小学生が作った「未来のゴミ箱」は自律走行&機械学習でゴミ分別 IoTセンサーで外の環境を検知!JJPC 全国小中学生プログラミング大会レポート

第4回 全国小中学生プログラミング大会の最終審査会と表彰式が東京、秋葉原で開催されました。応募は昨年の第3回大会の282作品を上回る351作品が寄せられ、一次審査と二次審査を通過した10作品が10月20日に秋葉原ダイビルに集まりました。
中には自律走行をして機械学習でゴミの識別をしたり、IoTセンサーを駆使した作品、身体が不自由な方が使える入力デバイスなど、大人顔負けの視点で作られた作品もありました。


最終審査は、ステージに登壇してのプレゼン形式ではなく、各出場者が作品を展示しているテーブルを審査員団が回り、あれこれと聞いてまわる方式が採用されました。そうすることで、子ども達がどのくらい自分たちでやったのかが具体的に聞けるとともに、プレゼンが得意ではない子どもからもいろいろな話が聞けるという考えからです。



グランプリに選ばれた作品は、小学校2年生の小長井聡介さんが制作した「現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機」です。
賞状と盾(後日発送)のほかに、副賞としてヒューレットパッカードのノートパソコンと+VR用ヘッドセットが贈られました。

審査委員長の河口洋一郎氏(東京大学名誉教授、アーティスト)からグランプリ賞品を贈られた小長井聡介さん

グランプリ作品のほかにも、子どもらしいゲーム作品や英語を楽しみながら学べる教材、身近な生活の課題を解決を目指したものまで幅広い作品が集まりました。その中でも特にロボスタ編集部の目を引いたのは、機械学習を使ってゴミを判別する動くゴミ箱や、各種センサーや太陽電池パネルなどを使ったIoTデバイスです。小中学生がIoTやAIに目を向け、学び、社会的な課題を解決しようとする時代は既にやってきているんですね。



ロボスタ編集部が面白い、と思った作品



未来のゴミ箱「CANBO」

機械学習を使ってゴミを判別する動くゴミ箱、すなわち未来のゴミ箱は「CANBO」です。人が多い場所に自動的にやってきてくれる動くゴミ箱。家の中でも便利かもしれませんね。


ゴミを捨てたい人が「CANBO」の前に手を伸ばすとセンサーで検知して停車してくれます。次に、捨てたいゴミをCANBOのカメラにかざすと、自動的にゴミの種別を判別、ゴミの種類に合わせて、カンとビン、プラスチック、生ゴミなどに合わせて適切な蓋が開くしくみです。

技術的にはゴミ箱の移動にはライントレースを使っています。プログラミングはスクラッチを使っています。ゴミの判別にはスクラッチの独自拡張機能の ML2Scratch を使っています。ゴミの種類別にたくさんの写真を撮って機械学習させた結果、ゴミを判別できるようになりました。


ゴミを入れるとQRコードが表示されます。これは将来、コードをスマホで読み込むことでポイントが加算されるを作りたいそうです。街の美化に貢献していることを評価してくれるシステムですね。また、今回はライントレースを使ってゴミ箱が移動していましたが、将来はGPSを使って屋外でも移動できるようにして、人が集まっているところを判別してゴミ箱が自律的に移動する方式をとって回収率を上げたい、と話してくれました。


これを作ったのは小学校6年生の2人と4年生1人、合計3人(川添結衣さん、小川桃佳さん、小川りりかさん)、およそ半年をかけて制作しました。


■ 動くゴミ箱 機械学習でゴミを自動判別、自律走行型



まほうのぼうしと黒猫アキラとピカつむり

屋外の天気、気温、湿度等が部屋の中でわかるIoTデバイスです。オレンジ色の魔法の帽子が天気・気温・湿度・晴れ/くもり/雨を検知するIoTデバイスで、室内のピカつむりに伝えてくれます。ピカつむりはその情報を元に、気温や湿度を数値で表示したり、天気の状況を顔の表情アイコンで表示、サウンドや音で伝えてくれます。

オレンジ色の魔法の帽子がIoTデバイスで外の状況を検知し、室内のピカつむりに伝えてくれます


例えば、雨が降っていると「あめあめ、ふれふれ」のサウンドで、気温が高すぎるとドクロマークと怖いサウンドで外に出るのが危険だと教えてくれます。

一生懸命しくみを解説してくれる千晶さんは小学校2年生。ドライヤーを使って暑い日を、スポンジと水を使って雨の日のセンシングを解説してくれました

制作は小学校2年生の越智千晶さん、お兄ちゃんにプログラミング等を教えてもらいながら作りました。




会話おたすけ音声ロボット (準グランプリ)

小学校3年生の安藤くんが制作した文字入力と音声読み上げロボットです。身体を動かすのに不自由なホーキンス博士が目だけを動かして会話をする映像を見て、指を自由に動かせなかったり、声を出すのが不自由な人を少しでも支援したいという思いから制作したそうです。レゴブロックとジャイロセンサー2個等を使い、プログラミングはスクラッチで制作しました。



