新型コロナによって生活や購買はどう変わっていくのか? 家電や化粧品より衛生用品 ECの利用が増加 アクセンチュア消費者調査

アクセンチュアの最新調査によると、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックはデジタル導入の流れを加速させるととともに消費者の購買行動を恒久的に変化させ、特に消費財および小売業界に長期的な構造変化をもたらす可能性があることが判明した。(上の画像は最新調査のレポートから引用)

アクセンチュアは新型コロナウイルス感染拡大の結果、世界の消費者の購買優先度、購買決定、行動パターンにどのような変化が生じているかを調べるため、2020年4月2日から4月6日にかけて日本を含む世界15カ国(オーストラリア、ブラジル、中国、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、メキシコ、韓国、スペイン、アラブ首長国連邦、英国、米国)の消費者3,074人のを対象にした委託調査を実施したことを発表した。


消費者の購買優先度が変化 家電や化粧品より衛生用品

調査では消費者の購買優先度が既に変化し始めていることが明らかになった。
例えば、消費者は全般的な傾向として、調査実施の2週間前と比べて個人向け衛生用品や洗浄用品、缶詰、生鮮食品の購入を増やした一方で、ファッションアイテムや美容品、家電などの購入を控えたと回答した。

同社の調査ではこうした消費者の購買行動の変化の多くが今後も持続する可能性が高いとする。さらに、今回の危機により消費者は自ら選んで購入した商品がもたらす健康や環境への影響をより真剣に考えるようになっていることが以下のように示されている。


【ポイント】
・回答者の60%が「身心の健康管理により多くの時間を使うようになった」と答えたほか、57%は「自宅で運動する機会が増えた」と回答。
・回答者の64%が「食品廃棄物の削減への関心が高まり、今後も関心を持ち続けるであろう」と回答。
・回答者の50%が「健康をより意識した購入を心がけるようになり、今後もそうするだろう」と回答。
・回答者の45%が「持続可能な選択(サステナブル・チョイス)を重視した購入を心がけるようになり、今後もそうするだろう」と回答。


食料雑貨をオンラインで購入するように

同社の調査によるとパンデミックの結果、より多くの消費者が食料雑貨をオンラインで購入するようになったことが明らかになった。このうち、今回の事態をきっかけに食料雑貨を初めてオンラインで購入した消費者は全体の5人に1人を占めたほか、56歳以上に限れば、3人に1人に達した。また、「すべての製品・サービスをオンラインで購入している」と答えた消費者は32%を占め、パンデミック後も「オンライン購入を継続する」と回答した割合は37%。

さらに、新型コロナウイルスによりデジタル活用をより広範に加速させていることがわかった。「テクノロジー製品の購入に関心がある」または「それらの利用機会を増やすことに関心がある」と回答した消費者の数は増加し、回答者の半数以上がスマートスピーカーやオンラインレコメンデーションアプリ(オンラインで欲しい情報などが入手できる機能)、セルフサービスアプリ、スマート家電、ウェアラブル端末について「利用が増えると思う」と回答している。



アクセンチュアの消費財部門を統括するマネジング・ディレクターのオリバー・ライト氏(Oliver Wright)は次のように述べている。

■ オリバー・ライト氏(Oliver Wright)
「今回の調査結果は消費者の購買行動が長期的に変化していくことを明確に示唆しています。こうした傾向はこれまでも見られたことですが、通常は何年もかけて生じるはずの変化がこれだけの規模とスピードでわずか数週間の間に一気に起きたのは驚くべきことだと言えるでしょう。消費者の新たな購買行動と消費活動は今後も継続することが見込まれ、その期間は1年半以上、そして2020年代の大半にわたって続くと推測されます。

パンデミックの結果、これからの10年間は、より持続可能かつ健康を重視した消費の時代を迎えるでしょう。消費者は持続可能性をめぐる世界的な課題に向き合い、日々の暮らしの中で何を購入するのかについて、どのように折り合いをつけるべきかより真剣に考えるようになります。これは、地球に生きる人類にとってはより健康的な暮らしの実現につながる一方で、企業にとっては警鐘でもあります。企業は現在だけでなく、パンデミック後の世界を見据え、購買パターンの変化を捉えながら各種の製品やサービスを提供していくことが求められており、そのためには消費者と顧客に寄り添う俊敏性と能力が欠かせません。」」

アクセンチュアのグローバル小売部門を統括するシニア・マネジング・ディレクターのジル・スタンディッシュ氏(Jill Standish)は次のように述べている。

■ジル・スタンディッシュ氏(Jill Standish)
「購買優先度や個人のライフスタイル、働き方が見直される中、小売やその販売チャネルには大きな変革が求められています。最近まで食品雑貨は消費者がオンラインでの購入を控えてきた分野のひとつでしたが、新型コロナウイルスはそうした傾向をあっという間に変えてしまいました。今回の調査結果は、これまでEC(電子商取引)やデジタル技術を敬遠していた消費者層のためらいが取り除かれたことを示しています。このシフトは非常に大きなものです。企業がこうした消費者の大転換を捉えるためには信頼性、妥当性、利便性という3つのキーワードが欠かせません。」

なお、アクセンチュアは今後も消費者の動向について継続的に追跡調査を実施する予定。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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