【日本初】楽天と西友が無人の自動走行ロボット「UGV」で商用配達サービス開始へ 写真と動画でレポート

楽天と西友は、一般利用者からの注文を受け、神奈川県横須賀市内の「西友 リヴィンよこすか店」から隣接する「うみかぜ公園」へ自動走行ロボットで商品を配送するサービスをはじめる。土日・祝日の「うみかぜ公園」では多くのバーベキューやピクニック、家族連れなどで賑わうため、それら顧客からの注文が対象となる。注文はスマホアプリ「楽天ドローン」で受け付け、「西友 リヴィンよこすか店」が商品を準備、公園内の6か所の配達場所のうち、顧客が指定したところに自動で届けるしくみ。

自動搬送車UGVの出発地点。後ろの建物が「西友 リヴィンよこすか店」

期間は、2019年9月21日(土)から10月27日(日)までの約1カ月間の土日。配送時間は決まっていて(選択制)、1日最大で6配送まで。雨天の際はサービス提供は中止。配送料金は一回300円。一般顧客を対象とした自動運搬車での商用の配達は日本初の試みとしている。
なお、UGVはUnmanned Ground Vehicleの略称。

使用する自動走行ロボット(UGV)。後ろに見えるのが西友。今回のサービスでは時速5~6km/hで走行。歩行者より少し遅い速度で移動する。ちなみにこの機種の最高速度は約20km/h。最大積載量は50kgまで対応できるが今回のサービスではそこまでの重量は想定していない(大きな保冷バック4つまで対応。それを超える注文の場合は顧客へ連絡して対応)

海に面した芝生が拡がる「うみかぜ公園」。海の向こうに猿島が見える。楽天と西友は、猿島へはドローンの自動配達をサービスを提供中。これも日本初(関連記事「【写真レポート】東京湾「猿島」ビーチで注文した缶ビールが海を渡って楽天ドローンで届く」)。この日も実際の猿島からの注文をドローンが配達していた。

公園内では配送サービスの告知と、アプリの使い方(注文のしかた)を解説するポスターが貼られている




無人の自動運搬車が配達する流れとしくみ

サービスの実施に先駆けて、楽天と西友は報道関係者向けに実際の配達を模したデモを現地「うみかぜ公園」(横須賀市)で公開した。

自動走行ロボットによる無人配送の手順は次のとおり。うみかぜ公園内の利用客は、スマートフォンのアプリを使って「西友 リヴィンよこすか店」に商品を注文することができる(商品の価格は同西友店舗で購入する金額と同じ)。商品は生鮮品を含む食材や飲料、アイス、救急用品など約400品目。今回のデモでは家族連れの2組が、ビール、焼肉用の牛肉、アイスクリーム等の商品を注文した。


注文時に利用客は、配達時間と受け取り場所(6箇所から選ぶ)を選択できる。アプリでは配達状況(UGVがいまどこにいるかなど)も把握できる。



注文を受けた「西友 リヴィンよこすか店」は商品を用意して楽天のスタッフに渡す。


楽天のスタッフはUGVに商品を収容してセットする


複数の注文でも別の扉に商品をセットすることで同時に配達することができる


商品のセットが完了したら「発車」ボタンを押すとUGVが配送ルートを計算し、やがてスタートする。


無人で受け取り場所までUGVが走行する。コース上の障害物を避けたり、人の飛び出しを検知して緊急停車するなどのデモも行われた。


UGVが受け取り場所に近づくと利用客のスマホに通知される。


利用客がスマホの暗証番号を入力すると、該当のトレーがオープン。


中から商品バッグ(保冷バッグ)を取り出してバッグから商品だけを受け取る(バッグは返却)。アイスを手にした子どもから笑顔がこぼれる


利用客が完了ボタンを押すと、UGVは次の受け取り場所へと向かう。


猿島をバックに、海に沿った道を走るUGV。


次の受け取り場所では同様に、通知を受けた利用客が商品を受け取る。


ここでも利用客から笑顔がこぼれた。利便性はもちろんだが、エンターテインメント性と未来を感じるサービスになっている。




動画ではUGVが自律走行する様子、商品を受け取る家族、人が飛び出したときの緊急停車、障害物の回避、軽い悪路の走破などがみられる。また、その後ろでちょうど離陸した猿島行きの配送ドローンもうつっている。

■動画



実際にサービス提供を行うことが将来につながる

報道発表会には、楽天株式会社 常務執行役員の安藤公二氏、合同会社西友 EC事業本部 バイス・プレジデント 野村佳史氏、楽天株式会社 ドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャー 向井秀明氏が登壇した。
安藤氏は「残念ながら現在はまだ道交法などの関係で、このUGVが公道をどこでも走れるという状況ではない。後ろの西友さんからこの会場までの公道を横切ることもできない。本来ならスタート地点を西友さんの中にして公園まで配達したかったが、現在はまだそれすらできない。ただ、私たちはこのサービスを実施することで、今後なにをすればUGVが公道を走ることができるようになるかを検証して、政府などに働きかけていきたい」と語った。


また、西友の野村氏は「2018年に西友、ウォルマートと楽天さんは戦略的提携をした。いろいろな取り組みをしているが、最もわくわくするサービスが猿島へのドローン配送とこのUGVでの無人配達サービスではないかと感じている。配送はドライバー不足など多くの現実的な課題を抱えている。その解決には自動化・無人化が重要であり、今回の取り組みは将来に向けて意義深いと考えている。もともと、この季節には、うみかぜ公園に訪れる多くのお客様に西友で買い物をしていただいているが、今回はUGVが届けてくれるという新しい体験をしていただき、未来を感じていただければ嬉しい」とした。

合同会社西友 EC事業本部 バイス・プレジデント 野村佳史氏

向井氏は今回のサービス提供の詳しいしくみやデモンストレーションを説明した。同社は「早期に一般利用者に自動走行ロボットの利便性を体感していただく機会を設け、自動走行ロボットによる配送の実績を重ねることで、公道を含む様々な場所におけるサービスの本格実現を目指す」としている。

楽天株式会社 ドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャー 向井秀明氏

なお、猿島のドローン配送サービスとともに、今回の取り組みは横須賀市が推進するスマートモビリティ(賢い移動運搬手段)を活用した新規ビジネス創出や社会的課題解決を目指す「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環となっている。



ドローン配送サービスの状況

楽天とドローンは離島、猿島のビーチから注文のあった商品をドローンで配送する商用サービスも行っている。ちょうどUGV発表会を開催したこの日もサービスが行われていた。
そのサービスの状況としては、注文数は70以上で、注文の開始の直後に予約が埋まるほど好評だという。配送した商品は450個以上にのぼり、人気の商品はアイス、牛肉、ソフトドリンクとなっている。ドローンのほうは9/28までとなっている。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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