【第2巻は本日発売!】大人気ロボットマンガ「アイアンバディ」作者・左藤真通先生インタビュー 「ロビンソンが世界を変える」

モーニングで絶賛連載中のロボットマンガ「アイアンバディ」の待望の第2巻が本日発売されました! ロボット業界の少し先の未来を描きつつ、ロボットにまつわる最新技術をわかりやすく説明してくれる「アイアンバディ」は、ロボット好きにとってはたまらない漫画になっています。



アイアンバディってどんな漫画?

最先端テクノロジーの結晶、「二足歩行ロボット」。

単独で二足歩行ロボットの開発に成功した、ベンチャー企業・西真工業代表の西村真琴は、圧倒的な資金不足に陥っていた。見果てぬ夢のために、研究をなんとしても続けようとするマコトだが——。

ロボットに青春を捧げた男の、世界を変える戦いが始まる!

アイアンバディ / 左藤真通 – モーニング公式サイト – モアイ より引用)

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©️講談社 / 左藤真通

これまでにロボットの漫画は数多くあれど、ここまでロボットを生み出す人々にスポットを当てた漫画はなかったのではないでしょうか。今よりちょっと未来を舞台にしたロボットクリエイターが「ロボットと共にエベレストを登頂する」という夢を追う物語です。

ロボット「ロビンソン」に憧れるのはもちろんのこと、主人公・真琴をはじめとする開発者のかっこよさにも心が動かされます。

今回、そんな現代のロボット漫画「アイアンバディ」の作者である左藤真通先生の独占取材をさせて頂きました。ロボスタ読者の皆様に左藤先生からプレゼントも頂きましたので、ぜひ最後までご覧ください。



ロボット漫画を甘く見ていた

編集部

ついに第2巻が発売されますね。モーニングの連載でも楽しく読ませて頂いていますが、技術的にも相当突っ込んだ展開が非常に多いですよね。

左藤先生

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アイアンバディ作者・左藤真通先生

そうなんです、それがめちゃくちゃ大変なんです(笑)

とにかく毎日毎日情報をインプットしまくって、1話ごとに全部知識がすっからかんになるくらいです。連載開始前に、相当甘く見ていたのだと思い知らされます。

編集部

情報のインプットはどのようにされているのでしょうか?

左藤先生

当然自分で本を読んだりもしますけど、ライターの森山和道さんを含め協力してくださる方が沢山いるので、理解できないことは理解できるまで何度もお話を聞きながら進めています。

あとはロボット系の会社の方やロボット研究者の方を取材させて頂いたりもしていますし、時間を見つけてはメーカーフェアなどのイベントを見に行ったりもしています。板金工場を見学させて頂いたこともありました。

編集部

左藤先生は元々ロボットにはお詳しかったのですか?

左藤先生

全く興味がなかった訳ではないので、ちょっとした知識はありましたが詳しいという程の知識はありませんでした。

編集部

そんな中でロボットを題材にされた理由は?

左藤先生

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モノづくりをする人たちの漫画を描きたかったんです。漫画を描くこと自体もモノづくりですし、共通点があって面白いのではないかと。

そこで、現代のモノづくりって何があるかなと並べていく中で、ロボットというテーマが出てきました。もともと興味もありましたし、魅力的なテーマに感じましたね。

編集部

そして、描いてみたら想像以上に難しかったと。

左藤先生

そうなんです。やはり理系のモノづくりを全くしていない私のような人間がロボットを理解しようとすると、前提として知っておくべき知識が多いので、毎日ハフハフしながら勉強しています。




「ロビンソン」を作る上で参考にしたロボットとは

アイアンバディの主人公・西村真琴が開発するロボット・ロビンソンは「倒れない」ことを突き詰めて作られています。第1話では、真琴がロビンソンをバットで殴りますが、殴られたロビンソンは後ろにジャンプすることで勢いを殺し見事に着地する様子が描かれています。

これは第1巻の中でも特に印象的なシーンの一つです。そんな倒れないロボット「ロビンソン」について聞いていきます。

編集部

ロビンソンをデザインするにあたってこだわったポイントはどこですか?

