NTT「R-env(連舞)」ハッカソン2日目:成果発表

3月19日(土)、20日(日)NTTサービスエボリューション研究所主催の「R-env:連舞™」」ハッカソンが行われました。

初日の様子はこちらをご覧ください。

 NTT「Ren-v(連舞)」を活用したハッカソンが開幕【Sota、PALRO、BB-8等を連携】
 https://robotstart.info/2016/03/19/report-renv_hackathon_1.html

今回は2日目で行われた成果発表をレポートします。


各チームが発表に向けて追い込みをしています。

いろいろなロボットやIotデバイスを使うことのできるハッカソンなので、各チームにぎやかに作り込みをしています。




ホワイトボードにはいろいろなアイデアが書かれています。


開発時間終了です。ここから4チームによる発表がはじまります。

今回の審査ポイントは以下の3つです。

 ・新規性(今までにないものか)
 ・機能性(多くの機能が実装されているか)
 ・完成度(バグがない安定した品質のものがつくれたか)



■チーム1「Sota君のズバリ言うわよ」

作品の利用シーンは、ショッピングモールや遊園地などの期間限定コンテンツを想定しています。カップルや家族の思い出作りのお手伝いをします。

SOTA君を使って相性占いをしてみましょう。

カップルがSOTAくんの前に座りました。ここから相性診断のスタートです。SOTA君による質問とタブレットの画像が連動します。

まずは、SOTA君に顔認識をしてもらいます。

そして、SOTA君からの質問にボタンで回答を行います。

最後に、二人の相性を診断してくれます。

今回、実装した内容です。

チーム1の発表は以上です。



■チーム2「Neo Unit Bath」

一人一人に合った最適なお風呂空間を提供することが、NEO UNIT BATHのミッションであります。

どうしてお風呂場なのか?

それぞれの人がお風呂が求めることが異なります。美容のためだったり、湯治のためだったり。そして、お風呂場は裸で入るので究極のプライベート空間と言えます。

そこで、プライベートな個室空間で、ロボットによる最適なリラックスサービスを提供するというものです。

受付はSOTA君が行います。お客様との会話から最適なお風呂の種類を提案します。

サービスはPALRO君が行います。MicrosoftのProject Oxfordという機会学習アルゴリズムを連携させています。

HUEは、最適な照明・映像・音楽で空間を演出します。

BB8君は、館内のご案内を担当です。

お客様がやってきました。SOTA君が受付を行います。

お風呂に入るとムードある背景になりました。PALRO君は接客をしながら、最後にProject Oxfordで算出されたお風呂ポイントを教えてくれます。これはしっかり浸かっているのか、一定の時間入ったのかなどをチェックして算出されたもので、悪いお風呂の入り方だった時にPALRO君が改善点も教えてくれます。

チーム2の発表は以上です。



■チーム3「守れ!僕たちの地球を。」

「たくさんのロボットを生活する未来」と「人間がロボットのいる場所に行くのではなく、ロボットが人間のところに来てくれる未来」を想定して今回の作品を作りました。

まずは、漫画で今回の説明です。ゴミ捨て場にゴミを置いておくと、カラスや猫が荒らしてしまいます。

そこで出動するのが地球の平和を守るロボ軍団です。

今回の全体像です。では、それぞれ見ていきます。

ラズベリーパイと連動しているスイッチは、ごみ捨て場の平和を守るロボ軍団の任務を指示するのに使います。赤いボタンを押すとごみ捨て場を守り、緑のボタンを押すと警戒を解除します。今どちらの状態かはHUEのランプの色で確認することができます。

モーションセンサーは、警戒中はカラスや猫を感知してロボ軍団を出撃させます。解除中は人間が来たのを感知してロボ軍団が挨拶をします。

隣接センサー+HUEは、ゴミが置かれたことを検知します。

光センサー+スピーカーは、ロボ軍団の出撃に合わせて警告音を発生します。夜になったら自動で音を鳴らさないサイレントモードにになります。

ロボ軍団は、ごみ捨て場の平和を守るロボ軍団。1人のダンボーと2人のSOTAで構成されます。自動掃除機のRULOに乗って移動します。ダンボーはV-Sido内臓にカスタマイズ済みのものを連舞に対応したそうです。

