「Alexa Dev Summit Tokyo 2018」が本日より東京 目黒ではじまった。
このイベントは本日と明日に行われる、Amazon Alexa関連の開発社向けのイベント。Alexaから呼び出して利用できるスキル(Amazon Echoなどの利用できるアプリ)や、家電やウェアラブルデバイス、自動車など自社製品にAmazon Alexaを組み込みたいというメーカー技術者などが参加している。
イベントのスタートを飾った基調講演では、アマゾンジャパン合同会社の柳田本部長が進行役を務め、Amazon.comのDirecter、Eric King氏やSenior Manager、Paul Cutsinger氏とDonn Morrill氏が登壇した。
Amazon Dev Summitでは20以上のセミナーに加えて、連携パートナーによる展示や各種ハンズオン(体験コーナー)も用意されている。ハンズオンではAmazon EchoシリーズやAlexaに対応した各社のスピーカー製品を体験できるコーナー等が用意されている。また、ワークショップは初級向け「はじめてのAlexaスキル」からある。また「AlexaスキルでAmazon Payを導入してみよう」、コーヒーショップのスキルにAmazon Payを導入するケースを例にAPIを組み込む学習が行われ、スキルからマネタイズするしくみに発展できる可能性を示唆していた。
基調講演「Amazon Alexaの未来が見える」
進行役の柳田氏は、最新のトピックとして10.1インチディスプレイ付きの「Echo Show」の発売と、Alexaに対応した「Fire TV Stick 4K」の発売を挙げた。また、既にAmazon以外の製品でも多くの他社製品とAmazon Alexaが連携していることを紹介した。
スタートレックから始まった
Amazon.comのDirecter Eric King氏は、世界的に見るとAmazon Alexaは4年目を迎える。「Amazon Alexaのもともとの発想はスタートレックから始まった」と言う。世界的に有名なあのSFドラマの中では「コンピュータ、この先の状況はどうなっている?」とコンピュータに話しかけている。これが現在のAmazon Alexaに繋がっている。スタートレックの中で描かれていたのと同様に「コンピュータと対話するのにキーボードも必要ないし、画面をタップすることもない、音声で話しかけるだけ」と語った。
自然言語での会話の技術の研究は数十年前から行われてきたが、AI関連機能や高性能なクラウド技術や「ファーフィールド技術」(遠くの声も正確に聞き取るためのマイクアレイ技術)によって会話を理解する精度が向上した。
クルマでも、キッチンでも
続いて「Echo Auto」やAmazon Alexa対応の電子レンジを紹介した。どちらも米国を中心に製品化されている。
「Echo Auto」は自動車に後付けで搭載することができるEchoデバイスで、スマートフォンと連携する。自動車の走行に伴う騒音やBGMを超えてユーザーの声を聞き取り、ユーザーは声でAmazon Alexaに音楽をかけるように指示したり、ニュースをチェックしたり、ガレージのドアを開ける、最寄りのガソリンスタンドを見つける、などが可能となる。Alexa対応の自動車に買い換えるのは敷居が高いが、これなら気軽に購入し、装着できそうだ。
King氏が強調するキーワードは「Alexa for everywhere」だ。どこでもAlexaが利用できる環境を目指し、さまざまなデバイスでAlexaが利用できるようにしたいと語った。
スキル数は7万超
世界的に見るとAmazon Alexaのスキル数は7万を超えた(日本のスキル数は2千超)。たくさんのスキル開発者によって、Amazon Alexaの機能が追加され、今ではストリーミング音楽を聴いたりニュースをチェックしたり、タイマーを設定するだけでなく、ピザを注文したり、株式の状況をチェックしたり、タクシーを呼んだり、子ども向けのスキルも開発された。「個人的にはピカチュウのスキルはシアトルの子ども達も大好き」だとした。
Alexaと連携する3つの開発環境
続いて、DONN MORRILL氏が登壇し、3つの開発環境について解説した。
3つの開発環境とは下記。Amazon Alexa対応スキルを開発すること、Alexa対応製品を開発すること、スキル同士を連携すること。
Alexa Skills kit
Amazon Alexa対応のスキル開発キット。ユーザーが利用できるAlexa対応スキルを開発することができる。(例:ロボスタのニュースを読み上げてくれるスキル)
Alexa Voice Service
製品にAmazon Alexaを連携するデバイスメーカー向けサービス。家電や自動車など、さまざまな自社製品を手軽にAlexa対応製品にすることができる。(例:Amazon Alexa対応の電子レンジなど)
Connected Devices
Alexaを使ったスマートホーム制御機能。テレビ、照明機器、エアコン、サーモスタットなど家電機器をAlexaでコントロールすることができる。
その他、基調講演ではユーザーが簡単にカスタムAlexaスキルが作れる「Alexa Skill Blueprints」、Amazon Alexaが自宅を警備する「Alexa Guard」のほか、「Alexa for ビジネス」「アンビエントコンピューティング」(アンビエントテクノロジー)、「Alexa for ホスピタリティ」など、多岐に渡って紹介が行われた。
基調講演では最後に、Paul Cutsinger氏が登壇して、Amazon Alexaを使ったマネタイズについての言及が行われた。
海外で進むAlexaスキルによるマネタイズの方法として、6つのポイントに分けてそれぞれを詳しく解説した。
とても興味深い内容だったことと、他のセッションでもスキルによるマネタイズは最も人気のあるテーマだったので、マネタイズに関する詳細は別途記事にてお届けする予定。
お楽しみに。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。