Scimexの調査結果で、オーストラリアの10代女性向け性教育で使われている赤ちゃんロボットを導入することで子育ての大変さを知った女性の妊娠率が下がることが期待されていたところ、実際には妊娠率を上げてしまう結果となることが明らかとなった。
赤ちゃんロボットは妊娠率を高める?
調査はオーストラリアの女子学生(3,000人)を対象に20歳までの妊娠率を追跡する形で行われた。結果、一般的な性教育を受けただけのグループ1,567人中67人が妊娠経験あり、一方赤ちゃんロボットの貸出を受けたグループ1,267人中113人が妊娠経験ありとの結果となった。
つまり、20歳までの一般的な妊娠率が4%に対して、赤ちゃんロボットを体験すると妊娠率が8%と倍増するという予想外のデータであった。また、妊娠率だけでなく、中絶率も、一般6%のところ、赤ちゃんロボット体験者は9%と高いことも明らかになった。なおこのデータは、女子学生の学歴や社会的、経済的な地位の影響はデータには現れていないことが確認できている。
この論文では、なぜこの結果となったのかその原因は定かではないとしながらも、この結果を元に、オーストラリアをはじめ世界89カ国の学校で使用されている赤ちゃんロボットを導入した妊娠率低下を狙うプログラムは実効性を持たず、公的資金の無駄遣いの可能性が高いと結論づけている。
そもそも赤ちゃんロボットとは?
実験で実際に使われていたのはRealityworks社のRealCare Baby3という乳児シミュレーターロボット。
まるで本物の赤ちゃんのように面倒を見る必要があり、赤ちゃんが満足していると眠るように設計されている。また、赤ちゃんに対してどのような行動をとったのか、面倒を見た回数、抱っこしてくれた回数、周囲の温度、着替えなど様々なデータが記録される。この赤ちゃんロボットの利用シーンとして性教育、ティーンの妊娠防止、育児スキルアップ、児童虐待防止、幼児の健康管理等が挙げられている。
実際の論文データでは妊娠防止の裏付けはとれず、むしろ妊娠率が倍になったが、商品紹介上では妊娠防止を謳っている。
実際の使われ方の動画も公開されている。見るとたしかにリアルな赤ちゃんロボットだ。
なぜ赤ちゃんロボットを体験すると妊娠率が上がってしまうのか。母性本能がくすぐられてむしろ赤ちゃんが欲しくなってしまう、または面倒を見る自信ができた、という話なのだろうか。その場合、中絶率が上がってしまうことの説明はつかない。
また続報あり次第お伝えしたい。
国内の少子化を解決すべく、日本でこの赤ちゃんロボットを導入すると、出生率が倍増したり・・・するんでしょうか。
話変わりますが、赤ちゃんロボットといえば、日本では、若者向けではなく、高齢者向けの赤ちゃんロボット「スマイビS」が販売されています。高齢化が進む日本らしいロボットですね。


