第8回ロボット大賞が発表! 大臣賞ダブル受賞はファナックの「ZDT」

今回で第8回目の開催となった「ロボット大賞」の各賞が発表された。

ロボット大賞は、ロボット技術の発展やロボット活用を促すため、特に優れたロボット等を表彰する事業であり、平成18年に開始されたもの。

これまで交付を行ってきた」経済産業大臣賞」に加え、「ロボット新戦略」に基づき、新たに「総務大臣賞」、「文部科学大臣賞」、「厚生労働大臣賞」、「農林水産大臣賞」、「国土交通大臣賞」の5つの大臣賞が創設されている。

平成30年4月23日から6月29日までの募集期間に寄せられた全161件の応募の中から、第8回ロボット大賞審査特別委員会の審査により、各賞の表彰対象が決定した。


経済産業大臣賞 / 総務大臣賞 「ZDT」

経済産業大臣賞と総務大臣賞をダブル受賞したのがファナックの「ZDT」だ。

工場で稼働している産業用ロボットをネットワークで接続し、ロボットからの情報をサーバで集中管理することで、予防保全や故障予知を実現し、ダウンタイム(稼働停止時間)をゼロにするIoT技術。ロボットの機構部やシステムの状態を監視し、実際に故障を予知した場合には顧客に自動でメール通知する等、サービス員が電話連絡して注意を喚起することでダウンタイムを未然に防ぐことできる。

高く評価されたのは、IoT化による新たな顧客価値の創出に加えて、収益事業として成功させたその事業実績。

「製造業における生産性向上や保守要員不足といった課題解決に寄与するという点に加え、製品のネットワーク化によるビッグデータ解析を通した新たなソリューションの提供という、情報通信技術を有効に活用したモデルを示したという観点での功績が大きい」との評価を受けている。


文部科学大臣賞 「Omni-Gripper」

文部科学大臣賞を受賞したのは、 東北大学(田所・昆陽・多田隈研究室)の耐切創性式の柔剛切替グリッパ機構「Omni-Gripper(オムニグリッパー)」だ。

袋自体に「柔剛切替機性」を持たせるために、袋膜間に粉体を充填して三層構造とすることで、粉体充填量を少なくし、それにより高い柔軟性を特徴とする新たなグリッパ機構。

低い押付力でも対象物形状へのなじみ性が高く、さらに素材の工夫により耐切創性を保有するため鋭利な対象物でも袋が破けることなく把持することができる。

瓦礫群が存在する災害等での現場ニーズに対応した技術として高い評価を受けた。


厚生労働大臣賞 「ウェルウォーク WW-1000」

厚生労働大臣賞を受賞したのは、トヨタ自動車株式会社と藤田医科大学(学校法人藤田学園)により共同開発された「ウェルウォーク WW-1000」。

これは、脳卒中などによる下肢麻痺者を対象とする、リハビリテーション支援ロボット。運動学習理論に基づいた様々な機能を一つのロボットシステムにインテグレーションした。患者の能力に合わせた練習難易度の調整機能や、患者自身に状態をフィードバックする機能等を豊富に備えているほか、簡単な着脱、操作パネルによる一括操作など、ユーザー視点で作り込まれた機能、構造によって臨床現場での使い易さを実現している。

リハビリ現場に導入されることを第一に考えた社会実装の面が高く評価された。


農林水産大臣賞 「空からの精密農業」

農林水産大臣賞は、株式会社ナイルワークスの完全自動飛行のドローンによる「空からの精密農業」。

農業用ドローンおよび生育診断クラウドサービスを稲作農家向けに提供する農業ビジネスで、ドローンを作物上空30~50cmの至近距離を飛行させることにより、薬剤の飛散量を大幅に抑えるだけでなく、作物の生育状態を1株ごとにリアルタイムで診断し、その診断結果に基づいて最適量の肥料・農薬を1株単位の精度で散布する新しい精密農業の実現に取り組んでいる。

低空飛行ドローンによる新たな精密農業に取り組んでいるという先進性および独自性が高く評価された。



国土交通大臣賞 「土石流予測システム」

国土交通大臣賞に輝いたのは、東北大学 フィールドロボティクス研究室/国際航業株式会社/株式会社イームズラボ/工学院大学 システムインテグレーション研究室により共同開発された「ドローンを用いた火山噴火時の土石流予測システム」。

ドローンと各種センシング技術を活用して、火山噴火時の立入制限区域内における地形情報、降灰厚、灰の種類、雨量に関する情報を遠隔から取得し、これらの情報を用いて現実に即した土石流発生予測を行うシミュレーションが可能となるシステムだ。

個々の観測技術を一つのシステムに統合したパッケージ技術として完結させている独創性が高く評価された。


これらの各省庁の大臣賞に加えて、中小・ベンチャー企業賞、日本機械工業連合会会長賞など全12のロボットやシステムが受賞した。表彰式および合同展示は、「World Robot Summit 2018 / Japan Robot Week 2018」の会場内にて開催される。


Source:第8回ロボット大賞

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ロボスタ編集部

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