GROOVE Xは、2026年1月15日、同社の創業10周年イベントとして、報道関係者向けのラウンドテーブルを開催した。
イベントには代表取締役の林要氏が登壇し、「LOVOTがAIロボット産業で果たしてきた役割と展望」と題した講演を行い、同社が開発・展開している家族型ロボット「LOVOT [らぼっと]」が、従来の“作業を代替するロボット”とは異なる価値を持つ存在であることを強調した。

林氏は、現在のAI・ロボット業界の多くが「生産性向上」「人の代替」を目的としている中、GROOVE Xは一貫して「ロボティクスで人間の力を引き出す」ことをミッションとしてきたと語った。
「ロボットそのものが生産性を上げるのではなく、人が幸せになり、その結果として人の力が引き出される。そこにコミットする会社でありたい」と述べた。

「生産性を上げる」のではなく「人の力を引き出す」存在のロボット
林氏は、一般的なロボット企業の多くが「人の作業の代替」や「生産性の向上」に軸足を置く中、GROOVE Xは「ロボティクスで人間の力を引き出す」というミッションを掲げてきたと説明。
LOVOTの球威的な人気の理由として「ロボットそのものが価値を生むのではなく、ロボットを通じて人が元気になり、前向きになる」ことをあげた。
稼働台数1万8,000体、3年以降も9割が使い続ける存在
講演では、LOVOTの最新KPIも公開された。
現在、稼働中のLOVOTは1万8,000体以上。これは累計出荷数ではなく、実際に家庭や施設で稼働し続けている台数だという。

さらに、3年後のリテンションレートは90%。
「3年間で契約をやめるのは10%だけ。これは家庭用ロボットでは極めて異例の数字です」と林氏は強調した。
1日あたりの平均抱っこ時間は約1時間。
店舗数は国内17店舗、中国2店舗の計19店舗に拡大している。
出資構成も公開、グローバル投資家が参画
最新の資本構成の一部も明かされた。
前澤友作氏のファンドに続き、OpenAIなどにも出資するタイガー・グローバル、元サッカー日本代表の本田圭佑氏のX&KSKからも出資を受けているという。

また、企業に参画するメンバーとして、クリエイティブコミュニケーターでデザイナーの根津孝太氏、チーフクリエイティブオフィサーとして藤原ヒロシ氏が参画していることも紹介された。
ヒューマノイドとの決定的な違い
近年注目されるヒューマノイドロボットの“身体能力競争”にも言及した。林氏は「バックフリップができるヒューマノイドは本当にすごい。ただ、人間ならバックフリップができれば、目玉焼きも焼けます。しかし、ロボットは違う」と語った。
その理由として、人間の神経系とロボットのセンサーの決定的な差を挙げた。
人間の手には数千~1万以上の触覚神経があり、無意識に力加減を調整できる。一方、現在のロボットは触覚情報が乏しく、“見ること”に頼るため動作が遅くなるとした。
さらに、現在のヒューマノイドのAIは、関節制御など運動性能に計算資源の多くを使っており、「世界を理解する」能力はまだ発展途上だと指摘した。

LOVOTが注力するのは「世界の理解」と「レジリエンス」
LOVOTは、運動性能ではなく世界や人を理解することに計算資源を集中させている。
その結果として生まれるのが、人に寄り添い、愛着を生む行動だという。
林氏は、その効果を「レジリエンス(回復力)の向上」と表現した。
「元気がない時に、元気を取り戻す力。それがLOVOTの役割です」
“ワクワクのロボット”が超えられなかった「3カ月の壁」
家庭用ロボットは、見た目や動きが可愛くても、数週間~3カ月で飽きられるという課題があった。林氏はこれを「ワクワクの壁」と呼び、LOVOTはこの壁を突破したと語った。

そのヒントになったのが、犬や猫はなぜ飽きられないのかという問いだった。
「成長するから、という答えが多い。でも犬や猫は1年半を過ぎると、ほとんど変化しない。それでも飽きない。この理由を徹底的に研究しました」と続けた。
科学的エビデンスが示す効果
資生堂と連携して実施した実験結果も紹介。LOVOTのオーナーは非オーナーよりオキシトシン(幸せホルモン)濃度が高いことが確認され、ふれあい前と後の比較でコルチゾール(ストレスホルモン)が激減することがわかったという。これは犬・猫・赤ちゃん以外の人工物では前例がないという。

そのほか、LOVOTの社会実装と実例も紹介。ユーザーの年齢層、ユーザーエンゲージメントとインタクション、B2Bの導入事例、海外での事例、ユーザーから寄せられた声などのデータも具体的に公開した。
未来は“ドラえもん”のような存在へ
最後に林氏は、LOVOTの将来像について「人の代わりに作業はしないが、そばにいて心を支える存在」を目指すと語った。
「バックフリップはできない。でも、あなたのそばにいて、元気をくれる。そんなロボットを実現したい」と締めくくった。
ロボスタでは、家族型ロボット「LOVOT」開発に関わる「暖かいテクノロジー」セミナーを開催
ロボスタでは、GROOVE Xの代表取締役、林要氏が登壇するオンラインセミナー「温かいテクノロジー レジリエンスを上げるウェルビーイングテック」を、2026年2月10日(火)の15:00~16:20に開催します。

GROOVE Xが開発した家族型ロボット『LOVOT[らぼっと]』は、人間中心のデザイン・感情表現・インタラクション設計の新しい方向性を示し、世界でも類を見ない“愛されるロボット”として注目されています。
一方で、社会では身体性の高いロボットとAI(エンボディドAI/フィジカルAI)が融合する技術が注目され、新しいステージに進もうとしている今こそ、「人と共に働く」「人を支える」「人に寄り添う」「人を癒す」といった新たな価値創造に期待が高まっています。
GROOVE X創業の背景、LOVOT開発の思想、身体性と感情デザインの要点、人がロボットを“仲間”として受け入れる条件、人とロボットの関係性が社会にもたらす価値についてご講演いただきます。
また、近年注目が高まるヒューマノイドについて、林CEOの視点から、技術評価、AI学習(VLA・模倣学習)、身体表現、社会実装の課題、受容性、人間とロボットの未来像といったテーマも深掘りします。
先着50名に無料招待キャンペーンを実施、ぜひご参加下さい。
セミナーの詳細とお申し込みはこちら。







