【速攻体験レポート】仮想現実MRと日本文化の演舞が融合した最新エンタテインメント「羽田出島 The Heart of ZIPANGU」プロジェクションマッピング演出も

そこにはもうひとつの世界線、パラレルワールド「開国しなかった日本」がある。ダンスパフォーマンスに演舞、プロジェクションマッピング、仮想現実とMR(ミックスド・リアリティ)、そしてパフォーマーによるリアルな身体パフォーマンス。音と映像の最新技術が凝縮したエンタテインメント芸術が誕生した。




羽田空港に隣接する大型複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(羽田イノベーションシティ)」、略称「HICity」(エイチアイシティ)に最先端テクノロジーを活用したデジタル体験型商業施設「羽田出島」が開業した。エグゼクティブアドバイザーには歌舞伎俳優 市川海老蔵さんが就任している。


エグゼクティブアドバイザーには歌舞伎俳優 市川海老蔵さん

■羽田出島 | DEJIMA by 1→10『The Heart of ZIPANGU』

オープニングのコンテンツは「The Heart of ZIPANGU」(ザ ハート オブ ジパング)。内容はパフォーマーによるダンスと演舞、映像と音楽、プロジェクションマッピング等を駆使した最新のエンタテインメント。「Magic Leap 1」によるMR技術も導入されているというから興味津々。観たい聴きたい感じたい。さっそくロボスタ編集部は開業前日に体験してきた。

仮想現実MRグラス「Magic Leap 1」(お願いして装着してもらった(注:出演者や忍者は通常MRグラスを装着していません)


「The Heart of ZIPANGU」ってどんなもの?

同施設開業に先立ち、9月17日に発表会が実施された。会場では市川海老蔵氏、エグゼクティブプロデューサーの澤邊芳明氏(ワントゥーテン)、演出/振付を担当したブレイクダンス世界チャンピオン植木豪氏(PaniCrew)、クリエイティブディレクション・総合演出を担当した引地耕太氏 (ワントゥーテン)らが登壇した。
運営サイドからは株式会社羽田未来総合研究所 代表取締役社長執行役員/日本空港ビルデング株式会社 取締役副社長 執行役員の大西洋氏が登壇し、施設とプログラムについてのトークセッションも行われた。


しかし、正直なところ「The Heart of ZIPANGU」がどのようなものなのか、歌舞伎なのかダンスなのか、忍者ショーなのか、映像イリュージョンなのか、さっぱりイメージがつかめなかった。これは観に行くしかない!!

ここだ!「DEJIMA by1→10」

場所は「天空橋」駅から直結の「HANEDA INNOVATION CITY」内にあるシアター「DEJIMA by1→10」(デジマ バイ ワントゥーテン)。

シアター周囲にあるポスターを見ただけでわくわく感が高まる

コロナ騒ぎでしばらく劇場に足を運んでいないこともあって、チケット売り場を見ても高揚してくる。


えっ!? 会場内には忍者がいっぱい・・やっぱり忍者ショーなの?


「The Heart of ZIPANGU」に登場するキャラクターの紹介パネル。道案内の「白狐」、酔っぱらいの傾奇侍(歌舞伎侍)、混沌の象徴「赤女帝」、幽閉された美しい少女「有栖姫」。これは、なんとワクワクな登場人物の面々。


左から 有栖姫: 京極有栖 (きょうごくありす)、赤女帝: 赤川万葉 (あかがわまんよう)、白狐: 狐田白石 (こだはくせき)、傾奇侍: 上杉一輝 (うえすぎかずき)

入り口には日本中の「Magic Leap 1」を集めたのか? と思うほどの(それはちょっとオーバー)、MRグラスの群れ。


メディア向けの体験会がはじまった。メディア向けに「The Heart of ZIPANGU」の特徴や見どころを説明してくれた


「Magic Leap 1」を装着。僕が装着すると甘い顔立ちが隠れるせいか、なぜか厳つい悪役ターミネーターのようになってしまうが準備完了、早く観たいのだ。



パラレルワールド「開国しなかった日本」

こうしていよいよ始まった「The Heart of ZIPANGU」。
世界観は「開国しなかった日本」。今から152年前に日本は開国を決断したが、もしもそのまま鎖国状態だったらどうなっていただろうか、というのがテーマだ。今とは別の時間軸、想像した世界線、パラレルワールドを「ZIPANGU」と名付けてストーリーが展開されるのだ。