家庭ロボは、ロボ軍団の任務状況を目のLEDで案内。家でぬくぬくしているので、外で働くロボ軍団には羨ましがられています。

せいせきモニターは、ロボ軍団の活動状況を案内するモニター。PHPを使ってサーバーで状況を集約しています。

忍者ロボは、ロボ軍団の影の仲間(SOTA)。ロボ軍団を見張り、盗難などに備えます。


もしカラスがロボ軍団を襲撃しようとした時には、IFTTTと連舞を対応させてシステムから、手元のiPhoneにPUSH通知が届きます。


チーム3の発表は以上です。



■チーム4「アド待ち(アトラクション待ち時間)」


遊園地などのアトラクションに行くとどうしても待ち時間が長くなってしまいます。そういう時に飽きずに何度でも楽しめる作品をつくりました。

SONY DS

SOTA君とPALRO君が園内の行列情報や天気予報などを教えてくれて、BB8君が自ら動いて案内をしてくれます。

時には記念写真も撮影してくれます。

今回のポイントは、状況に応じたマルチシナリオが作れるという点。ロボット同士やロボットと人とのインタラクションで飽きさせない。そして、インテリジェンスな検索で役立つ情報を提供してくれる点です。

マルチシナリオが提供できるので、来るたびにいろいろな掛け合いを楽しめて、待ち時間もアトラクション感覚になることでしょう。

今回、連舞で制御したデバイスと機能の一覧です。

チーム4の発表は以上です。

これで全てのチームの発表が終わりました。



■審査

参加者全員が1ポイントを持ち、優れていると思った発表に投票していきます。

そして、3名のよる審査員(NTTサービスエボリューション研究所 主席研究員 山田智広氏、ヴイストン株式会社経営企画室チーフ鷹野裕氏、そして当媒体の編集長の望月亮輔)によるポイントを加算して、入賞者が決まります。



■結果発表

準グランプリは「チーム3:守れ!僕たちの地球を。」

グランプリは「チーム2:Neo Unit Bath」」

審査員総評です。

ロボスタ編集長望月。

「グランプリのチーム2、準グランプリのチーム3は、ロボットならではの機能という点を特に意識されていたと感じました。

チーム2は、お風呂というプライベートな空間で、人間に裸を見られるのは抵抗があるのがロボットであれば抵抗が薄れるのではないかという観点が新鮮で面白かったです。現在はまだセキュリティの問題はあると思いますが、近未来のおもてなしを感じました。

チーム3は、一番多くのデバイスを繋げていましたが、様々なIoTデバイスを簡単に連携させられるというR-envの良さをとても活かしていると感じました。将来、一家に一台ではなく、複数台のロボットを所有しているというのが個人的に面白い観点だと感じました。

チーム4は、テーマパークというガヤガヤする場所で、音声入力が上手く作動しないであろう中、入出力のデバイスをボタンにしている工夫が素晴らしいと思いました。個人的にはgoo天気など、gooさんのサービスと連携していると更に、というところでした。

チーム1は、ロボットの開発が初めてでロボットのトラブルが起こったりする中、完成度が高いものを作られてすごいなぁと思いました。結果を発表する際にムーディーな光の色になったりするといった細かな工夫が素晴らしかったです。」

ヴイストン株式会社経営企画室チーフ鷹野裕氏

「ロボットのシナリオを作るときに、今やってる作業の代わりをロボットをさせるというのは難しいと思ってます。というのも今作業として成立しているものは今のままが一番いいと思われるからです。ロボットは今ない全く新しいことをさせたほうが適していてると考えていて、今ロボット関係に従事している方はみんなそれを目指して作っているんだと思ってます。今回入賞したチーム2とチーム3はそういう観点で作られていたので、素晴らしかったです。」

NTTサービスエボリューション研究所 主席研究員 山田智広氏

「チーム1は顔認識に苦労していて、そこが連携できたとき”できた!”って喜んだのがよかったです。シナリオも楽しかったです。

チーム2はお風呂というシチュエーションがずるかったです(笑)。人工知能との連携も素晴らしかったです。

チーム3は、本当にいろいろな種類のデバイスを使ってくれて、完成度の高いプレゼンでした。V-Sidoとの連携もありがとうございます。

チーム4は、BB8がかわいかったです。連携の綺麗さとしては一番良かったと思いました。

みなさま2日間楽しく開発していただいてありがとうございました。」

この後、準グランプリのチームメンバーには一万円分の商品券、グランプリのチームメンバーには五万円分の商品券が送呈されました。


ということで、参加者の皆さん、スタッフの皆さん、2日間お疲れ様でした!

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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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