ZMPが新ショールーム「CarriRoイノベーションセンター」開設 CarriRo Forkリーチと自動運転台車ロボットの物流連携デモ公開

ZMPはキャリロイノベーションセンターを東京潮見の枝川にオープンした。本日から3日間、オンライン説明会を開催し、同社の物流無人化ソリューションの様子を公開した。このショールームでは台車型物流支援ロボット「CarriRo」シリーズ製品、無人フォークリフト「CarriRo Fork」を展示し、導入を検討している企業が実機やデモを見学することができる。今回、行われた「CarriRo Fork リーチタイプ」のデモは国内で初公開となる(冒頭の写真、動画はこの記事の末尾に動画掲載)。

ZMP「CarriRo Fork」が約5.6mの高さの棚へパレットを無人で格納している様子

ZMPは自動運転タクシーの開発でも知られているが、そこで培った自動運転技術を物流分野で活用するため、自動搬送ロボットのソリューションの開発も行っている。

ZMPの自動運転ソリューション開発の系譜

オンライン説明会では「CarriRo Fork リーチタイプ」が倉庫の商品棚からパレットを移動する様子、取り出したパレットを自動運転型の台車ロボット「CarriRo AD」へと移送、「CarriRo AD」が指定されたルートに沿って運ぶ連携デモが公開された。




「CarriRo」シリーズとは

「CarriRo」は、ZMPが開発に取り組む自動タクシー等向けの自動運転技術を応用して開発された物流支援ロボット。少子高齢化の流れにより急速な人手不足となっている物流業界において搬送作業の負荷を軽減し、省人化・効率化を目的としている。
既に販売開始から累計約200ユーザーの導入実績があり、自律移動による新たな付加価値により物流拠点や工場を始め、ホテルなどのサービス業界と様々な分野に導入が広がっている。

追従型、自律走行(自動搬送)、無人フォークリフト、無人牽引車をラインアップに追加してきた

「CarriRo」シリーズの最初は、人の後ろを追尾する追従型だったが、自律移動システムを搭載した台車型自動搬送ロボット「CarriRo AD」を開発。更に改良した「CarriRo AD+」はパレット台車の下に潜り込んでパレットを持ち上げ、床面に貼ったマーカーシールを読んで指定された目的に自律移動するシステムを搭載した。


■ 搬送ロボット・AGVを簡単導入!CarriRo AD「自律移動モデル」倉庫での活用事例


台車を押す人員を削減、新型コロナ対策にも

従来、多くの人員が台車を推して倉庫内を移動していたが、CarriRo ADによって台車の移動を自動化することで、人員は出し手と受け手のふたりで済む省力化が実現した。また、コロナ禍においても、台車移動時の人員の密集を防ぐという利点も生まれている。

【新型コロナ対策にも】従来は台車を押す人員が多く必要で、交錯する場面も見られた。自動台車を使うことで台車を押す人員を別の業務に配置することができ、作業員の交錯や密集も防ぐことができる

CarriRoは佐川グループで引越物流を手掛けるSGムービングに導入されている。物流の利用ニーズが高まる中、新型コロナウイルスの影響もあり、人員を増員することが難しい状況だという。SGムービングは6台の台車ロボットを導入することで、8人の作業員から2人の作業員にすることができた、としている。


無人フォークリフト「CarriRo Fork」との連携

「CarriRo Fork」は、ZMPが開発した無人フォークリフト。ZMPが得意とする自動運転技術を活用した自律移動とフォークの自動制御により、物流倉庫や工場内の搬送作業の無人化を進められる製品。簡単なセットアップで作業エリアの事前マッピングから運用開始まで数日で実現できることが特徴。同社は「喫緊の課題となっている労働力不足を軽減し、社会課題の解決に貢献する」としている。

「CarriRo Fork」はウォーキータイプとリーチタイプが用意されている。なお、「CarriRo Fork」の稼働可能な温度は0~40度。冷凍倉庫などでの製品の運搬は要相談となる。


「CarriRo Fork」は倉庫内で、さまざまな機器との連携が可能だ。


今回、公開されたデモでは台車型の自動搬送ロボット「CarriRo AD+」との連携。「CarriRo Fork リーチタイプ」が倉庫の商品棚からパレットを移動する様子、取り出したパレットを自動運転型の台車ロボット「CarriRo AD+」へと移送、「CarriRo AD+」が指定されたルートに沿って運ぶ連携デモが公開された。

「CarriRo Fork」が棚からパレットを取り出し

指定された台車に載せる

その台車を自動搬送ロボット「CarriRo AD+」が持ち上げて、指定された場所へ自律移動

動画では動作速度などを体感できるように、連携デモ部分の全編を見られるようにできるだけカットなしで掲載した(約10分)。

■ ZMP「CarriRo Fork」の動作+「CarriRo AD+」との連携デモ動画 (2020年7月1日公開のデモ)

「CarriRo Fork」にはLiDARが搭載され、棚のマーカーを読んだり、周囲の状況を検知しながら動作する。また、今回の「CarriRo Fork」は遠隔から指示されたタスクに沿って動作している。遠隔からの指示はあらかじめ設定してある移動のポイントや棚を指定するだけで「CarriRo Fork」が自律的に動いている(自動モード)。また、手動モードも装備され、人員が搭乗して操縦することもできる。日中は人員による操縦、夜間は自動モード、といった具合に使い分けることも可能だ。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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