レゴで作った入力デバイスを手に装着、手を傾けることで入力したい文字に移動して、ボタンを押下すると音声が出ます。小学校3年生の安藤颯亮さんが制作しました。




レゴを多用しているところが印象的

他にもたくさんの力作が展示されていましたが、小中学生らしくて印象的だったのは、今回出展されたいくつかのデバイスやパーツ等、メカ部分にレゴプロックが使われていたことです。カメラ機器やセンサーのホルダーやステイ、更にはアクチュエター付きの車輪ユニットまでにもレゴが使われていました。






独創性のある作品が目白押し



病状を記録し、病院を検索できるアプリ「Famik」

熱や病状の推移を記録できるアプリ。音声認識機能があり、お医者さんに話したいことが音声で記録しておけることも特徴のひとつです。発疹などの症状はスマホカメラで撮影して送信しておくことができます。更に近くの病院を検索することもできます。

アプリはAndroid用とiOS用の両対応です!

3人の子どもを連れたお母さんが病院で問診票を苦心して書いているのを見て、もう少し簡単になったらいいのに、と感じたところからアイディアが浮かんだそうです。制作したのは小学校6年生の澁谷知希さんです。




Let`s えいごパズル!

英文字が書かれたキューブを動かし、楽しく遊びながら学べる英語パズル。問題が表示されるディスプレイ、パズル用のキューブ、ボタン類で構成されています。


中学校2年生の平野正太郎さんが制作しました。




STAPLER

画面の中のステープラー(ホチキス)をカチカチと動かして針を出す快感を楽しめる。また、出した針を貯めると黄金や宝石に代わるゲーム。針を出す気持ちよさにこだわり、実際に針を出したときの音を録音して組み込んだそうです。また「放置機能」もアップデートで組み込み可能。「放置機能」は放っておいてもユーザーの代わりに勝手にスマホがゲームを進めてくれるというもの。どれくらい貯まったかが楽しみで、ユーザーが繰り返しゲームを起動することを狙っています。


小学校5年生の森谷頼安さんが制作しました。




TILES

TILEの世界を開拓していくゲーム。開拓したいタイルを選んで道をつないでいくと村から街へと成長していくそうです。

小学校6年生の井上将煌さんが制作しました。




げきむずクレーンゲーム

自作したクレーンゲームです。動きが速くてまさに激ムズなクリーンゲームです。メカ的な作りこみが難しかったようです。


小学校5年生の白川瑛士さんが制作しました。





現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機 (グランプリ作品)

世界屈指の複雑な交差点と呼ばれる渋谷のスクランブル交差点をコンピュータ上に再現したものです。実際の自動車の流れや渋滞の度合、歩行者の数などを設定して実際の交通をシミュレーションすることかできます。渋谷の風景や交通量をリアルに再現する点にこだわりました。実際に風景をビデオで何度も撮ったり、航空写真からトレースして交差点を正確に表現しています。


小学校2年生の小長井聡介さんが制作しました。




ぺんき屋さん PAINT!

四角いキャラクターがブロックを吸い取ったり、塗りつぶしていくパズルゲームです。チュートリアルにこだわったり、難しいステージではヒントを表示するなど、プレイヤーの気持ちに立った点が面白いと感じました。


中学校3年生の荒島拓仁さんが制作しました。



ワークショップも多数開催

会場ではこのほか、U-22プログラミングコンテストや子ども達が参加できるプログラミングのワークショップなどが行われました。

「プログラミングをはじめよう! Hour of Code 体験」

株式会社日本HPのワークショップ「キミのアイデアとプログラミングで勝負!AIカーをやっつけろ!!」では、「人工知能ってなに?」からはじまり、スクラッチでプログラミングを学んで、コンピュータの仮想空間内のAIカーとプログラミングで楽しむ企画が行われました。

「キミのアイデアとプログラミングで勝負!AIカーをやっつけろ!!」

ワークショップや大会に出場する参加者が増えたり、プログラミングを経験したことがある子供たちが増えると、将来、サイエンティストを目指す機会も増える可能性が高くなるかもしれません。時代を背負って立つ子供たちがパソコンやプログラミング、AIやIoTなどのしくみを学習する機会はこれからますます増えていくことでしょう。
「全国小中学生プログラミング大会」の今後にも期待したいと思います。



【第4回 全国小中学生プログラミング大会 開催概要】
■日時: 2018年10月20日(日)12:00〜20:00
■会場:秋葉原ダイビル
■主催:全国小中学生プログラミング大会実行委員会
(株式会社角川アスキー総合研究所、NPO法人CANVAS)
■共催:株式会社朝日新聞社
■公式サイト
 全国小中学生プログラミング大会 http://jjpc.jp/

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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