時を予約して、服薬指導を受ける


1).「GMOクリニック・マップ」にログイン。
2).希望の日時でオンライン服薬指導を予約し、保険証・医療証とクレジットカード情報、届け先の登録をおこなう。予約は、一度に本人とその子どもなど複数名の予約にも対応している。
3).オンライン服薬指導の予約確定後、「薬局24」での準備が整い次第、SMSもしくはLINEでビデオ通話URLが送信される。URLをクリックして、ビデオ通話でオンライン服薬指導を受ける。

■オンライン服薬指導の例(デモ)


ステップ3:処方薬を受け取る


オンライン服薬指導完了後、お支払いは自動決済で、最短当日発送で薬を自宅などの指定した場所に送料無料で配送される。
・処方薬デリバリーサービスURL:https://gmo-clinic-map.com/pharmacy/guide


「薬局24」最初は渋谷から

2024年9月に渋谷区に開局した実店舗の保険薬局。スマートフォンで処方箋の事前受付ができる「処方箋モバイルオーダー」や調剤ロボットを活用したスピーディーな調剤で薬局での待ち時間を短縮し、顧客の利便性向上を追求する。

「薬局24」実店舗の受付。オンライン服薬の場合、受付はオンライン(医療機関から薬局に処方箋をファックスしいもらう)で行なうことができるので、「処方薬デリバリーサービス」は全国どこからでも利用できる

GMOヘルステックの福留社長は「第一弾としてまず、9月に渋谷に「薬局24」を開局しました。薬の在庫は現時点では約1,000種、調剤ロボットを導入しています。利用者が増えれば薬の数やロボットの台数、薬局の店舗数も増やしていき、東名阪や東北など、全国に展開していきたい。また、薬局24という名前からも、将来的には24時間、土日祝祭日も営業できる体制にしていきたい」と抱負を語った。なお、取材当日も複数人の顧客が来店する様子が確認できた。

「薬局24」内にオンライン服薬指導を行うブースが設置されている(現在は2席)

「薬局24」
・所在地:東京都渋谷区桜丘町25-18 NT渋谷ビル2F
・営業時間:月曜日~金曜日10:00~21:00、土曜日10:00~19:00(定休日:日曜日、祝日/年末年始)
GMOヘルスケア「薬局24」
https://gmo-healthcare.com/product/yakkyoku-24/

調剤(ピッキング)ロボットを公開

今回、「薬局24」の内部の「調剤ロボット」も報道関係者に公開した。調剤ロボットと呼んでいるが、基本的には処方された薬を棚から取り出すピッキング作業を行うロボットだ。ロボットの稼働時には薬剤室に人の立ち入りが禁止されているため、接触事故の心配なく、ロボットはかなり高速に動作する。


棚から取りだした薬は箱ごと取り出し口から薬剤師の手に渡り、処方された量の薬だけ手作業で用意される。

■GMOヘルステック、調剤ロボットの稼働デモを公開

ロボットによる効率化の目安として、一般的には人が薬をピッキングする際にかかる時間が約3分、このロボットであれば30秒程度でピッキングできるため、作業時間の短縮になり、ユーザーにとっては待ち時間の短縮になる、としている。

■GMOヘルステックが調剤ロボット「BD Rowa」を導入(提供:GMOヘルステック)

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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