ロボットパスタカフェや駅弁・スイーツの無人販売など最新技術がズラリ 「未来の駅」を大宮で体験

JR東日本グループが「未来の駅」を体験できるイベントとして大宮「STARTUP_STATION」を開催、本日より一般公開がはじまった。場所は大宮駅西口イベントスペースで、パスタを作るロボット、あなたにぴったりの日本酒をAIが勧めてくれるサービス、瞬間冷凍サービス、駅弁やスイーツの自動販売機を体験できる。開催は本日12月4日より12月9日まで。

大宮「STARTUP_STATION」の会場。初日の午前中は報道陣限定の公開だったが、多数のテレビや新聞、ウェブメディアらが詰めかけた

JR東日本グループのJR東日本スタートアップ株式会社はスタートアップ企業や様々なアイディアを有する企業から、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用した、ビジネス・サービスの提案をオープンに募る「JR東日本スタートアッププログラム」を行っている。3回目の2019年度は262件の提案が集まり、その中から21件を採択。今回のイベントではその中から4社のサービスが選ばれ、実証実験を行う。




「未来の駅を体験して欲しい」JRスタートアップ

開催に先立ち、JR東日本スタートアップの柴田社長が登壇してイベントの概要を語った。

JR東日本スタートアップ株式会社 代表取締役社長 柴田裕氏

「JR東日本スタートアッププログラムの最大の特徴は、スタートアップ企業の皆さんが持つ技術やアイディアをJR東日本グループが持つ駅などのリアルなリソースを使用して実証実験が行えること。スタートアップ企業の皆様には、年度内にPoCをリアルな現場で必ずやりきって頂きたいとお願いをしている。そして、本当に実用化できるのか、どんな改善をすれば実用化できるのかをぜひ発見して頂ける場にして欲しい」とした。その上で来場者には「今回の大宮STARTUP_STATIONでは購買についてのサービスが揃った。そのサービスを通じて未来の駅を体験して欲しい。今後も新たなチャレンジを行っていくので期待して欲しい」と呼びかけた。

大宮駅は約50万人/日、JR東日本では第8位の利用者数を誇る。同社は「無人AI決済店舗」(無人のキヨスク売店)の1号店を来春、高輪ゲートウェイ駅にオープンすることを発表したばかり。この「無人AI決済店舗」も実証実験はここ大宮から始まった。今回展示するサービスいくつかも、今後の実用化に繋がることを期待したい。



パスタを作るロボット

大宮「STARTUP_STATION」でロボスタ読者として最も注目したいのはやはりQBIT Roboticsの最先端AI技術を使った「無人ロボットパスタカフェ」だろう。省人化とエンタメ性の向上を目指すソリューションだ。

QBIT Roboticsの最先端AI技術を使った「無人ロボットパスタカフェ」。パスタを作って提供する

QBIT Roboticsはコーヒーを淹れてくれるロボットで知られているが、今回はパスタを作るロボットを展開。100円でパスタを作ってくれる。パスタの調理は紙カップに乾パスタを入れてお湯とオイルを注ぎ、電子レンジで調理、最後にパスタソースをかけて完成。パスタソースはカルボナーラとミートソースが選択できる。

調理をしていないときは、周囲の状況に応じた呼び込みや大宮駅や「STARTUP_STATION」についての雑談も行う

提供されるのは紙カップに入れたパスタ。ソースは2種類から選択できる

■動画 QBIT Robotics「無人ロボットパスタカフェ」

ブースには4基のカメラを設置し、来店客や通行客をビジョンで検知、遠い顧客には呼びかけを行い、顧客が近くに来るとオーダーをとる。性別や年齢を把握し、ロボットの会話を柔軟に変更する。また、調理していないとき、顧客が手を降ってくれたことを認識して、手を降り返すなどのエンタメ性を向上させ、ヒトに好かれるロボットを目指している。

