乗れる運べるロボットソリューションをロボリューションが発表 ~空港や商業施設での利用を想定~

大阪に本社を持つロボットベンチャー企業、株式会社ロボリューション(大阪府高石市 代表取締役:小西康晴氏)は、11月13日に自律走行誘導ロボットと自動追従モビリティ2機種を組み合わせた移動ソリューションビジネス「ROBOLUTION」を発表した。
今回はROBOLUTIONが提案する協調型移動ロボットソリューションの紹介と今後予想されるロボットソリューション開発の流れについて紹介してみよう。


ROBOLUTIONとは

「ROBOLUTION」は自律走行と自動追従機能を組み合わせた移動ソリューションだ。自律走行誘導ロボットと荷物運搬型モビリティ、人搭乗型モビリティの3機種を組み合わせ、使用シーンや用途に合わせて、ロボットとモビリティを複数台連結した自動運搬システムを可能にする。

■ROBOLUTION 01(左:自動追従モビリティ:人搭乗タイプ)
サイズ:W:750mm D:1500mm H:1290mm 乗員:1名(90kgまで)
人を載せて移動するモビリティ。人やロボットなどの対象物を自動追従するモードから、ボタンひとつで人が操縦するモードに切り替えることも可能。

■ROBOLUTION 02(中央:自動追従モビリティ:荷物運搬タイプ)
サイズ:W:660mm D:960mm H:1245mm 積載重量:100kg
荷物運搬用に開発されたモデル。ROBOLUTION01と同様にボタンひとつで「追従モード」と「操縦モード」を切替え可能。

■ROBOLUTION 03(右:自律走行誘導ロボット)
W:580mm D:640mm H:1280mm

タッチパネル上のボタンで行き先を指定すると登録された地図を基に、自律移動で走行する。後部に01、02を引き連れて移動することで、自動で人・モノを移動させるサービスを柔軟かつ容易に実装できる。要ネットワーク環境。

関西を中心にロボットに関するサービスを支援するi-RooBO Network Forumとの共催で行われた公開デモンストレーションの様子。障害物や観衆を避けながら人や荷物を搭載して移動するROBOLUTION。写真右から小西氏(株式会社ロボリューション代表)、松出氏(i-Roobo Network副会長)、長安氏(X-mov Japan株式会社 代表)



利用イメージ

■空港
教育を受けた操縦者が、安全を確認しながら先頭のモビリティを操縦。その後ろに、旅行者ふたりを乗せたROBOLUTION01と、ふたり分ののスーツケースを載せたROBOLUTION02を自動追従させ目的地へ移動。


■展示会場
観覧客はROBOLUTION01に搭乗。会場内を自律移動するROBOLUTION03が音声案内をしながら自動で誘導、案内していく。


■空港・ショッピングモール
作業者に自動追従し、荷物を運ぶROBOLUTION02。先頭を歩く作業者は目的地まで、周囲の障害物や歩行者などの安全確認に専念する。



人手不足の解消だけでなく、インバウンド需要でマルチリンガル人材を求める空港や商業施設などで、自動化以上の価値を生み出しそうなソリューションだ。
2025年に開催される大阪万博での運用を見据えて、空港やショッピングモールなど広大な室内空間での実地検証を進め、各空間でのモビリティの最適配置なども含めたソリューションビジネスを提案していくという。


開発の背景

今回発表されたROBOLUTIONは、ファーストモデルである01の企画検討を、2015年10月にプロダクトデザイナーとスタート。
そこから4年越しでソリューションの全貌が分かる03を含めたシリーズモデルが発表された。
一見特異に見えるこのようなソリューション開発にはどのような背景があったのだろうか。

自律運転と案内機能を押し出した3号機。それぞれ人や荷物を運ぶ1号機2号機を事前に発表していたため、3号機が先導、連携してサービスを提供するROBOLUTIONシリーズの世界観が明瞭になった

株式会社ロボリューションの代表を務める小西氏は村田製作所出身のロボットビジネスプロデューサーだ。
村田製作所ではムラタセイサクくんの立ち上げにエンジニアとして関わり、退社後も自律走行一輪車ロボット:ムラタセイコちゃんの開発や、大和ハウス工業株式会社の住宅床下点検ロボット、ピップ株式会社の高齢者向けメンタルケアロボット「うなずきかぼちゃん」など、数多くのロボット案件を担当し実用化へと導いてきた。
そんな中、他のロボット開発案件に目を向けると、個々のロボットが全てのタスクをこなそうとし過ぎることで様々な問題が発生していたという。
例えば作業環境への適応性が低下してしまい、外販しづらくなる。開発費が高騰してしまう、といった失敗パターンだ。

