AI「タクシー配車支援システム」競争が加熱!トヨタとKDDI、アクセンチュア、JapanTaxiが連携して都内で実証実験

トヨタ自動車株式会社と日本交通の関連会社であるJapanTaxi株式会社は、KDDI株式会社、アクセンチュア株式会社と共同で、タクシー運行実績に、スマートフォンの位置情報ビッグデータを利用して生成するモバイル人口流動統計(人口動態予測)やイベントなどの情報を掛け合わせて予測したタクシー需要を配信する「配車支援システム」を開発し、東京都内で試験導入を開始したと発表した。
2018年度中の実用化を目指す。

人工知能を活用したタクシー乗車需要予測サービスは、NTTドコモと東京無線協同組合、富士通、富士通テンと共同開発した「AIタクシー」が先行している。昨年より実証実験を重ね、先月、東京23区、武蔵野市、三鷹市では東京無線タクシーの1,350台、名古屋市ではつばめタクシーグループの1,150台のタクシー車両が既に走行を開始している。
また、ソフトバンクグループのAgoop(アグープ)は、最短10分前の人の流れを地図やグラフなどを使ってわかりやすく可視化するサービス「Kompreno」(コンプレノ)の開発を発表している。


タクシー需要予測技術とは

同システムに使われるタクシー需要予測技術は、人工知能(AI)を活用して東京都内500mメッシュ毎のタクシー乗車数を30分単位で予測するもの。

4社は、タクシー運行実績や人口動態予測だけでなく、タクシー需要への影響が大きい気象、公共交通機関の運行状況、大規模施設でのイベントなどのデータをAIに取り込み、需要の大小に応じた複数の学習モデルを適用しており、この予測技術の精度を東京都内で検証した結果、正解率94.1%という高い精度を実現できた。
位置情報ビッグデータはauスマートフォンユーザーから位置情報取得の同意を得て個人が特定できないように加工しているとのことだ。

なお、ドコモやソフトバンクグループの取り組みや技術解説については、関連記事「AIタクシーで先行するドコモ、追うソフトバンク「モバイル流動人口統計」ってなに?」を参照のこと。

今回の実証実験内容

4社は、2018年2月から同システムをタブレットに実装して、日本交通株式会社のタクシー数台に試験導入することで、実環境での有効性の検証を開始した。

タクシーに搭載されたタブレットの地図上には、予測されたタクシー乗車数だけでなく、周辺の直前の空車タクシー台数も同時に表示されており、ドライバーは需要と供給のバランスを見ながらタクシーを運行する。

これにより、需要が大きいものの空車タクシーが少ない場所に車両を集めることができ、利用者の待ち時間を減らせるだけでなく、車両の最適な配置によってタクシーの乗車率を向上することも可能になる。

また、営業成績の良いドライバーの知見に基づいた「お客様を見つけやすい走行ルート」のデータを、ドライバーはタブレット上で受け取ることもできる。


各社の役割

※クリックで拡大
トヨタ
•収集したビッグデータの加工・分析をモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)で行い、タクシー需要の予測情報をJapanTaxiに提供
•気象、公共交通機関の運行状況、大規模施設でのイベント情報などタクシー需要に影響するデータの確保

JapanTaxi
•タクシードライバー向けタクシー需要予測情報の配信アプリの開発
•タクシー会社を通じたタクシー運行実績、空車タクシーの位置情報、お客様を見つけやすい走行ルートの収集および提供

KDDI
KDDIが保有している位置情報ビッグデータを活用した、移動や滞在などの人の動きを加味した人口動態予測技術の開発および予測情報の提供
(※位置情報ビックデータはauスマートフォンユーザーから位置情報取得の同意を得て個人が特定できないよう加工済)

アクセンチュア
•他3社と共同で要件を定義しタクシー需要予測エンジンのAI分析アルゴリズムを開発




今後の展開

今回の試験導入では、実際に同システムを利用したドライバーの2月の売り上げが平均で前月よりも1日あたり20.4%増え、ドライバー全体の増加率9.4%を上回る成果が出ており、2018年度中の実用化を目指し、今後順次、試験導入するタクシーを数十台に増やしていく予定だ。

4社は、同システムがタクシーの利便性を高めるほか、新人タクシードライバーの研修ツールとしても活用できるなど、タクシー業界の変革に貢献すると考えている。

また、今後タクシー車両向けに順次搭載を拡大していく通信型ドライブレコーダー「TransLog」から収集される「走行画像」の解析結果と、タクシー需要の相関関係の研究も進め、同システムに活用することも検討中としている。

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ロボスタ編集部

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