左藤先生

ロボットデザイン自体が初めての経験だったので、ちょっとふわっとした言い方かもしれませんが、「自分がカッコいいと思うカタチにしよう」と考えました。現実のロボットを作る際の考え方とは違うので、それを漫画に落とし込む時に無理が生じたりもするのですが、とにかく最初は怖いもの知らずだったので、いわゆるガンダムみたいな感じではなくて、ちょっとだけ無骨でシンプルなデザインにしようと考えていました。

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©️講談社 / 左藤真通

編集部

ロビンソンは「倒れないロボット」というコンセプトを持っていますが、どのようにしてこのコンセプトに至ったのでしょうか。

左藤先生

いろんなロボットの情報を集めている中で、シャフトが開発した蹴っても倒れないロボットを見つけたんです。ネット上でも大きな話題になっていたので、ご存知の方も多いかもしれません。このロボットが一つ参考になっています。

それを漫画で面白く見せるためにはもっと派手にしないといけないということで、一話でロビンソンをバットで殴るシーンがあるんですけど、その絵が実はアイアンバディで一番最初に描き上げたページだったんです。シーンとしても、画としても面白いものから描き始めました。

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左藤先生が一番最初に描き上げたシーン ©️講談社 / 左藤真通

編集部

ロビンソンには当初に比べて思い入れは強くなっていますか?

左藤先生

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初めて自分でデザインしたロボットということもありますが、真琴と一緒に作っている感覚がありますね。僕も真琴と一緒にロボットのことを勉強しながら作っているので、やっていくに従って思い入れは強くなっています。




ロボットの競技大会は「思った以上にすごい」

編集部

第1巻では二足歩行ロボットの総合格闘イベント「ロボット・ファイト・クラブ」が一つの見所となっており、第2巻ではそれに続いて新たなロボット競技大会もスタートしますね。

左藤先生ご自身もロボットの競技大会を見に行かれたのでしょうか?

左藤先生

メーカーフェア内で開催されていたロボットプロレスを見ました。あとはニコ生で配信されているロボットの競技大会などは漫画を描きながら見ていたり、競技に参加されている方のインタビューを読んだりもしましたね。

編集部

競技大会にはどのような印象を持ちましたか?

左藤先生

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「思った以上に動く!」という印象でした。実は見学する前はもう少しもっさりした動きなんじゃないかとか勝手に想像していましたが、動きもとても速いですし、多彩な動きをするのでとにかくすごかったです。

見ている側も皆楽しんでいましたし、想像よりもずっと盛り上がっている感がありました。

編集部

今後もアイアンバディの中では競技大会を扱いますか?

左藤先生

2巻でも「ニンニン・ロボット・チャレンジ」という競技大会が出てきます。最初の競技大会と「ニンニン・ロボット・チャレンジ」の間に開発期間のことが描かれているんですが、そこはどうしても興味がある人たち以外はだるくなりがちなんですよね。

読んでいる方のほとんどはロボットを知らない方々です。下手すると全然興味がない方ばかりかもしれないので、そういう方の目を惹きつけるためにも、競技大会などの動きがある展開を入れる必要があるというのは担当編集さんとも話をしています。




真琴は金銭では動かない、ロビンソンが世界を変える

編集部

私が1巻で印象に残っているシーンは、西真工業が10億円での買収を持ちかけられるシーンです。真琴はホームレスで開発費がない状況にも関わらず10億円という提示額に対して「安すぎる」と断りますよね。

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大手企業から10億円での買収を持ちかけられるが断る真琴 ©️講談社 / 左藤真通

左藤先生

真琴は、理念や理想に基づいて動いているので、金銭では動かないんですよね。彼の中ではその理想はふわっとしたものではなくて、もっと具体的に捉えているんでしょうね。だから金銭では動きません。

編集部

そのあと真琴は「ロビンソンはこれから世界を変えるよ」と発言していますが、このような言葉は左藤さんの中でビジョンがないと描けないと思います。

左藤さんの中でロボット業界やロボットに対する未来像はありますか?

