山善は3月26日(木)、ツムラ、レオン自動機、INSOL-HIGHの3社と共同で、ヒューマノイドロボットの社会実装を加速することを目的としたコンソーシアム「J-HRTI(Japan Humanoid Robot Training & Implementation)」を設立したと発表した。
同コンソーシアムは民間企業のみで構成される団体として、2026年7月に日本初となる「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」を開業する予定だ。
産業現場の課題とロボット導入への期待
製造業や物流業界をはじめとする産業現場では、人手不足の深刻化や安全性の確保、生産性向上への対応が喫緊の社会課題となっている。山善がものづくり産業11業種の管理職以上1,100人を対象に実施した調査では、ヒューマノイドロボットの導入について44.2%が「前向き」と回答した。
特に導入への期待として、「人手不足の解消につながる」が63.2%と最も多く挙げられている。一方で、「導入・運用コスト」や「作業中の安全性」などへの懸念も出ており、実際の産業現場に基づく高品質なデータや検証環境の整備が、ヒューマノイドロボットの社会実装を進めるうえで重要な課題となっている。
コンソーシアム「J-HRTI」の概要
J-HRTIは、PX(Physical AI Transformation)により労働構造そのものの再設計を目指して設立された。2026年度内にヒューマノイドロボットの社会実装を実現することを当面の目標に掲げている。
運営委員は山善、ツムラ、レオン自動機の3社で、運営委員長は山善専任役員の中山勝人氏が務める。事務局はINSOL-HIGHが担当し、全体設計とデータ基盤運営を行う。
同コンソーシアムの主な役割は4つある。
ロボット学習データの生成・共有
ヒューマノイドロボットに必要なフィジカルデータを共同で収集・蓄積する。社会実装モデルの共同設計
産業現場で利用可能な運用方法や安全基準を整備する。実証環境の共同利用
検証設備を共有し、導入コストとリスクを分散する。標準化の推進
ロボット運用やデータ活用のルールづくりを行う日本発の標準化を推進する。
データ収集センターの詳細
フィジカルAI・ロボットデータ収集センターは、ヒューマノイドロボットの模倣学習に必要なフィジカルデータを大規模に収集・生成する拠点となる。千葉県沿岸部に約1,400平方メートルの施設を設置し、オペレーターやアノテーターなど約100名が常駐する体制で、2026年7月に開業予定だ。

主な特長として、最大50台のヒューマノイドロボットが稼働し、産業現場を模した環境でのデータ収集を行う。また、ロボット学習データの生成・蓄積・共有に加え、実証実験および運用モデルの検証も実施する。
今後の展開とロードマップ
J-HRTIは段階的な実装を計画している。2026年度は「社会実装開始」として、単純タスク(搬送・定型作業)による現場導入の実現を目指す。2027年度は「導入実績の積み上げ」として、複数タスクの実現で導入シーンを広げ、稼働時間を延ばすことで投資回収効率を高め、価格のハードルを下げる。
2028年度は「拡大普及期(初期)」として、作業が人と変わらないレベルとなり、様々なタスクが行えるようになることを想定している。製造現場や物流現場においては、汎用化させたデータで即時の導入が可能になるとしている。
山善は「ともに、未来を切拓く」というパーパスのもと、世界のものづくりと豊かなくらしをリードしていく姿勢だ。

