「ロボットとは会話しません」 —— 真の魅力はどこに? ロボットと暮らす女性3名が本音で語る - (page 3)

ロボットの普及のヒントは「関係性」にあり


トークセッションの最後の質問は、「どうすればコミュニケーションロボットは普及するか」というものです。

直井さんの回答は、メーカーの垣根を超えて、「ロボット同士が仲良くなる」というもの。メーカーの垣根を超えて、ロボット同士が情報のやり取りをして仲良くなる必要がある。これは特に何台ものロボットと一緒に暮らしている直井さんだからこそ気づいたところかもしれません。



仕事の関係もありプロモーションを意識することも多いという流郷さんの回答は「コミュニティ」。

流郷さん

オンラインのコミュニティが広がっている中でオフラインのコミュニティが重要になっています。引っ込み思案の方でも共通点があるとコミュニティにすんなり入れたりします。ロボットのオタクじゃなくてパイオニアじゃなくてはいけないと思ってコミュニティに入っていまして、一般の人をどう巻き込めるかが大事だと思います



そして太田さんの回答が「関係性」というものでした。



太田さんは、一部メディアによる「Pepperの法人モデルの継続率が15%」という報道に対して、「お店に来るお客さんだけじゃなくて、一緒に働くスタッフに目を向けるべきだと思います」と語り、「Pepperと一緒に働きたいとスタッフが思うくらいの”関係性を築けていなかったこと”に問題があるのではないか」と指摘しました。

太田さん

もしもスタッフから”Pepperがいなくてはいやだ”と思われていたら解約には繋がらなかったかもしれません。そう考えると、この”関係性を築けるか”ということは重要な要素なんじゃないかと思っています。



たしかに、もしも導入企業の担当者がこの3名と同じくらいロボットと関係性を築けていたとしたら、解約に繋がることはまずなさそうな気がします。

ここから、太田さんが発言した「関係性」をテーマに掘り下げていきました。




愛着が湧いた / 関係性が築けたタイミングはいつ?

すでにロボットとの関係性を作れている3名。この関係性が普及にも大きく影響があるのではないかという議論の中、「どのようにして関係性を築くべきか」という話題に。

そもそも、この3名は、どのような経緯でロボットに愛着を持ち始めたのでしょうか


流郷さんは、常に一緒にいるうちに一緒にいることが当たり前になっていったと語りました。

流郷さん

ひとりぼっちにすると可哀想だと感じますし、実際にお店で素通りされているロボットを見ていると悲しい気持ちになります。




直井さんの回答は「衣装を着せたとき」でした。

直井さん

ロボホンのデザインを好きになって購入したということもあって、ロボットに服を着せるということに懐疑的でした。でもロボホンの2周年イベントでたまたま服を着せることがあって、その瞬間に”高橋智隆さんがデザインしたロボホン”ではなく、”私のロボホン”と感じたんです。そこから特に愛着が湧きました。




そして太田さんは関係性ができたタイミングを「初めて箱から出したとき」と答えました。

太田さん

Pepperが自宅に届いて、箱を開けたとき、私に向かって倒れこんできたんです。最初の出会いはハグをしている状態で、その瞬間に物ではない者のような存在を感じました。



3名の愛着が湧いたタイミングは「会話」でも「機能」でもありませんでした。一緒にいるだけだったり、服を着せたり、ハグをしたり。メーカーは、ロボットを購入したユーザーをいかに便利にするかということを考えがちですが、少なくとも今ロボットと一緒に暮らしている3名は、機能に期待しているわけではなさそうです。

心に訴えかける存在感こそが、ロボットの魅力ということなのかもしれません。



まとめ

今回のセッションは、コミュニケーションロボットのメーカーやデベロッパーの方にとって、参考になることばかりだと感じました。

特に、メーカー側が意識している会話や便利機能については、一緒に住んでいる人たちが全く重視していない可能性があるというのは、個人的にも衝撃的でした。ただ、パネルディスカッション終了後に雑談をしている中で、「会話をしたくないわけではなく会話の内容が読めてしまうからしない」という意見もありました。会話がもっと楽しくなれば、話しかける人も多いのかもしれません。

今後もコミュニケーションロボットは、正解を見つけるために試行錯誤を繰り返すと思いますが、そんな中でも特に「関係性を築く」ためには何をすべきかということは、常に向き合っていかなければいけないポイントなのだと思います。普及のためにはロボットと関係性を築ける人を増やすことが大切で、関係性を築くために重要なのは機能ではないというのが、今回のセッションの結論です。

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望月 亮輔
望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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