フランスのBlue Frog Roboticsのコミュニケーションロボット「Buddy」の開発状況、主にソフトウェア面でのアップデートについて、以前ロボスタでお伝えしたが、今回はハードウェアを中心にパートナーシップ、開発環境の状況についてお伝えする。
ハードウェアのアップデート
ハードウェアパーツのサプライヤー選定を世界中の工場を訪問しながら数ヶ月かけて行い、信頼性が高いパーツを組み込むことができるようになったという。

結果、大きく変わった変更点は以下の通りだ。
・良いサウンド体験のためにスピーカーの位置を変更した。
・本体の背面に、柔らかいフラップでカバーしたUSBとHDMIコネクターを追加した。
・全面、背面のセンサーゾーンの形状の見直し。
・Buddyの顔の角度を人と視線をあわせやすくするため、15°上に向くように調整された。
・あらゆる表面の床でも動けるようにホイールを完全にデザインしなおした。
・タイル貼りの床で光が反射することでセンサーが誤検出しないように対策を行った。
・障害物センサーを信頼性が高く、より正確なものに変更した。
・深度測定の3Dカメラを統合すべくマザーボードから見直しを行った。

左が新モデル、右がいままでのモデルだ。センサーゾーンやホイール周りのデザインが変化していることがわかるはずだ。
今回の変更点は、設計時には想定されていなかったが、実際にBuddyを家庭内でテストを行ったことで判明した問題をすべて改善したことがわかる。
新しいパートナーシップ
また、2017年5月16日~18日、パリで開催された「Innorobo 2017」において、Bleu Frog Roboticsの新しいパートナーも発表された。

Buddyのエコシステムに参加するパートナーの中には、有名なパートナーのロゴも並んでいるのがわかる。

レジャー、教育、安全、快適さ、サポートの分野で幅広いアプリケーションを当初より提供予定だという。また主要ホームオートメーション企業との提携、有名なゲーム会社との提携も進めているという。
開発者向けプログラム
今回Buddyの開発者向けサービスとして、フランスのcraft ai社のサービスを統合して使えるようになった。

craft ai社は、「AI-as-a-service」を提唱し、機械学習などの高度なAIサービスのAPIを提供している会社だ。このcraft aiのAPI SDKがBuddyの開発環境に統合されたことで、Buddyのユーザーに向けたパーソナライズされたアプリケーション開発が容易になるという。
これをBlue Frog Roboticsでは、「ハイパーパーソナライゼーション」と呼んでおり、家族の習慣を学習しながら、最適なタイミングでパーソナライズしたサービスを提供することを狙う。
craft aiを活用したシナリオ例
craft aiを活用したハイパーパーソナライゼーションのシナリオ例にピザの注文のイメージを紹介する。「MyPizzaBuddy」アプリをインストールすると以下のような会話が進行する。
ある晩

ボブ
Buddy、ピザを注文しよう!
Buddy
OKです。ボブさん、何にしましょう? クワトロフォルマッジがメニューにあります。他のものがいいですか?
ライラ
肉が入っていて、キノコが入ってないピザがいいな。
Buddy
肉のあるピザのメニューには、牛肉のボロネーゼと、ハムのパルミジャーナという2つのピザがあります。
ライラ
ボロネーゼにしょう。
Buddy
いいですね。25分で届くでしょう。
Buddyはピザ屋のメニューを理解しており、家族の好みに合わせた提案が可能なことがわかる。
いくつかの注文の後

ボブ
Buddy、私とライラのためにピザを注文しよう!
Buddy
OKです。ライラさんはお肉がすきですよね。それに日曜日の夕方にチーズが好きだと言ってました。大きなパルミジャーナを注文できますよ。ハムとダブルモッツァレラのピザです。それでいかがでしょう?
Buddyは過去の会話から家族のメンバーのピザの好みを学習しており、リコメンドもできるようになったことがわかる。これがcraft aiのAPI活用の効果だ。
数週間後

Buddy
ボブさん、日曜の夜、ライラとあなたのためにパルミジャーノのピザを注文しましょうか?
さらに数週間たつと、Buddyはこの家庭のピザの注文の習慣を理解して、聞かれる前に、オーダーはいかが?とリコメンドするという、事前対応が行えるようになる。
Buddyの情報交換はこちら
Facebook上で、Buddyの情報交換を行うコミュニティ、BUDDY fan club japanをはじめている。
興味のある方は是非参加してみて欲しい。
僕はこう思った:
移動性能向上、パートナーシップの拡大、AI領域でも専門会社と組みながら開発者にも利用できるようにするなど、まさに注目のコミュニケーションロボットの1台です。また動きがあればお知らせします。