左藤先生

これが全くわからないんですよね(笑) 答えられる人っているのかな。

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もちろんロボットを開発している方々は未来像を持っていると思うんです。僕もアイアンバディを描いている以上はやっぱりロビンソンのような「バディ」になりうるようなロボットが出てきて欲しいとは思っているんですが、勉強していくにつれてそれはすごく先の話だと感じるようになりました。そもそもそこを目指してやる人はいるのかどうかということもありますよね。知れば知るほどわからなくなってきましたね。

ただ作中で真琴が言った「ロビンソンはこれから世界を変えるよ」ということに関しては、素直にそう思っています。真琴が目指しているのは「ロビンソンと共にエベレストを登頂する」ということなのですが、エベレストに登れるようなロボットだったら日々の生活に必要なことはどんなことでもできるはずです。

朝起こして、料理を作ってくれて、子供に服を着せてくれることすらできるようになるはずです。そういう意味で、ロビンソンが世界を変えるという発言が真琴の口から飛び出しています。

編集部

左藤先生の目から今現在のロボットはどのように見えていますか?

左藤先生

展示会に行ったりすると「こんなことができるのに、こんなこともできないのか」と感じることの連続です。なので割と印象は”ちぐはぐしている”というか。

でっかいアームで車を振り回すといった人間にはできないことをしていたり、将棋とか囲碁に関してもあっという間に人間に追いついたりしています。

片や、二足歩行をすること自体が相当のハードルが高かったりしますよね。

こんなにすごいことができているのに、一見簡単そうな動きができていない。その辺りが現実を見るとすごく”ちぐはぐした”印象を持っています。

編集部

ではロボット業界の方々にはどんな印象を持たれていますか?

左藤先生

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やっぱり情熱がすごいなということを感じます。

そもそも僕が描いているような二足歩行ロボットは、まだまだニーズが少ない分野ですよね。なので、一般的な欲とは違うところでモチベーションを上げているので、キラキラしている感じもありますし、真琴と重なる部分もあります。会って感じたことは、漫画の中でエッセンスとしてフィードバックされていると思います。




読者の方へ、そして2巻の見所

編集部

アイアンバディを読んでいる方々には、どういうことを感じてもらいたいですか?

左藤先生

「ASIMO」とかがやっていることは、想像以上に難しいんだということを伝えたいです。普通の人が感じた驚きと、実際に研究している人たちが受けた驚きは全然レベルが違うんだ、と。歩くだけでも難しいし、こんな簡単なことでも難しいのがロボットなんだっていうのを感じて欲しいです。

編集部に届くコメント等は拝見していますが、題材としては物珍しいので「ロボット開発の裏側を見れてよかったです」とか、そう言って頂けるのを励みにしています。

編集部

ロボスタの読者の方々は、実際にロボット業界の方だったりロボットが好きな方だったりします。何かメッセージを頂けないでしょうか。

左藤先生

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なんというか、「許してください」という感じです。一生懸命勉強するので、いっぱい叩いて、いっぱい許してください、と。

編集部

許してくださいって…(笑) やはりそういった方々の目は気になるのでしょうか?

左藤先生

もちろん気になりますよ! 構想の段階で「たくさんツッコミが入るよ」とは言われていたんですが、やっぱり忙しい中で言われると心が折れそうにはなったりします(笑)
毎日土下座しながらやっている感じです。

「一生懸命勉強するので、応援してください」というのが本音です。

編集部

最後に2巻の見所を教えて頂けますか?

左藤先生

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2巻では、真琴が新しいロビンソンの脚を実験するシーンがあるんですね。ボコボコ壊れながら、無理矢理走らせているのをひたすら見学するというシーンなのですが、そこは描いていて楽しかったですし、ダイナミックな画が描けたかなと思います。

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©️講談社 / 左藤真通

画的にもストーリー的にも、まさにロボット漫画という感じがして良いなと思っています。ぜひお楽しみください!

編集部

お忙しいところ、ありがとうございました!

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最後に読者プレゼントとして、左藤先生にアイアンバディ第1巻にサインをして頂きました。こちらは抽選で5名様にプレゼントします。どしどしご応募ください。

そして、第2巻は本日発売です。お近くの書店、もしくはAmazon等でお買い求めください。第2巻はますますワクワクする展開になっていますよ!


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左藤先生にはロボスタオフィスもご見学頂きました。

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望月 亮輔
望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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