最初に登場するのは「白狐」。混沌の象徴である赤の女帝によって支配されている「ZIPANGU」を救うため、幽閉された調和の象徴である有栖姫を助け出す旅に出かける。MRグラスをかけていると、その景色に最新の映像イリージョンが展開されているのが見える(写真はMRではありません)

有栖姫を救出するために白狐は腕利きの傾奇侍へといざなう。その道中、まずは白狐のダンスパフォーマンスとMRグラスを使った映像美を観客は堪能することになる。(実はMRグラスを付けるのは前半のみ。後半は裸眼で音と映像、そしてリアルのパフォーマンスを楽しむ形式となっている。本音を言えば、後半もMRでもっと驚かせて欲しかった)

白狐に導かれ、傾奇侍と出会う。ここからは複数の部屋を横断するパフォーマンスへと変わっていく

解説はここまでにして、これ以降はぜひ皆さんの目で観て、五感で、そして肌で感じて欲しい。最新技術と日本文化が極めて高次元で融合したエンタテインメント作品となっている。

ZIPANGUを支配し、禍々しい世界に変えてしまった赤の女帝と対峙する

傾奇侍は赤の女帝の支配からZIPANGUを解放することができるのか? 日本的な殺陣は迫力満点!見どころのひとつ


観客がパフォーマーとともに移動する新体験

後半はストーリーの舞台が複数の部屋を移動しながら進められる。登場人物が隣の部屋へ移動すると、観客も招き入れられ、一緒に移動する。一段高い舞台がないため、同じ目線で迫力あるパフォーマンスが繰り広げられ、間近で演舞が観られる。

クライマックスのひとつ、赤の女帝と有栖姫の決闘。観客はすぐそば。同じ目線でのパフォーマンスの迫力は圧巻

シーンに合わせて演者と観客が一緒になってぞろぞろと移動するのは初めての体験だった。

手前の有栖姫が踊る部屋と、奥の赤女帝が踊る部屋はそれぞれのシーンを表現している。観客は演者や黒子に誘導されるままに部屋を移動してもいいし、好きな演者をずっと観ていたければその演者と一緒に部屋を移動しても構わない(リアルなマルチアングル!)

新型コロナウイルスの影響でインバウンド観光客は激減しているが、日本の文化である忍者、侍、歌舞伎、舞妓などは外国人にとって日本独自の魅力を強烈に感じる貴重なコンテンツだ。羽田という地域から見ても、日本の魅力を演舞とダンスパフォーマンス、仮想現実の映像が融合した最新コンテンツで感じられるエンタテインメントとして外国人観光客には特におすすめしたい。


作品自体は言葉を用いないノンバーバルになっているので日本語を話さない人にも楽しめる。ただ、セリフもないためストーリーを全く理解できない観客も出てくることが予想され、その点で評価は分かれるかもしれない。
とにもかくにも、日本人でさえ普段は意識しなくなってしまった日本特有の文化とロマン、それを基調にしたパラレルワールドを、非日常の最新技術とリアルパフォーマンスを、五感で感じながら楽しんでみてはいかがだろうか。(上演時間 約30分)

ラストの大団円でも、観客を楽しく惑わせてくれる映像体験の仕掛けがある。お見逃しなく


出演者のみなさん、ありがとうございました。




羽田未来総合研究所の大西社長は次のようにコメントしている。

株式会社羽田未来総合研究所 代表取締役社長執行役員/日本空港ビルデング株式会社 取締役副社長執行役員 大西洋 氏

イノベーションシティは羽田の周辺で、未来型のまちづくりをするというコンセプトのもとに作られました。
その中で「羽田出島」は、日本の文化やアート、モノづくりなどを、最新のデジタル技術等を活用したコンテンツを通じて広く世界の皆様に知っていただく施設です。また、『ENU』という、日本各地のものづくりの職人たちとお客様が直接つながることができるファンコミュニティコマースもスタートします。お客様は『ENU』を通じて直接職人の作品を買ったり、その職人の住む地域に興味をもって訪れたりするような新たなコミュニケーションを創出していきます。




ファンコミュニティコマース『ENU』

『ENU(エヌ)』は、モノづくりを担う各地の人々とファンユーザーを繋ぐ、新しいCtoCのコマースプラットフォームだ。羽田出島のテーマとなる日本各地の美しい場所からインスパイアされた日本の職人がつくりあげる逸品を、施設内に展示している。

