NECがマスク着用時でも高い精度を実現する顔認証製品を販売開始 世界トップクラスの生体認証技術 柄のマスクにも対応

昨今、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、人々の暮らしや経済活動に大きな影響を与えている。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議ではNew Normalにおける基本的な感染対策にマスクの着用が挙げられ、それにともない、PCのログイン、施設の入退場や公共機関などにおける本人確認の用途で幅広く使われている顔認証にも対策が求められている。

日本電気株式会社(NEC)は、生体認証「Bio-IDiom」の中核技術であり、世界No.1の認証精度を有する顔認証技術を強化し、マスク着用時でも高精度な認証を実現する新たな顔認証エンジンを開発。同エンジンを、顔認証や様々な映像分析機能を組み合せて複合的なソリューションを実現する「NEC 映像分析基盤」や、複数の生体情報を活用してマルチモーダル生体認証を実現するサービス「Bio-IDiom Services(バイオイディオム サービシーズ)」などの製品として、同年10月上旬から販売開始することを2020年9月24日に発表した。


なお、同顔認証技術は米国国立標準技術研究所(NIST)による性能評価で5回目の第1位を獲得している。

同社は、強化した顔認証製品を活用したソリューションを、企業・教育機関・公共施設・商業施設・イベント会場・テーマパークなど、人が密集する場所での入退システムをはじめ、感染症拡大の抑制を支援するソリューションとして提供することで、New Normalにおける経済活動の継続に貢献するとのことだ。


Bio-IDiomについて

「Bio-IDiom(バイオイディオム)」は、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響など、NECの生体認証の総称だ。世界トップクラスの技術や豊富な実績を活かし、ニーズに合わせて生体認証を使い分け、あるいは組み合わせることで、「誰もが安心してデジタルを活用できる世界」を実現していく。

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新たな顔認証エンジンについて

同社は従来から、マスクの着用に対応した顔認証を実現していたが、このたびマスク着用に特化した顔認証エンジンを開発した。顔認証は目、鼻、口などの位置や形、大きさなどの特徴点を抽出し照合を行うが、同エンジンはマスクで覆われていない目の周辺に重点を置いて特徴点を抽出、照合する。


同顔認証プロセス

まず、カメラで撮影し検出した顔画像から、マスク着用の有無を判定。次に、それぞれの場合で使用する顔認証アルゴリズムを切り替えて、特徴点の抽出と照合を行う。これによりマスク着用者と非着用者が混在しても、高精度な認証を実現する。


同エンジンを用いた社内評価において、マスク着用時の1:1認証での認証率(他人受入率10万分の1のときの本人受入率)は99.9%以上と、高い認証精度を実現。様々な色や柄のマスクに対応しており、高い実用性も有している。

様々な色・柄のマスクに対応


同エンジンに対応した顔認証製品

▼NEC 映像分析基盤

特徴 顔認証と混雑度検知などの映像分析機能を用途に応じて組み合わせ、複合的な映像分析ソリューションを効率的に構築するための統合型ソフトウェア基盤
提供予定 2020年11月上旬

▼Bio-IDiom Services

特徴 顔など様々な生体情報を活用してマルチモーダル生体認証を実現するサービス
提供予定 2020年10月上旬

▼NEC AI Accelerator

特徴 撮影画像から顔を検出する処理および特徴点を抽出する処理をエッジ側で行い、顔認証プロセス全体を高速化・効率化するエッジコンピューティングデバイス
提供予定 2020年10月上旬



今後の展開

同社は、DXに必要な生体認証・映像、AI、セキュリティ技術を統合し、アプリケーションからネットワークまでワンプラットフォームで実現する「NEC デジタルプラットフォーム」上で、「NEC 映像分析基盤」や「Bio-IDiom Services」などを用いたソリューションを開発することで、ユーザーのニーズに応じた価値を迅速に提供すると述べている。また「Bio-IDiom Services」は「NECデジタルプラットフォーム」の顔認証のサービスとして提供を開始し、今後、他の生体認証も拡充を予定している。
なお、現在実施している、NEC本社ビル1階のウォークスルー入退場ゲートにおける顔認証と体表温度を測定するサーマルカメラを連携した入退場管理の実証実験について、同年9月末に同エンジンを適用予定だ。


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ロボスタ編集部

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