ユカイ工学の「Qoobo」は高齢者の心を動かし、行動を促し、参加を促す 高齢者介護施設での実証実験で明らかに

ユカイ工学は、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo(クーボ)」を用いて、日本福祉大学福祉経営学部教授の尾林和子氏の協力のもと、2019年7月24日〜8月16日の期間、高齢者介護施設にて実証実験を行ったことを発表した。

今回の実証実験の調査は社会福祉法人東京聖新会が担当し、データ分析解析は一般社団法人ユニバーサルアクセシビリティ評価機構が行っている。


2種類の調査を実施

実証実験では、特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設の男女40名に対して、しっぽが動かないQooboとしっぽが動くQooboを初めて見たときに「どんな反応をしたか」を調査する「初印象調査」と、ひとりずつ一台のQooboを渡して、3週間24時間共に生活する「本調査」を実施。下記のカテゴライズされた項目を、5段階評価(-2,-1,0,+1,+2)として効果度を数値化した。

評価項目
・感情的な反応「怒り」「不安・恐怖」「中立」「喜び」「悲しみ」
・言葉による反応
・視覚による反応
・行動にみられる反応
・他者やグループとしての反応
・動揺・興奮(の軽減)

「初印象調査」では、マンツーマンでQooboをセッティングし、それぞれのリアクションを観察し、記録。「本調査」では、個別に決められた時間に約10分Qooboを目の前に置いて、観察し、その映像を記録する。この映像を評価者3人(介護現場スタッフ、主任クラス、評価指標改定担当者)が評価し、最終評価値は3者が合議して確定する。

その結果、しっぽが動かないQooboとしっぽが動くQooboの高齢者に対する効果を比較した時に、総合点ではしっぽが動くQooboによる効果が明らかに高く、人の「心を動かし」発話や撫でるなどの「行動を促し」、他者との活動と参加を促す契機となっていることが分かったという。



また、Qooboがもたらすポジティブな効果は、初めてQooboを見て触れたときだけに留まらず、その後3週間も持続したことも確認された。このことから、Qooboは従来のコミュニケーションロボット導入時の長期間利用に懸念されている「飽き」による効果の低下が見られず、ポジティブ効果がさらに大きくなる傾向が見られるため、「継続的に使用し続ける」ことが可能なツールであると期待される。

今回実験に協力した本福祉大学福祉経営学部教授の尾林和子氏は、以下のようにコメントしている。

本福祉大学福祉経営学部教授 尾林和子氏
「これ、オタマジャクシ?ネコ?あら、しっぽを振ってる!おもしろいっ!!!」これは、高齢者の方々がQooboに初めて会った時の感想の一部です。コミュニケーションロボットの中でもQooboは「つい、言葉が出てしまう」「つい、撫でてしまう」等、行動を「自然に引き出す」トリガーとなるところが印象的。人の心を動かし、高齢者ご本人だけでなく、周囲にも笑顔が広がることを確信した瞬間でした。「飽きない」存在であることも素晴らしいです。


Qooboの歩み

2017年10月の発表からわずか1週間で動画再生数1,000万回を突破し、クラウドファンディングプロジェクトでは目標額の247%(12,360,156円)を達成。同年の12月末から予約販売サイトで世界中から受付を開始し、発売前時点で国内外からの予約・受注数は併せて5000体を突破した。その後、国内外の多くのメディアでも話題となった「Qoobo」は、発表から約1年の開発期間を経て、2018年11月より一般発売が開始となった。



一般販売開始後は、AmazonのコミュニケーションロボットカテゴリーでAmazon売れ筋ランキング1位(2018年12月30日〜2019年1月5日実績)を達成。現在までの出荷台数は10,000体を超え、引き続き売り上げを伸ばしている。

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也
山田 航也

横浜出身、1998年生まれの20歳。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム