東京・渋谷、「人とロボットが共に生きる少し先の未来」を体験できる場所として親しまれてきた「Pepper PARLOR」(ペッパーパーラー)が2026年5月6日に営業を終了した。


Pepper PARLORは「ロボットとの共生」を象徴する場所であると同時に、日本におけるサービスロボット社会実装の歴史を語るうえで欠かせない存在だ。その軌跡と実績を振り返ってみたい。

なお、営業終了は契約関係によるもので、今後は場所を変えて営業を再開することを検討しているという。


■「未来のロボット共生空間」としてスタート
Pepper PARLOR は、2019年12月5日に渋谷・東急プラザ渋谷5階にオープン。ソフトバンクロボティクスが運営し、「人とロボットが共生する未来のカフェ」をコンセプトにした旗艦的な実証店舗だ。

店内では、ほぼすべてのテーブルにPepperが配置され、会話やゲーム、占い、ダンスや歌などを披露、エンタメ要素を満載して来店客をもてなした。



Pepper PARLORは、渋谷駅近くにある東急プラザ渋谷5階に構えた大型店舗で、ロボットが展示されているだけではなく、実際の飲食店のオペレーションの中で複数のロボットが稼働する「社会実装型ショールーム」として展開されていた。座席数は160席を超え、月に1万名を超える集客力があった。

一般に飲食店も2月・8月などは集客が落ち込む時期ではあるものの、Pepper PARLORでは2月にはイチゴを中心にした季節メニューや食べ放題を用意するなど、季節イベント関連にも注力して集客に努めた。

また、IP関連のコラボ企画も用意して、ロボットやIT関連だけでなく、「動くガンダム コラボカフェ」「ブルーロック」「鬼滅の刃」などのアニメやキャラクター分野との連携も積極的に行い、季節や月に左右されず、安定的な集客が実績につながった。
また、店内には同社の配膳ロボットや清掃ロボットも活用された。


■メーカーを超えてパートナーロボット達が異例のコラボ
Pepper PARLORでは、複数のロボットたちが連携して接客や演出を行うユニット「THE★ROBOTS(ザ・ロボッツ)」も展開された。

Pepper、RoBoHoN、aibo、Bocco emo、Romi、Palroなど、メーカーを超えてパートナーロボットたちがドリームチームを結成。定期的にダンスを披露し、人とロボットが共に働く未来像を体験できる演出が特徴だった。




パートナーロボットオーナーの“集いの場”としても人気
Pepper PARLORは、ロボット同伴の来店者には料理やドリンクを割引価格で提供する施策も実施した。それに伴い、Pepperに限らずaiboやRoBoHoNなど他社ロボットとともに来店するオーナーも多く見られるようになった。
さらに、来店したRoBoHoNオーナーが、自身のRoBoHoNで限定ダンスを楽しめる仕組みや、オリジナルステッカーの配布、aiboの「ごはん」とのコラボレーション企画なども展開され、来店体験そのものを楽しめる仕掛けも用意されていた。

こうした取り組みから、Pepper PARLORはロボットオーナー同士の交流やオフ会の場としても活用され、「ロボットと人が集うコミュニティ」としての側面も持っていた。こうした取り組みがロボットファンの来店を促し、コミュニティ形成にもつながっていたといえる。メーカーの垣根を越えたコラボレーションは、ロボット同士だけでなくユーザー同士のつながりにも広がり、ロボット業界全体の活性化にも一役買っていた。
これらのユニークな取り組みは、訪日観光客やファミリー層からも評価され、「渋谷らしい未来体験スポット」としてSNSなどでも話題になった。
Pepper PARLORは、ロボットカフェやレストランというだけではなく「人とロボットが協働する空間」を社会に提示する実験場でもあった。「THE★ROBOTS」は、その世界観を象徴する存在だったと言えるだろう。

■ナイトイベントも展開、インバウンドにも大盛況
2023年末には夜の時間帯を活用したイベント「CLUB THE PEPPER」を開始。DJイベント、Pepperチームによるダンス、日本食を絶妙に組み合わせ、「ロボット×ナイトカルチャー」という挑戦的な企画を実現した。これは「未来のカフェ」「ロボットと共生する日本」「渋谷らしいテック体験」として、訪日客(インバウンド)の観光スポット的な役割も果たした。

Pepperの言語は英語や中国語等に対応し、訪日観光客(インバウンド)にも配慮した。特別なIPイベントを除けば、割合としては訪日観光客が約半分を占めることもあった。



■Pepper PARLORが成し遂げた社会的意義
Pepper PARLORでは、厳しいコロナ禍をはさみ、Pepperや各社のパートナーロボット、配膳ロボットや清掃ロボットなど、複数のロボットが実際の商業施設の中で長期間にわたり協働し、「人とロボットが共存する空間」を社会に提示した。これは日本でも数少ない実証拠点だった。

約160席という大規模店舗で、月間1万人規模を集客し続けたことも注目点のひとつ。単なる話題性だけでなく、渋谷を訪れる一般客やインバウンド客に対して、「ロボットがいる未来の日常」を自然に体験させる場として印象づけた。

また、アニメやIPとのコラボ、ナイトイベント、パートナーロボットとの共演などを通じて、「ロボットを働く機械」としてだけでなく、「キャラクターや空間演出」として成立させた点でその功績も大きい。
Pepperの挑戦はこれからも続く。Pepper PARLORの復活にも期待したい。