ブースに設置した4台のカメラでブース近くを歩く人や来店客を認識する。ロボットにはカメラはない

人を認識すると手を振って呼び込みをしたり、顧客が手を振っているのに応えたりする。ロボットには省人化だけでなくエンタメ性が重要であり、人に好かれる存在を、QBIT Roboticsは目指している

同社は従来から、来店客のオーダーによってコーヒーを淹れてくれるロボットをUCC(上島珈琲)等と連携して展開中で、関西では西宮で稼働中だ。(関連記事「ロボットカフェが関西のエビスタ西宮に開店!AIでロボットが接客を学習する実証実験も実施 UCCとQBITの共同事業」)。

注文はタブレットで行うので運営自体は無人化できる(清掃や材料の補填等は除く)。パスタソースを2種類から選んでタッチする。ひとつ100円。

なお、このロボットハンド(グリッパー)には豊田合成の「e-Rubber」が使用されている。「e-Rubber」は、ロボスタでも以前に紹介して反響を呼んだハプティクス技術。今回は潰れやすい紙コップをやさしく把持するのに活躍している。ロボスタでは後日、この「e-Rubber」とロボットハンドについての詳細記事を乙知恵する予定なのでお楽しみに(関連記事「次世代ゴムはロボットの皮膚や筋肉になる 感じて動くゴム「e-Rubber」豊田合成・慶應大が共同開発、ロボデックスで展示へ」)

「e-Rubber」を活用したロボットハンド


AI利き酒(日本酒レコメンドサービス)

MIRAI SAKE COMPANYは、AI味覚判定を活用した「日本酒レコメンドサービス」を提供する。いわゆるAI利き酒だ。

お酒を試飲しているところ

試飲したお酒の感想をスマホで入力。数種類の試飲を繰り返すと個人の嗜好をAIが解析する

来店客は数種類のお酒を試飲し、スマホのアプリに感想を入力すると、AIが好みを判断、ぴったりの日本酒をAIが判定して勧めてくれる。

AIが選んだお酒を注ぐスタッフ。これを飲んだ女性は「美味しい、わたしの好み」と笑顔で答えた


JRグループでは新潟の人気酒を取りそろえ、新しい観光提案へと繋げたい考えだ。なお、「STARTUP_STATION」とは別に、JR東日本は”地酒王国・新潟が誇る「酒」をコンセプトとして「越乃 Shu*Kura」というイベントも実施している。




瞬間冷凍技術

ブランテックインターナショナルは、瞬間凍結新技術によって新鮮な状態で入荷した鮮魚の提供を行っている。地方でとれた鮮魚の首都圏流通の拡大が期待されている。

地方の鮮魚を新鮮なまま都心へ。調理してふるまう

新鮮な牡蠣を料理中

■瞬時にアジを凍らせるデモ



駅弁・スイーツの自動販売機

ブイシンクは自社で開発したウルトラ自販機による駅弁とスイーツの自動販売機を実演している。ジュース類の自販機はもちろんお馴染みだが、壊れやすい駅弁やスイーツ類は自販機で提供することが従来は困難だった。

スイーツの自動販売機

壊れやすい商品を壊さずに取り出し口に運ぶため、スムーズな動きをするコンベアーを内蔵、手前のエレベータ式に上下する棚トレイに押し出して取り出し口に運ぶ。

スイーツ自販機の内部。手前のエレベータ式のトレイ(写真最下部)に商品をコンベアで送る

売店はスタッフ不足に悩む一方で、営業時間を延長することが求められている。これを解決するのは自動化・省人化であり、駅弁やスイーツといった従来は自販機では提供できなかったものが可能になれば、営業時間の延長と省人化が実現する可能性が高い。
また、自販機にはカメラが内蔵されていて、購入した顧客の性別や年齢層をデータとして記録し、購買マーケティングに繋げる機能もある。

駅弁の自販機。JRグループでの実践導入が決定している

内部の方式はスイーツと同様だが、スイーツの自販機の方が新型となる

■動画 スイーツの自販機の動作


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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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