【IoT業界探訪vol.11】シェアオフィス & Akerun のハッカソン、結果やいかに! – IoTデバイスハッカソンのススメ – - (page 2)

作品発表

Akerunとco-ba shibuyaを題材に7時間にわたって開発した今回のイベント。
最後にフォトシンス、tsukurubaの代表取締役を審査員にむかえてのプレゼンテーションを行った。
賞品と審査員各位のコメントを紹介しよう。

賞品

Akerun賞 : Akerun 1個
co-ba賞 : co-ba shibuyaフリーアドレス席 チーム全員分 6カ月分

審査員

河瀬 航大氏:株式会社フォトシンス / 代表取締役
ハッキングタイムのあいだ、会場中からAkerunの名前が聞けてとてもうれしかった。
次につながるアイデアが見つけられればとおもっている。


中村 真広氏:株式会社tsukuruba / 代表取締役CCO(Chief Creative Officer)
全国主要都市にMegaサイズのco-baをつくる「MEGA co-ba」プロジェクトを進行中なので、そこで使えるようなアイデアを見つけられればと期待している。


中村 圭佐氏 : 株式会社tsukuruba / チーフエンジニア
呉高専からの参加者を含め、co-baのコミュニティからの参加者と技術を通じてつながることができてうれしい。 




では、今回のイベントで開発された作品を紹介してみよう

人間パターンロック

周囲で作業している人たちとの交流するきっかけにするアイデア。
まず、co-baに在籍している人たちに好きな食べ物や趣味などを登録してもらい、プロフィールデータベースを作成する。
入室の際には登録したカードなどで普通に入れるが、退室時には、co-baに在室している人のプロフィールサーバーから生成された課題をとかないと退室できないというもの。
課題を解くには周囲に声掛けし、課題に沿ったプロフィールを持つ在室者のカードをかざしてもらう必要がある。

プロフィールが登録されたサーバーが、在室者の共通点を見つけ、「カレーが好きな人を3人集めなさい」というような課題を生成する

開錠に協力した在室者の空席がスマートホンのパターンロックのように見える。周囲に声掛けする機会を強制的に作ってしまうアイデア。


部屋キメルン!

不動産業者の悩みを解決するためのアイデア。
Akerunを使うことによって内見時にカギの貸し出しや随伴をするコストを減らすことができるというもの。
仲介手数料を減らしたい、というユーザーメリットにもかなうのではないかという意見もあった。

Webから開錠の管理や利用履歴でき、電気を契約していない物件に関してはいるカギボックスなどに使用することも検討中

botライクに操作することができるインターフェース


co-ba BUBBLE

前述のパターンロックに似ているが、こちらは登録されたプロフィールと顔写真から、パズルゲームのピースを作成し、クリアしないと開錠されない、というアイデア。
プレイするうちに全国のco-ba入居者と顔見知りになることができる。
地方のco-baの入居者とつながる手段や機会は意外と少ないので、一体感を醸成するアプローチとして有用なのではないかという意見があった。

呉高専に開設されているco-baから参加していた高専生チームの作品

パズルのピースは実際の入室時間などに合わせて出現するため、行動パターンとプロフィールが自然に頭に入ってくる


つながるツイッチ

・シェアオフィスに来る際にどの程度混雑しているか状況がわからない。
・まわりの人たちに声掛けをしにくい。
という声から開発されたco-ba専用の気軽につぶやけるコミュニケーションツール。
場所や時間を制限することで、リアルな行動を誘発するようなSNSという発想は面白いという感想が出ていた。

混雑状況を入退室履歴から可視化する機能

チャットツールで質問を共有。お礼にビールを一杯、といったようなサービス連携も検討している

一緒に食事に行くメンバーを募るナンパ機能


CO-BA LAB.

Akerunを設置したロッカーに「開発中のガジェット」や、「お菓子」などを置いてもらい、それらのモノを媒介にしてコミュニケーションを活性化するアイデア。
町中に普通にあっても面白いのではないか、という意見が出ていた。

Akerunを連携させることで、誰が興味を持って、ロッカーをあけたのかが履歴もとることができる

掲示板機能で活発なコミュニケーションを誘発させる


Ake don

シェアオフィス内に在室している人のプロフィールがすぐにわかるサービス「Ake don」。
来場時、開錠する際に顔写真を撮影し、プロフィール登録をしたデータベースにその日の顔写真や座席位置を更新する。

なお、来場時に撮影した顔写真を利用して、退室時は顔認証で開錠をするという機能を実装していた。

来場時に顔写真を撮影。プロフィール画像を更新することで、交流時に間違わずにスムーズに声掛けできることが特徴。

Ake donでは、顔情報とともに、プロフィール、座席位置(beaconと連携予定)などを提供することでコミュニケーションを促進する


表彰

Akerun賞

誰がおんねん

画像認識やスマートホームとの連携など、akerunの目指すべき方向性と合致していた。(河瀬氏)
co-ba賞

co-ba BUBBLE

業務系のアプリっぽくなってしまいがちなアイデアだったが、ゲーム性を加えるなど、若さゆえの面白いアイデアが良かった。(中村氏)
優勝

つながるツイッチ

当初上記二つの賞しか考えてなかったが、素晴らしかったので急きょ開設した。今すぐにでも導入したいので、プロトタイプを完成させてほしい。(中村氏)

まとめ

スマートロックの普及が進む中、明確にB2B向けに舵を切ったフォトシンスのAkerun。
使用者層と重なるスタートアップ企業家、シェアオフィス利用者のコミュニティでハッカソンを開催しただけあり、非常にリアルなアイデアが多く出ていた。


とくに印象の強かった「つながるツイッチ」は参加者や空間が限定された中で運用することで、初期のtwitterのような「つながり」を強く感じることができそうなアイデアだ。
時代を超えてユーザーが求めているSNS上でのコミュニケーションが、リアルな空間を制御するスマートロックで実現できるのではないか、という提案が非常に魅力的だった。




僕はこう思った
朝9:00から20:30の懇親会終了まで、密度が濃く、長時間のイベントだったが、非常に手厚い運営だった。
自社プロダクトやAPIの普及目的で行われるハッカソンは珍しくないが、CEO、CTOがメンタリングに来場する、というのはさすがに聞いたことがない。

熟練したファシリテーターと運営のもとで、製品開発企業のCTO CEO CoFounder 、ユーザー企業の代表取締役がメンタリングに参加するという非常に豪華なイベントだった。

今後、IoT機器のAPI利用が広がるには、こういったハッカソンを通じて、様々なサービスを連携させるアイデアを考えることが当たり前になる必要があるだろう。
その中で、このような手厚いサポートは高額な賞品以上にファンを増やす手段として有効だと強く感じた。

それ以上に「さすがにこれはやりすぎだろう」とも感じたけれども。

ABOUT THE AUTHOR / 

梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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