光る靴「Orphe」開発のnnf、「散歩」にフィーチャーしたサービスを発表

光る靴「Orphe」を開発する「no new folk studio inc.(通称nnf)」という会社をご存知だろうか。社名を知らなくても、この「Orphe」を見たことがあるという人は多いだろう。



詳細はこちらの記事にてご確認頂きたいが、ソール部分に約100個のフルカラーLEDが内蔵されており、LEDの光が拡散するように設計されている。

そして、9軸(3軸加速度・3軸角速度・3軸地磁気)のモーションセンサーが内蔵されており、センサーの動きに合わせて光らせることで、パフォーマンスの魅力をより引き出すことが出来る。AKB48の公演でも使われた実績があり、メディアで取り上げられる機会も多い。

様々なファッションブランドとのコラボや、メディア芸術祭での受賞など、これらの活躍からも「エッジの利いたプロダクトを作る会社」という印象を持っている方も多いだろう。

そんな同社は、今月6日まで開催中の「CEATEC JAPAN 2017」の「デンソーブース」にて、サンダルやスマホアプリで構成されたサービスプラットフォーム「#アルカルツアーズ」の展示を行なっている。



掲げているコンセプトは「上質な散歩」だ。今回の記事では、このサービスがどのような経緯で作られたのか、彼らが参画する「#アルカル」という活動とともに紹介していく。



#アルカルとは

#アルカル」という名前は、「歩く」と「カルチャー」を掛け合わせて作られた造語だ。これは、デンソーが旗振り役となって始まった、「『歩く』を楽しく、『歩く』を気持ちよく」をコンセプトとしたオープンイノベーション活動である。



自動車部品を主に扱う「デンソー」が「歩く」をテーマに活動をしていることは意外に思う方も多いかもしれない。しかし、自動車社会の発展に伴い運動する習慣がなくなってしまったように、今後自動運転車の浸透に伴い、私たちは街を歩くことがさらに少なくなっていくことだろう。

そこで同社は、「自動車」というプロダクトの域を出て、「移動する」こと自体の価値を問い続ける必要があると考えたのである。



私たちの生活の中で最も根本となる移動方法は「歩く」ことだ。
デンソーは、この「歩く」に関わる様々なプレイヤーを巻き込むことで、「歩く」ことの文化的価値を創造していくために、この「#アルカル」を立ち上げたのだという。



特別な散歩ルートを作れる#アルカルツアーズ

今回発表された#アルカルツアーズは、そんな#アルカルの中で生まれた、誰もが自由にお散歩を作れるプラットフォームである。キュレーターが街の見どころを「お散歩ポイント」として自由に設定することができる。そして、それらのお散歩ポイントを歩き回ることで、ユーザーは上質な散歩を体験することが出来るのだ。



それではこのサービスをコンセプトムービーで見てみよう。動画に登場するキューレーター役は、街歩きの達人と言われている「デイリーポータルZ」編集長の林雄二さんだ。今後は様々なキュレーターが、地域の観光資源を掘り起こし、お散歩ポイントを作ることができるようなプラットフォームになるのだという。



#アルカルツアーズが目指す世界観

ここで、動画を元に、#アルカルツアーズが目指している世界観を紐解いてみる。



ユーザーは旅行に来た際に宿などで荷をほどき、「#アルカルサンダル」というセンサーが埋め込まれたサンダルを借りて、キュレーターが作った散歩ポイントを巡る「お散歩」に出かける。



スマホアプリとサンダルに導かれて「お散歩ポイント」を訪れ、現地でしかできないような経験をすることができるのだ。



キュレーターが選んだ「お散歩ポイント」は、いわゆる「観光名所」とは違った、現地の人しか知らないようなオリジナリティのある場所である。しかしユーザーは、チェックインするまでそこに何があるかは教えてもらえない。「行ってみてからのお楽しみ」というわけだ。



サンダルにはセンサーが搭載されており、歩行データを取得し屋内も含めた正確な移動経路を記録する。ツアーが終われば、その経路と共に、撮影した写真を思い出として残すことができる。サンダルに搭載されたLEDによる光の演出はユーザーの「楽しさ」を増幅させ、現地で生活する人たちにも、「旅行客が自分達の街を満喫している」姿を伝えるのだという。

