富士ソフト株式会社は、メーカーの異なる自律走行搬送ロボット(AMR)を統合的に制御し、搬送業務の自動化を支援する新プラットフォーム「MixFlit(ミックスフリット)」を、2025年11月11日(火)より販売開始することを発表した。

少子高齢化を背景に人手不足が深刻化する国内の製造・物流業界では、AMR活用による自動化ニーズが急速に高まっている。本プラットフォームは、AMR導入におけるメーカー間の壁を取り払い、より柔軟で効率的な自動化の実現を目指す。
メーカーの垣根を越える統合制御で現場の課題を解決
工場や倉庫の自動化においてAMRの導入は不可欠となりつつあるが、現場では複数の異なるメーカーのAMRが稼働していることも少なくない。これまではメーカーごとに制御仕様が異なるため、それらを統合して管理することができず、運用が複雑化するという課題があった。また、既存の生産設備などとの連携においても技術的なハードルが高かった。
「MixFlit」は、こうした課題を解決するために開発された。複数台のロボットを安全かつ効率的に運用する「フリート管理」の考え方に基づき、異なるメーカーのAMRを一つのシステム上で統合制御することを可能にする。操作はWebブラウザから行え、専門知識がなくても直感的に使用できる点が大きな特長だ。従来、専門技術者によるPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いた複雑な設定やティーチングが必要だった搬送ルートの変更も、Webブラウザ上のマップで簡単に行えるため、現場の状況変化に迅速に対応でき、設定にかかる工数を大幅に削減する。
導入効果を最大化するシミュレーションと多彩な機能
「MixFlit」は、導入前にロボットの動きや搬送ルートを3Dでシミュレーションできる機能を搭載している。これにより、実際の現場環境に合わせた最適な運用計画を事前に詳細に検討することが可能となる。AMRの最適配置や搬送効率の向上を導入前に検証できるため、投資対効果を最大化し、安全性の確保にも繋がる。
運用面では、各AMRのステータスや位置情報、異常状態などをリアルタイムで一覧表示するダッシュボード機能や、システム内で発生したエラーを通知するアラート表示機能を備え、安定した稼働をサポートする。さらに、上位の生産管理システムなどと連携することで、搬送指示の完全自動化や工場全体のシステムとの連携も実現できる。今後は、複数フロアでの運用への対応や、異なるメーカーの機器やシステム間で安全なデータ交換を行うための通信規格「OPC-UA」への連携機能も追加される予定だ。


製品概要
「MixFlit」のライセンス価格は6,600,000円(税込)で、導入費、カスタマイズ、保守費は別途見積もりとなる。2025年11月11日(火)の提供開始時点での対応機種は、株式会社Preferred Roboticsの「Kachaka pro」と、住友重機械工業株式会社が販売する株式会社Keiganの「KeiganALI」の2機種。対応機種は今後、順次拡大していく計画だ。
イベント出展
富士ソフトは2026年1月21日(水)から23日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「第10回スマート工場EXPO」への出展を予定している。会場では「MixFlit」の実機を体験できるデモンストレーションが行われる。同社は本製品を通じて、製造・物流業界が抱える課題解決に貢献し、スマートファクトリー化の推進をさらに加速させていく方針である。



