アクセンチュアは、将来の自動車やモビリティの変化によって、人々の移動手段が大きく変化するとともに、社会に大きな変化が起こると指摘する。自動車業界の現在の注目のキーワードは「CASE」(ケース)と「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス)だ。「CASE」とは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared / Service(シェアとサービス)、Electric/Electronicの略称。
アクセンチュアは、CASE時代のモビリティ市場でのビジネスを考察した書籍「Mobility 3.0~ディスラプターは誰だ?~」を、5月31日から全国の書店で販売開始することを発表した。
また、書籍発売の発表に併せて、「Mobility 3.0時代の覇権シナリオ」と題して、モビリティの自動化が社会にもたらす変革の可能性やビジネス展望について報道関係者やジャーナリスト向けの発表会を行った。
Mobility 3.0によって社会が大きく変わる
「将来のモデビリティサービスは大きく変わり、それによって社会も大きく変わる」アクセンチュアはそう語る。バスやトラムは自動運転型のシャトルバスに置き換わり、レンタカーはカーシェアに、そして更に自動運転タクシー(ロボットタクシー)にとって代わる。タクシーもやがては自動運転(ロボットタクシー)になる。物流にも大きな変化が起こる。幹線物流や宅配物流の一定の部分は移動型店舗やオフィスへと代わっていくと予想する。
自動運転車はロボットタクシーとして事業展開できるので、法人にとって利益を生み出すモビリティ・アセットとなる可能性が高い。新しいモビリティ時代の登場により、既存のビジネスの一部が終幕するとともに、新たなビジネスが多数生まれてくると予想している。
更には、Mobility 3.0の到来は、自動車関連業界だけでなく、通信、ハイテク、金融、電力など多くの業界に変化が起こると指摘する。発表会の詳しい内容や将来の社会変化については、後日ロボスタの別記事でお伝えする予定。
書籍「Mobility 3.0~ディスラプターは誰だ?~」
同書では、自動車業界で起きている変化の兆しである、CASE全体像の解説から、新たなモビリティビジネスの登場、そして「通信」「ハイテク」「金融」「エネルギー」の4業界における新たな事業機会について論じており、この変化するモビリティ市場動向を予測することで、日本企業がこの市場で成長するための戦略やオペレーティング・モデルの変革に向けた指針を示しているという。さらに、自動車産業の視点だけではなく、モビリティ市場全体を捉えながら異なる業界の企業がいかに事業を成長させ競争優位性を築いていくか、その3つの予測シナリオについても考察している。
インターネットが世界を覆い尽くして約20年。デジタル化の波は自動車業界をも震撼させ、“移動”そのものを変えようとしている。「クルマは買って所有するもの」「クルマは運転するもの」「クルマはエンジンで走るもの」という従来の概念を壊し、“モビリティ”という新たな世界観の中に組み込まれようとしている。
これはもはや「モビリティ革命」と言ってもいいだろう。18世紀の産業革命では社会構造に変革をもたらしたが、それと同じことが“モビリティ”を中核として起きようとしているのだ。
生まれ変わる「モビリティ」の世界で覇者となるのは、製造業の頂点に君臨する自動車メーカーか、情報力で他社を圧倒するGoogleか、それとも資金力で世界を手に入れようとするソフトバンクか。生き残りを賭けた戦いはすでに始まっている。本書は未来のモビリティビジネスと、そこでどのような攻防が繰り広げられるのかを考察する。
著者
アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 川原英司氏
アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 北村昌英氏
アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 矢野裕真氏 ほか
出版元:東洋経済新報社
アクセンチュアの戦略コンサルティング本部でマネジング・ディレクターを務める川原英司氏は次の様に述べている。
「デジタル化の波は自動車業界をも震撼させ、“移動”そのものを変えようとしています。「モビリティ革命」とも言えるこの変化の波は、いま自動車業界ですでに事業を行っているか否かに関わらず、多くの日本企業にとって新たな躍進のエンジンとなる絶好の機会と言えるでしょう。私たちアクセンチュアは、このまたとないチャンスに挑む改革意欲のある企業や経営者、起業家、政府・自治体の皆さんとともに日本企業の躍進の波を作りたいと思っています。」
「Mobility 3.0~ディスラプターは誰だ?~」