ネット上においては、情報をまとめた「キュレーションメディア」が数多く存在する。一方で、地域で起こる日々の出来事や、細かな情報をキュレーションし、コンテンツ化することができるサービスは、まだない。

情報の収集や、屋内での位置の測定など、いくつかの壁が存在していたからである。

しかし、ビーコン等のインフラ面の充実や屋内測位する技術の向上など、サービス提供側の敷居は徐々に下がってきている。加えて、観光スタイルが一律的な「パック旅行」から離れ、日々の生活の中でも「インスタ映え」などオリジナリティの高い場所を求めている状況も、このような普通の旅では出会えない場所に行きたいというニーズを高めていると言えるだろう。

このニーズがサービス提供の難易度を上回った未来においては、こういったサービスが本当に実現するかもしれない。



#アルカルの挑戦

今回の「#アルカルツアーズ」は、前述の通りデンソーのCEATECブースの中で紹介されている。「#アルカル」のコンセプトを提示することを目的にデンソーのバリューイノベーション室のデザイナーである平賀直武氏や、nnfのスタッフを中心に、多くのメンバーを巻き込んで作られた。


サンダルの素材や光り方の演出について打ち合わせを重ねる綿密な打ち合わせを重ねるプロジェクトメンバー。写真左からnnf 西川氏、新美氏、Denso平賀氏、nnf金井氏

アプリやコンセプトムービーの中での動き一つ一つについても意見を交わす。写真左からnnf 松葉氏、菊川氏、中西氏

そして、このプロダクトからは、CEATECでの展示にとどまらず、さらに多くのメンバーを#アルカルに巻き込んでいこうという意気込みを感じる。



たとえば、散歩する際のアイテムとして、靴ではなく、「サンダル」を選んだこともそうだ。

サンダルであれば、サイズの制約や「共用」に対する心理的な抵抗を小さくすることができる。こうすることで、地方の自治体や、一般のホテルなどでも、気軽に実証実験できるようなコストにまで、値段を下げることができるかもしれない。

また、サンダルであれば、オフィスなど屋内での履物として使うユーザーも多い。そのことから、「#アルカル」の参加企業の一つである株式会社イトーキは、この経路を計測できる「#アルカルサンダル」を社員のオフィス内の動き方を計測するための、実験機材のひとつとして利用できないかと考えている。

住宅メーカーやテーマパーク、美術館などを運営する企業なども巻き込むことが出来れば、各所での設備やコンテンツと人流の相関が紐解かれていきそうだ。


今後も「#アルカル」では、大手メーカーからスタートアップ、行政から個人まで巻き込み、プロジェクトを進めていくという。リソースやアイデアを互いに持ち寄って、「歩く」ことの文化的な価値を向上させることが目的だ。

今回のCEATECでの展示は、始まったばかりの#アルカルの姿勢を象徴する一つの成果になったのではないだろうか。

また、この展示は、nnfが「Orphe」で培ってきた技術を活用して、新たなチャレンジをする一つのきっかけになったことだろう。これからも「#アルカル」のプラットフォームを通して、様々なプレイヤーのチャレンジがみられることに期待したい。



まとめ

華やかな活動が目立つnnfだが、その軸は「日常を表現にする」というコンセプトだ。

#アルカルツアーズでは、SNSなどを通じて発信され、消費されていく「地域の日常」をすくい上げ、キュレーションする。そして「普段の散歩」を上質な物語のようなツアーにまで引き上げて、ユーザーに提供する。

一見、ミスマッチに見える#アルカルツアーズとnnfの組み合わせだが、その機能をnnfの活動コンセプトに照らし合わせて考えると、共通するものが見えてくるのではないだろうか。

これからも“予想”を裏切り、“期待”を裏切らない、nnfの動きを見逃さないよう、注視していきたい。



#アルカルは、大手、スタートアップ、行政、個人の垣根を超えて、「歩く」に関連したプロジェクトを進めているプレイヤーの参加を待っている。興味のある方はぜひこちらのリンクから問い合わせてほしい。

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ロボスタ編集部
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