東京大学の山中研究室(Prototyping & Design Laboratory)が開催しているプロトタイプ展2018「Parametric Move 動きをうごかす展」をレポートする。
動きのある展示物を見学者がダイヤルを操作することで「動きをうごかす」ことができる展示となっており、老若男所問わず楽しめる内容だ。そして特にロボット好き、業界関係者にはとても興味深い展示となっている。

会場は東京大学駒場リサーチキャンパス S棟。駒場東大前駅直結の東京大学教養学部とは場所が異なるので注意。

東京大学生産技術研究所S棟の1階ギャラリーが会場だ。

S棟の外から盛り上がっている様子がわかる。

早速会場内へ入ってみる。

会場内は盛況だ。
ここからひとつずつ展示内容を紹介したい。
(なお当日は「Walk」という展示物は調整中で展示されていなかった。)
E.E.E – Emotional Expression Ear

耳をイメージしたプロトタイプ。耳の動きで感情を表現するという。
形状だけでなく動きもダイヤルを動かすことで制御できる。スマートスピーカーやロボットに呼びかけたときに耳がこのプロトタイプのように動いたら素敵だと思う。
F.o.G – Face on Globe

先入観の少ない幾何学形状を持つインタラクティブロボットのプロトタイプ。
ダイヤルをひねることで平面の面積が変化し、擬人化の度合いを変えることができるというもの。球体が平面を持つ形状に変化する動きは新鮮だ。
READY TO CRAWL

Additive Manufacturing(AM)技術で作られた生物型の機械。モーター以外のパーツはすべて連結された状態でプリントして作られている。
3Dカムの傾きや偏心量を変化させながら滑らかで柔らかい動きを見せる。見ていて飽きない動きだった。

ムカデのように組み合わされた機械。
生き物としかいいようがない動きを見せる。

ダンゴムシや6足歩行の機械。
これもAM技術ならではの構造で絶妙な動きを実現している。
breathing Skelton

とても動くようには見えない骸骨のオブジェだが、これは呼吸動作を骨格だけで再現するプロトタイプ。
柔軟な構造を用いることでリアルな呼吸の動きを実現している。ダイヤルをひねると呼吸ペースを変化することができる。
Waving Memory

周囲の記憶を蓄積し続ける人工物のプロトタイプ。
人との接触を波という動きで記憶し、それを動きとして表現する。
Parametric Tube

ナイロン繊維をらせん構造で構築したプロトタイプ。
回転の振幅を変化させることで、筒の形状が様々に変わる様子が気持ち良い。
Aerial Biped

ドローンの下に2本足を装着し、ロボットを重力から開放するというプロトタイプ。
ダイヤルを回すことで足の動きが変化する。軽やかな足取りは目新しい。
SEER – Simulative Emotional Expression Robot

ゲストアーティストの藤堂高行氏が制作したSEERは、視線と表情の表現力を追求した小型ヒューマノイド。

コントローラーで眉の形や瞼の開き具合が変えられる。
目の動き、眉の動きの組み合わせで表現される感情の豊かさに驚かされる。
展示は本日6月17日の19時まで。実際に「動きをうごかす」体験をしてみることをおすすめする。