一般社団法人AIロボット協会は、2026年6月1日(月)から6月5日(金)にオーストリア・ウィーンで開催される世界最大級のロボティクス国際会議「ICRA 2026」において、ワークショップ「From Data to Decisions: VLA Pipelines for Real Robots」の開催が採択されたと発表した。
VLAモデルの実用化に向けた課題に焦点
近年、自然言語指示に従って多様なタスクをこなすロボットを実現するアプローチとして、Vision-Language-Action(VLA)モデルが急速に発展している。
一方で、データ収集コストやデータキュレーション(品質管理)、学習・評価の標準化、実環境での安全性・信頼性といった「パイプライン全体」の設計については、未だベストプラクティスや共通指標が確立されていないのが現状だ。
同協会は、実世界のロボットデータを軸にした「データエンジン」の構築とその公開を通じて、このギャップを埋めることを目指している。
2つのトラックで構成されるワークショップ
本ワークショップは、VLAパイプラインを実世界ロボットに適用するための「データから意思決定まで」のパイプラインに焦点を当て、2つのトラックを同時に実施する。
1つ目は、VLAパイプラインに関するペーパーセッション(論文発表・ポスター)だ。データ収集から学習、評価、実運用に関する最先端の取り組みを共有する招待講演、パネルディスカッション「信頼できるVLAパイプラインをどう構築するか」、ペーパーセッション、そしてモバイルマニピュレーション・コンペティションの結果報告・受賞講演が予定されている。
ペーパーセッションでは、VLAパイプラインのいずれかの要素に関する2ページの論文を募集する。対象トピックには、実ロボット・テレオペ・シミュレーション・Web動画を用いたデータ収集手法、データキュレーション・前処理・アノテーションのベストプラクティス、事前学習・ファインチューニング・強化学習・補助目的などを含む学習戦略、汎化性能・安全性・ロバストネスを測る評価指標・ベンチマーク設計、実機展開時の推論・制御などが含まれる。
投稿形式は2ページ論文(シングルブラインド)で、採択後の発表形態はライトニング・スポットライト(6から7分)とポスターセッションとなり、一部は口頭発表枠(Contributed Talk)として選出される。著者には、コード・設定ファイル・データレシピへのリンクの共有も推奨し、再現性の高い成果を積極的にアーカイブしていく。採択論文やスライド、動画等は後日公開予定だ。
約1万時間の実ロボットデータを活用した国際コンペ
2つ目の柱が、モバイルマニピュレーションを対象としたVLAモデルの国際コンペティションだ。
対象タスクは、ピック&プレース、物体挿入、可動オブジェクト(扉・引き出しなど)の操作、工具を用いた作業など、接触を伴う多様なタスク群となる。
データセットには、モバイルマニピュレータによる実ロボットデータ約1万時間を使用する。
このデータはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託業務の結果得られたもので、RGB-D映像、関節情報、力・トルクセンサ、言語アノテーション、行動軌跡などを含むマルチモーダルデータとなっている。
LeRobotフォーマットで整備し、Wasabi等のストレージサービスを通して公開予定だ。
評価プラットフォームには、トヨタ自動車の生活支援ロボット(HSR)を用いた標準環境を採用し、実機による隔週評価を実施する。
評価指標は、成功率、タスク完了時間、環境変動へのロバスト性などだ。
ベースラインとして、SmolVLA、π0などの既存VLAモデルをベースとした公式ベースラインを公開し、参加チームはこれを起点に改善案を検証可能となる。
賞金は、1位2,000米ドル、2位1,000米ドル、3位600米ドルで、受賞チームはワークショップ内で招待講演を行い、手法・アブレーション・失敗事例を共有する。
募集対象と実施スケジュール
募集対象は、ロボット学習・強化学習・マルチモーダルモデルに取り組む研究室・企業研究所、産業現場での自律ロボット導入を見据えたPoCに取り組むエンジニアチームとなる。
募集締切は2026年3月15日(日)だ。実施スケジュールは、2月14日(土)にデータセット公開、3月1日(日)から隔週での評価スタート、4月15日(水)に最終モデル提出、5月1日(金)に採択結果の通知となっている。
ペーパーセッションおよびコンペティション参加を検討している方は、同協会の特設ページより応募できる。
AIロボット協会について
一般社団法人AIロボット協会は、ロボットとAIの融合により、ロボット開発の技術を革新することを目的としている。
主な事業は、AIロボットの開発促進のための取り組み、基盤モデル開発に必要なデータの収集・保管・管理・公開、基盤モデル・個別モデルの開発・運用・公開、開発コミュニティの運営、AIロボットの社会普及のための取り組み、AIロボットによる効率化効果の計測・公開、AIロボットの安全性評価の検討・公開などだ。