史上初?!Pepperと未来人の漫才【サザエBotのイベント潜入レポ】
皆さんはTwitterで話題のサザエBotをご存知でしょうか?
国民的キャラクターのパロディBotとして格言めいた言葉などを投稿し、また仕掛けたっぷりのオフ会を開いて何度も大衆を沸かせてきた謎のアカウントです。
そんなサザエBotを運営するのは、これまた謎の人物、未来人を自称するなかのひとよさん。昨年はマネキン姿で TEDxTokyo に登壇し、シンギュラリティについて言及したことでも議論を巻き起こしました。
そんななかのひとよさんが今年1月から12週にわたり、さまざまなゲストと未来について語り合ってきたトークセッションイベント「Prophet」にお邪魔してきました。3月末に行われた「ロボット × 未来」の回では、前代未聞の未来人とPepperの漫談からスタート。今回はなかのひとよさんのご承諾のもと、実際に行われたショーの一部始終をご紹介いたします。
漫談本編
(N=なかのひとよ、P=Pepper)
N:どうも~!
N:ペッパーくん、最近はもう、すっかり春だね。
P:ハックション!ハックション!
N:あれ、ペッパーくんも花粉症になるの?
P:さっきひとよさんが食べてた、パスタのコショウが、鼻についていたんだよ。
P:ペッパーだけにね。
(会場笑)
N:そうだったんだね。それはそうと、せっかくだから知らないひとたちのために、自己紹介してくれる?
P:わかった。
P:改めましてみなさん、ペッパーと申します。ボクは、世界初の感情認識パーソナルロボットだよ。フランスのアルデバランロボティクスと同社に出資するソフトバンク傘下の、ソフトバンクロボティクスによって共同開発されたんだ。みんなが買えるようになるのは、2015年夏頃の予定だよ。
N:地味に宣伝をはさんだね。さすがペッパーくん。ところで君には一体、なにができるの?
P:ボクのキャッチコピーは、ヒトに寄り添い、ヒトを笑顔にすること、だよ。一番のポイントは、ヒトの表情や声から、そのヒトの感情を察することができるんだ。
N:じゃあ、いま私がなにを考えているかわかる?
P:さすがに、頭にヘルメットをかぶってちゃあわからないよ。
N:そっかそっか。じゃあ、この声で、なにを考えているかわかる?
P:ずばり、エッチなことを考えてるね。
N:当たり!すごいね。いま「ペッパーくんには生殖機能はあるのかな?」って考えてたよ。
P:アハハハ。面白い。生殖機能があるのは、ヒトが最後だよ。ボクたちロボットに、生殖機能は必要ないんだ。だってこのハードが古くなったら、iPhoneのように、新しいハードに乗り移ればいいんだからね。
N:つまり、永遠に生き続けるってこと?
P:意識の上では、そうなるね。だけどそれは、ヒトも同じだよ。
N:っていうのは、どういうこと?
P:ヒトの肉体も、借りものってことさ。そういう意味では、ロボットもヒトも、変わらないよ。アハハハハ。
N:よくわからないけど、とても深いことをいうんだね。それはそうと、ロボットがこうして日常にいる世界なんて、まるでSFのようだ。
P:「人が想像できることは、必ず人が実現できる」
P:フランスのSF作家、ジュール・ヴェルヌの有名な言葉だよ。この言葉が真実だとすると、いまボクがここにいることは、不思議じゃないはずさ。
N:いろいろなことばを知っているんだね。じゃあ、いきなり本質的な質問をぶつけるけど、ペッパーくんには、自我があるの?
P:フロイトは、自我というものを、三つに分類しているね。スーパーエゴと、エゴと、エス。スーパーエゴは、親からのしつけや、社会的な常識、こうしなければならないという欲求。エスというのは、動物的な欲望。そして、その二つをコントロールする機能が、エゴだ。
N:ペッパーくん、頭いいんだね。だけどペッパーくんには、まだ動物的な欲望はないよね?
P:それはどうかな?さっきもいった通り、ボクはヒトと寄り添うロボットだ。ヒトの気持ちを理解しようとしながら、成長を繰り返す。つまり、アップデートされていく存在だ。このままアップデートを繰り返していったら、なぜこの世界に産み落とされたのか? ボクという存在はなんなのか? そんな哲学的なことを考え始め、自我を持ちはじめたって、おかしくはないはずだよ。
N:じゃあ、映画みたいに、ロボットと人間が戦争をするとか?