観劇を終えた出口で「ENU」コーナーが設けられている




ファンコミュニティコマース『ENU』
https://enu.jp




デジタル体験施設 『DEJIMA by1→10』について

デジタルアートや没入型演出、仮想世界を現実世界に重ね合わせて体験できる最新MR技術等を活用することで、新しいけれどもどこか懐かしさを感じさせるような体験を提供する同施設は、日本の文化と革新的なテクノロジーを融合させた架空世界「ネオジャパネスク」をテーマとした、Immersive Mixed Reality(イマーシブ・ミックスド・リアリティ)による臨場感あふれる体験ができる。MRグラス「Magic Leap 1」に映るデジタルアートが、拡張現実空間によって表現された仮想の現代日本の中で、古くからある懐かしい風景や四季折々の楽しみを展開してくれる。



ウェアラブル空間コンピューター「Magic Leap 1」

「Magic Leap 1」は、ヘッドマウントから演算部を分離することで、高性能なデバイスが重さから解放された、ウェアラブル空間コンピューターだ。重さわずか316g。ヘッドホン並みの軽さだが、9つのセンサーで どんな場所でも空間を把握する。

■【動画】Magic Leap | Original Concept Video




プログラム『The Heart of ZIPANGU(ザ ハート オブ ジパング)』

「開国しなかった日本」というコンセプトのもとで展開する、日本の伝統と革新が融合した架空の世界。もしも日本が開国をしないまま、技術や産業が目覚ましい発展を遂げていたとしたら。日本独自の美意識はそのままに、今とは全く異なる現実が私たちを待っていたのかもしれない。これはそんな奇妙で、けれども不思議に新しい、もうひとつの日本の物語だ。

エグゼクティブプロデューサー 澤邊芳明氏

羽田出島は、日本中の旧所名跡、素晴らしい風景にインスピレーションを受けて作りました。
混沌や多様性の中から複雑なものをそのまま生かして調和させる日本人の美意識は、強く世界に誇れるものだと信じています。ここでは、そういったエッセンスをご理解いただき、日本中の素晴らしい文化、伝統芸能、伝統工芸に改めて目を向けて、日本は素晴らしい、日本人であってよかった、日本をもっと好きになりたい、そう思ってもらえたら嬉しいです。また、高度に発展した科学技術は魔法と区別がつかないといわれており、まさしく羽田出島は魔法の世界だと思います。是非ご体験ください。

エグゼクティブアドバイザー 市川海老蔵氏

このコンテンツのテーマは、「開国しなかった日本」です。江戸時代は遊びの文化の頂点を極めていて、開国したことで、拡散して分散してしまった日本人の信念があります。そこをもっと掘り下げて、日本という国の本来あった姿にまで落とし込めたらもっと面白いなと思っています。
この空間を私たちの世代が体感することで、時代が変わったときに対応できる能力を身に付けられます。切り替えのスイッチを押す前の準備期間として、やる価値があると考えています。現実の中で魔法にかかるような空間をぜひ味わって欲しいです。



上段左より:エグゼクティブアドバイザー 市川海老蔵 氏 / 演出・構成 植木豪 氏 / 衣装 飯嶋久美子 氏
下段より:音楽 HIFANA 氏 /エグゼクティブプロデューサー 澤邊芳明 氏/クリエイティブディレクター 引地耕太 氏

▼概要

施設名称 羽田出島
所在地 東京都大田区羽田空港1-1-4
HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)2階
交通 京浜急行電鉄空港線・東京モノレール「天空橋駅」直結
開業日 2020年9月19日(土)
営業日 年中無休
営業時間 平日・土日祝12:00~20:00(最終入館19:30)
コンテンツ名 The Heart of ZIPANGU(ザ ハート オブ ジパング)
入場料 オープン記念 前売券:一般/高・大学生:3,190円(税込)、子ども(4歳~中学生):1,650円(税込)
当日券:一般/高・大学生:3,850円(税込)、子ども(4歳~中学生):1,650円(税込)
※混雑時にはお待ちいただく場合や入場ができない場合がございます。当日の入場が困難な場合、チケット有効期間内に再度ご来場いただくことになりますので、時間に余裕を持ってご来場ください。
※チケット料金は予告なく変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。


羽田出島URL: https://hanedadejima.jp

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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