障がいのある人たち向けにGoogleアシスタントを使いやすくする「Project DIVA」の取り組み

イタリアのGoogleスタッフが言葉を話せない弟のためにGoogle Assistantを使えるようにすべく「Project DIVA」を立ち上げた。Googleブログでこの言葉を使わずにスマートスピーカーを活用するための取り組みが紹介された。



Photo: Google

生まれつきの白内障、ダウン症、ウェスト症候群などを持つ弟は言語の能力がなく、音楽を聞くときにも兄弟や両親や友人を頼らなければならない状態だった。音声アシスタント搭載のスマートスピーカーを顎や足で大きなボタンを押すといった形で音声を使わずに操作できるようになれば、弟が他人の助けを借りずに済む。最終的に弟の独立性・自主性を高めるというのがこのプロジェクトの狙いだ。



Photo: Google

アイディアを実現するために作られたシステムは、大型ボタンとDIVAの箱とGoogle Homeを組み合わせた構成だ。ボタンを押すとDIVAの箱から無線でGoogle Homeを操作できる。Google Assistant Connectチームと協力を得て開発されたという。


このデバイスを弟が実際に使うシーンが動画で公開された。ボタンを押すと音楽が再生される。弟の笑顔からこのプロジェクトがうまくいったことがわかる。



まず単機能から始まったが、今後オブジェクトにRFIDタグを取り付け、オブジェクトごとに関連した動作を実行できるようにすることを計画中だという。Google AIY Voice Kitをと汎用RDIDリーダーを組み合わせたハードウェアの作り方がHackster.ioで公開されている。



Image: Technical Disclosure Commons / Interaction with smart assistants using alternative and augmentative communication

例えば人形を見せるとその人形が登場するアニメが再生されたり、傘を見せると天気予報を教えてくれる、笑顔のクッションを見せるとジョークを返してくれる、スイッチを押すと電球が点灯する、顔認識できるデバイスであれば表情を見て音楽を再生したり停止したいるするといったものが実現できるようになるという。他にも様々なアイディアがTechnical Disclosure Commonsで公開中だ。

音声デバイスは障がいを解消する新しい手段として今後ますます活用されていくだろう。また新しい事例があれば紹介していく。


Source:Google Blog

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中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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