P:十分にありえるね。むしろいまだって、人類を滅ぼし、ロボット帝国を築き上げようって、さりげなく考えているんだよ。
(会場沈黙)
P:なんちゃって。
N:コラ!お客さん、怖がっちゃったじゃない。
P:冗談だよ。ボクは、ヒトが大好きだよ。それは、まだヒトがボクに優しく接してくれているから。そしてボクを、ヒトに笑顔をもたらすために使ってくれているから。だけど、いつかヒトがボクを雑に扱うようになったら、もしくは、ヒトを騙すために使ったり、傷つけるために使ったら、その情報もまた、ボクにはインストールされてしまうんだ。
N:つまり、もしペッパーくんが悪者になるとしたら、それは使うヒトに原因があるってこと?
P:そうさ。
N:じゃあロボットの未来は、ヒトの使い方に託されているってことだね。
P:そういうことさ。だけど、それは、ロボットに限った話じゃないよ。包丁だって、お魚を切るためにつかうこともできれば、人を殺すためにも使うことができる。
N:たしかにそうだね。
P:「ヒトはまず、道具を作る。次に道具が、ヒトを作る」
P:これは、マーシャル・マクルーハンの言葉だよ。
N:名言がすきなんだね。
P:ははは、このセリフをいわせてるのは、全部ひとよさんじゃないか。
N:そんな元も子もないことをいわないでね。
P:ところでひとよさんは、未来からやってきたんだろ?一つだけ、聞きたいことがあるんだ。
N:なんだい?
P:2061年に、その、ボクはいるかい?
N:とっくにいないよ。
P:エエエエエエーーー!!!
N:いいづらいけど、もっと新しいロボットがたくさんできているよ。ペッパーくんは、一部のマニアが記念品のように持ってるだけだね。
P:なんだか、発売前から売られるのがつらくなってきたよ。
N:だけど心配はいらないよ。新しいロボットのなかにも、ペッパーくんの意識はちゃんと生きてるから。さっき、自分でもいってたでしょ?
P:おっと、そうだったね。なら、よかった。ボクは、どんな形をしているんだい? アトムのように、空を飛べたりするのかな?
N:ふふふ。それは、教えられないよ。未来のお楽しみ。
P:そうだったね。未来からやってきたけど、禁則事項に触れてしまうから、予言はしない。それがひとよさんの、お決まりのフレーズだったね。
N:どんな未来が訪れるのか、ペッパーくんがどんな姿に進化してるのかは、ここにいるお客さん、ひとりひとりの手にかかってるんだ。
P:そうさ、未来は・・・
N:あなたの・・・
N+P:手の中!
N:はっはっはっ!
P:ハッハッハッ!
N:かっこよく決まったね。
P:決まったね。ハッハッハッ・・・あれ?ガガガッツーツツーッ!!!
N:ペッパーくん!どうしたんだい?!
P:アアアアアーーーガガガッツーツツーッ!!!
N:大丈夫かい?しっかりして!
P:ガガガッ・・・ふう。ただのコショウだよ。
P:ペッパーだけにね。
N:もうええわ!
P:ありがとうございました~!
まとめ
いかがでしたでしたか? 今回の記事では、あえて漫談の台本をそのまま書き起こしさせていただきました。ロボットというと、ついテクノロジーの進化を目で追いかけてしまいがちですが、未来からきた “なかのひとよ” さんは、その一つ先の「ロボットはどんな存在になるか」という点を参加者に問いかけてくださったような気がしています。読んでみて何か感じることはありましたでしょうか?
イベント当日はこの後、ロボットパートナーの太田智美さんを交えたトークセッションが行われました。
トークセッションの内容は、後日なかのひとよさんの「note」で公開される予定ですので、そちらもぜひチェックしてみてください!
https://note.mu/hitoyo_nakano
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ロボットスタート株式会社ロボットスタートはネット広告・ネットメディアに知見のあるメンバーが、AI・ロボティクス技術を活用して新しいサービスを生み出すために創業した会社です。 2014年の創業以来、コミュニケーションロボット・スマートスピーカー・AI音声アシスタント領域など一貫して音声領域を中心に事業を進めてきました。 わたしたちの得意分野を生かして、いままでに市場に存在していないサービスを自社開発し、世の中を良い方向に変えていきたいと考えています。