「移動できるコミュニケーションロボット」ってどんな種類があるの? 代表例をまとめてみた

様々なコミュニケーションロボットが発売・発表される中で、今回は「移動ができるコミュニケーションロボット」にフォーカスを当てる。

移動ができるコミュニケーションロボットといっても、メーカーや機種によって移動方法の設計思想は様々だ。強いて大別するなら「歩行する」タイプと、「車輪などで移動する」タイプの2種類となるだろう。以下それぞれのタイプの代表例を見ていく。



歩行するタイプ

このタイプは通常人間の形を模したデザインが多く、二足歩行を行うものが多い。


nao

Nao。人間の足のような可動部位を持つ。

このタイプのロボットの代表例は、Softbank Robotics EuropeのNao、DMM.make ROBOTSのPalmi、シャープのRoBoHoN等が挙げられる。


palmi

Palmi。立ち上がり、二足歩行することができる。

人間同様に歩行する様子はロボティクスの進化を感じさせ、初めて見た人なら驚くことだろう。

ただし、現状市販されているコミュニケーションロボットの二足歩行は、本質的な移動に主眼を置いていないものが多い。例えば、曲がりながら歩けない、フラットな路面でないとバランスをとりにくい、走れない、長時間歩くことができない、故障や耐久性の問題など、ハードウェアの課題がないとは言えず、今後の進化が待たれる部分にもなっている。


aibo

新旧犬型ロボット。

人間の形ではない場合、多くは動物の形で4足歩行タイプとなる。一世を風靡したソニーの犬型ロボットaiboがその典型例だろう。また歩行とは言えないが、足の先端に車輪をつけたタイプも登場しており、ペット型のロボットはますます広がりを見せていくことが予想される。



車輪などで移動するタイプ

足で移動せずに、車輪などを使って移動させるロボットも多い。


buddy

Buddy。足に車輪が組み込まれている。

このタイプのロボットの代表例は仏Blue Frog RoboticsのBuddy、日立製作所のEmiew3、SoftBank RoboticsのPepperが挙げられる。


EMIEW3

Emiew3。足の写真でバランスを取りながら、人の歩行速度程度で移動可能。

二足歩行に比べると足回りのパーツはシンプルになり、故障面や価格面で有利だ。そして、何より移動能力が高いのが最大の魅力だ。


pepper

Pepperはオムニホイールを採用。

Pepperの場合には車輪を進化させた独自のオムニホイールが使われており、このホイールの中に3つのローラーが内蔵されており、これを回転させることで移動させる仕組みだ。これにより360度方向への自由な移動、移動速度の確保、バッテリー消費の低減が図れているという。


romo

RomotiveのRomo。スマートフォンを無限軌道付きの台座に乗せて使うロボット。少しの段差なら問題なく乗り越えられる。

車輪が中心ではあるものの、一部ロボットには無限軌道で移動するものもある。車輪に比べて一般的に悪路に強く、方向転換も場所をとらないため、実用的な移動に向いていると考えられる。



移動の目的が違う

これまで紹介してきた移動方法だけではなく、移動の目的もメーカーや機種によって考え方は違う。むしろこの部分こそ重要だ。


pepper

Softbank RoboticsのPepper。足にボール型の車輪が入っており、足を動かさずに移動する。

床に置いて部屋の中を自由に動かすということを目的とするロボットがある。前述のPepperやEMIEW3などはまさにこのタイプで、サイズも大型のロボットが多く、商用利用も意識したものになっている。またBuddyなどの車輪型、Romoなど無限軌道型はリモートコントロールにより部屋の中を移動可能で、留守番や見守りなどの用途には向く方法だ。


robohon

シャープのRoBoHoN。小さい本体にもかかわらずきちんと二足歩行できる。

一方、卓上に置いてちょこっと歩かせることを目的とするロボットもある。Nao、Palmi、RoBoHoNなどがその代表だ。人型の二足歩行により、卓上をあたかも人間のように歩くことができる。とは言え、部屋の中を自由に動くことを主眼としているわけではない。あくまでかわいらしさや愛着を湧かせることが目的と言えるロボット、もしくは学術研究用のロボットである。



持ち運べるロボットも登場

ロボットの自律的な移動とは別の切り口となるが、人間が持ち運んで使えるロボットも登場している。


robohon

RoBoHoNは持ち運べるキャリングケースも用意されるなど、持ち運ぶことを前提としたロボットだ。

持ち運べるという意味で優秀なのは現時点ではRoBoHoNだ。コミュニケーションロボットの中で唯一移動時にストレスなく使える通信手段を内蔵し、持ち運びやすいサイズ、バッテリーの持ちなど、総合的に見て圧倒的に持ち運びやすいロボットである。


nao

Naoサイズのロボットになると本体を保護しながら運ぶ必要がある。

それ以外のロボットでは、箱に入れて移動して、取り出してから使うという形となる。その場合にも、比較的サイズが小さく、軽量で、移動先であってもWi-Fi設定が簡単で、できればバッテリーの持ちが良いロボットを選びたい。

以上、今回の記事では、移動可能なロボットについて考察を行った。もし購入を検討するのであれば、移動の目的に合ったロボットを選んで欲しい。

それでは、楽しいロボットライフを!

僕はこう思った
部屋の中を自由に移動できて、さらに外に持ち運ぶのも楽なロボットがあれば理想的だけど、きっと高価なロボットになるでしょう。移動はできなくても安いロボット、移動ができても高価なロボットのどちらかを選べと言われると回答に困ってしまいます。性能と価格とのバランス、重要ですよね。



ABOUT THE AUTHOR / 

中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

PR

連載・コラム