Terra Drone株式会社(以下、テラドローン)は2026年8月25日、防衛装備庁が実施する「迎撃ドローン早期取得プログラム」において、同社が提案した国産迎撃ドローン「Terra B1」が実証試験を通過し、次段階の量産調達フェーズへ進んだと発表した。
38社の中から選定、実証試験も単独で通過
本プログラムは、攻撃型無人航空機および迎撃ドローンの役割が飛躍的に高まる安全保障環境を踏まえ、自衛隊がより迅速かつ実効性のあるドローン対処器材を獲得することを目的としたもの。2026年7月15日には、実証試験に使用する機種として38社の提案の中から「Terra B1」の選定が公表されており、今回の実証試験通過はこれに続く成果となる。
実証試験を通過した「Terra B1」は、シャヘド型をはじめとする長射程自爆型UAVへの対処を想定した国産迎撃ドローン。防衛装備庁の募集要件では、有効射程、飛行時間、飛行距離、最高速度・巡航速度、誘導方式、同時管制機数、射出・回収要領、他機器との連接、安全対策、運用実績、契約から納品までの期間など、実運用と量産調達に直結する項目が確認対象とされていた。テラドローンは、機体性能だけでなく短期供給・国内生産・整備補給教育を含む運用支援体制まで含めて、今回の量産段階への移行が認められた。
背景にあるウクライナ・中東の戦訓
中東ではシャヘドのような低コストの攻撃型無人航空機が大量に運用される一方、防御側は高額な迎撃ミサイルによる対処を余儀なくされ、迎撃弾の消耗・枯渇や費用対効果の不均衡が課題となっている。
一方ウクライナでは、シャヘド等への対処に低コストの迎撃ドローンを活用する取り組みが急速に進展し、高い迎撃率を達成している。こうした戦訓を踏まえ、日本でも安価な脅威に対して高額な迎撃ミサイルではなく、より低コストの手段で対処することが重要視されている。
防衛装備庁の公表資料では、2026年7月下旬から8月上旬に実証試験を実施し、8月下旬に量産調達契約、2026年9月頃の納期を目途とするスケジュールが示されており、実証から量産調達までを約3カ月で進める、スピード感のある制度設計となっている。
今後の計画:量産・供給体制の強化
テラドローンは今回の実証試験通過を受け、Terra B1の量産調達を見据えた生産・供給体制の具体化を加速するとしており、主な取り組みとして以下を挙げている。
Terra B1の量産開始
国内生産・調達体制の整備
部品、電池、通信、管制装置を含むサプライチェーン強化
整備、補給、教育を含む運用支援体制の構築
基地、艦艇、重要施設等での運用を見据えたシステム連接
防衛用途に求められる品質管理・安全管理体制の強化
今回はまず海上自衛隊向けの導入を起点としつつ、今後は航空自衛隊・陸上自衛隊における運用ニーズへの展開も視野に入れ、各自衛隊の運用環境に応じたシステムの適応・拡張を推進する。
同社は、ウクライナを含む実運用環境で得られた迎撃ドローンの知見と、日本企業としての国産化・国内量産・制度対応力を組み合わせ、国産迎撃ドローンの量産化を進めるとしている。本件による当期連結業績への影響は現在精査中としつつ、防衛事業の拡大および企業価値向上に大きく寄与するとの見通しを示した。
関連する動き:防衛装備庁と小泉進次郎氏もXで発表
防衛装備庁も同日8月25日、公式X(旧Twitter)アカウントで量産調達契約の締結を発表した。投稿では「有望な迎撃ドローンをいち早く部隊へ届けるため、6月上旬より『迎撃ドローン早期取得プログラム』をスタート。実証試験の結果を踏まえ、本日(8月25日)、TerraDrone(株)と量産調達契約を締結しました」とし、「募集開始から契約締結まで約3ヶ月という、これまでにないスピードで調達を進めています」と、異例の速さでの調達実現を強調している。
これを受け、小泉進次郎氏(防衛大臣)も自身のX投稿でこの契約締結を紹介し、「急速に変化している安全保障環境に対応するため、防衛装備庁で新たな調達を実施しました。スピード重視で、今までにはない短期間での調達を実現するために奔走してくれた担当職員の皆さん、ありがとうございました!」と、担当職員への謝意を述べている。