アメリカを本拠点とするPTCは、同社のクラウドネイティブなコンピュータ支援設計(CAD)および製品データ管理(PDM)プラットフォーム「Onshape」と、NVIDIAのオープンシミュレーションフレームワーク「NVIDIA Isaac Sim」を接続する、ロボティクス向けの設計からシミュレーションまでのワークフローを発表した。
この新ワークフローは、NVIDIAが開催した「GTC 2026」にて紹介され、単一の信頼できるデータソース(Single Source of Truth)を維持しながらロボット設計をシミュレーションできる。
設計からシミュレーションへの移行を数分で実現
ロボット設計では継続的な反復作業が不可欠であり、エンジニアは機械設計を更新し、その変更をシミュレーション上で検証する必要がある。
従来の多くのワークフローでは、この設計からシミュレーションへの引き渡しが手作業かつ時間を要するもので、CADモデルをエクスポートした後に、ジョイントやアクチュエータなどの物理的要素を再作成しなければならなかった。
OnshapeとIsaac Simを連携させたワークフローでは、Onshape上で一度定義した機械的な関係性を、そのままIsaac Simに引き継ぐことが可能だ。
設計が変更されるとシミュレーションも自動的に更新され、FANUC America Corporationのような企業が、CADから物理ベースのシミュレーションへより迅速に移行できるよう支援する。
時間短縮とエラー削減を実現
FANUC America Corporation オートメーションシステムグループ ゼネラルマネージャーのAmar Dhaliwal氏は、「OnshapeとNVIDIA Isaac Simの統合により、産業用ロボットシステムの設計および評価プロセスに、より早い段階からシミュレーションを取り入れることが可能になる。この早期の課題認識によって、より適切な設計判断、迅速な統合、そして円滑なプロジェクト遂行が可能となり、お客様は自動化への投資から最大限の成果を得ることができる」と述べている。
時間短縮、エラー削減、開発の加速が可能となり、さらにNVIDIA Isaac Labにおける下流のロボットトレーニングを通じて、フィジカルAIの実現がサポートされる。
フィジカルAIの基盤構築を支援
PTCのOnshapeおよびArenaのEVP兼ゼネラルマネージャーDavid Katzmanは、「ロボティクスチームには、アイデアが高速で変化する状況に対応できるワークフローが求められている。NVIDIAとの協業により、継続的かつコラボレーティブな設計におけるOnshapeの強みと、世界最高水準のシミュレーション技術を組み合わせ、ロボティクスエンジニアリングの未来を支えるフィジカルAIの基盤構築を支援する」とコメント。
NVIDIAのOmniverseおよびシミュレーション技術担当バイスプレジデントRev Lebaredian氏は、「ロボティクス開発は、設計と物理的に正確なシミュレーションの間にある継続的なフィードバックループに依存している。PTCのクラウドネイティブなOnshapeプラットフォームをNVIDIA Isaac Simに接続することで、さまざまな設計変更が瞬時にシミュレーションへ反映され、迅速な反復とインテリジェントマシンの開発スケールを可能にする」と語っている。
クラウドネイティブアーキテクチャで実現
この連携は、Amazon Web Services(AWS)上に構築されたクラウドネイティブアーキテクチャによって実現されており、開発プロセス全体を通じて設計とシミュレーションの同期を維持する。その結果、エンジニア、研究者、AI開発者は、シミュレーション用モデルの準備作業ではなく、挙動の検証や性能向上に集中することができる。
PTCの挑戦
PTCは、Onshapeをはじめとする製品ポートフォリオを通じて、インテリジェント製品ライフサイクル(IPL)というビジョンを実現している。これにより、製造業や製品企業は製品データの基盤を構築し、その価値を企業全体へと拡張し、AIを活用した変革を加速する。
製品データを幅広く活用することで、企業は高品質な製品をより迅速に市場投入できるだけでなく、製品の複雑性を適切に管理し、規制やコンプライアンス要件に対応可能になるなど、様々な課題解決が期待される。