そこで今回発表したROBOLUTIONでは、追従技術という基礎的な機能を高い水準で実装し、作業者や、個性を明確にした各ロボットを連携させることをコンセプトとした。
それぞれのロボットの機能を限定し、人の役割を明確して連携させることで効果を最大化するアプローチだ。

そして商品としては単体で成立するラインを守り、導入しやすさを堅持しながらも、将来あるべき「人-ロボット」間や「ロボット同士」で連携するサービスを目指して実証しながらクォリティを上げていったのだという。

追従、という普遍的な技術をキーにしているため、ロボット同士の連携だけでなく、施設内を先導して歩く作業者とも簡単に連携できる。
プロジェクトに合わせた柔軟な開発体制

ROBOLUTIONはその開発体制も独特だ。
多くのサービスロボット案件では導入される現場ごとに必要とされるソリューションが異なるため、カスタマイズが発生してしまう、という現実がある。

それを踏まえ、各製品の中に搭載する機能・モジュールに合わせ、外部の開発担当者と協力していくことで機能価値を高めていく体制をとっている。
これは過剰な人件費による開発予算の高騰を防ぐのが目的だ。



通常のロボットプロジェクトに見られるような開発関係者に加え、サウンドプロデューサーや声優、建築家まで含んだ多様性豊かなチーム編成。

プロジェクトの中で開発すべき課題や機能の切り分けや結着点の作り込み、チームビルディングや機材選定には、小西氏のこれまでのロボットソリューション開発経験が活きている。

協業する企業の中には自動追従は技術に定評のある株式会社Doog、自律走行はSoftbank Worldでも登壇していたX-mov Japan株式会社など、ロボット業界では馴染みのある顔ぶれが名を連ねている。

また、ROBOLUTION03の移動モジュールは、自動地図生成技術やハードウェアの作り込みに定評がある米FetchRobotics社のキャリアロボットを使用。その体制で開発される製品であれば、クオリティの高さは予想できるだろう。

Fetch Robotics社の設定ソフト fetchcoreの画面サンプル。手動で走行させ、レーザーセンサーで認識したデータを反映させて作業用の地図を作成する。Webブラウザ上から様々な条件設定が手軽にできることが特徴。什器の移動や移動ルートの変更などにも対応しやすい。
「スタッフの要望を反映させやすい」ことが現場から愛されるサービスに育てる秘訣であることがわかっている機材選定だ。

また機能価値のみならず、感性価値の構築に重点を置いている点も注目したい。BGMやSEにはゲームサウンドの開発を得意とするネイロ株式会社が参加、世界観に合った声優をナレーターとして起用することで『タッチパネル以外のコミュニケーションパス』にも注力している。

こうした取り組みにより高められた音声コミュニケーションの感性価値は、高齢者やインバウンド層なども含めた幅広いユーザーに対して訴求することができるだろう。

小西氏は「大阪万博2025では5Gが張り巡らされた環境下で、デジタルコンテンツとサービスロボットソリューションを協業させ、リアルとバーチャルが融合した新たな価値を創造していきたい。」と意気込んでいる。
今後2025年の大阪万博での運用をにらんで進めていく実証実験で、単なる「人手不足解消」を超えたクオリティをみせてくれることを期待したい。


まとめ

サービスロボットソリューションの開発は高い技術力と、局面ごとにどのような開発コストを投資するのかという判断力が強く問われる。
これは、技術だけでクリアできない課題を、ユーザーへのルールづけや作業シーンの環境設定などで「クリアできる課題」へと変更するような手法も含めた総合的な判断力だ。
そのため、高い経験値を必要となるが、ロボットが導入される現場の少なさからそのような知見を持っているインテグレーターはそう多くない。
しかし、小西氏が示したようなアプローチでは単体ロボットの価格を下げつつ、多くの現場で利用可能な柔軟性を持つことができる。
「まずはこの機能だけでも導入してみては」というセールスもしやすいことから、実証実験をしながら手応えを掴んでいくこともしやすいだろう。
このような事例が増えることで、今後利便性の高いソリューションを開発するための敷居が低くなり、ロボットが導入される現場がさらに増えていくことを期待したい。


【見学やアポイントメント】
ロボリューションはi-RooBO Network Forumの協力の下、大阪南港ATCをテストフィールドに実証実験中。見学やアポイントメントなどは下記のご連絡先まで。

■連絡先
一般社団法人i-RooBO Network Forum
URL:https://iroobo.jp/about/
担当 松出・高島・手嶋
TEL:06-6606-8335
Mail:info@iroobo.jp

ROBOLUTIONプロジェクトに関する情報は、下記のURLから。
http://robolution.jp/home.html
https://www.facebook.com/robolution01/

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梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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