東急ハンズ3都市5店舗で実施するアバターを介した遠隔接客の実証実験 サイバーリンクがAI顔認証エンジン「FaceMe」を提供

AIと顔認識技術のパイオニアであるサイバーリンクは、株式会社NTTデータが株式会社東急ハンズの協力のもと行う、オペレーターの動きと連動するアバターを介して遠隔から商品を提案・訴求するデジタルストアの実証実験にAI顔認証エンジン「FaceMe」を提供することを発表した。

サイバーリンク社の「FaceMe」によりユーザーの性別・年齢層や感情を推定したデータ・会話データを、ダッシュボードから簡易に確認することができる。これにより、実際の接客コミュニケーションの内容を実データに基づいて振り返り、良かったこと・悪かったことの把握や、コミュニケーションの改善、さらには良かったコミュニケーション術の組織内展開も容易となる。(なお、ユーザーの個人情報は当該データには含まない)


アバターを介した遠隔接客の実証実験

実証実験では東急ハンズ渋谷店、新宿店、池袋店、梅田店、博多店の3都市5店舗にアバター特設ブースを設営。実験開始最初の1カ月(10月16~11月15日)は美容やコスメに詳しい専門のスタッフ、2カ月目(11月16~12月15日(予定))は実演販売「ヒント・ショー」専任チームが、ユーザーの要望(商品の使用用途や肌悩み、贈る相手、予算など)を伺い、おすすめの商品や贈り物を案内する接客業務を実施する。


実証実験イメージ写真

アバター特設ブースのイメージ(画像は2020年6月に実施したもの)

案内画面(画像は2020年6月に実施したもの)

今回、スタッフは本社、店舗のバックヤード、自宅などさまざまなロケーションから接客を行う。「店頭でユーザーと接客スタッフが対面して初めて接客コミュニケーションを開始する」という従来の前提条件を排除し、専門知識をもったスタッフをより柔軟にアサインできる新たな接客コミュニケーションのあり方を生み出すと共に、スタッフの柔軟な働き方を実現する。


アバターイメージ

NTTデータは東急ハンズの目指す「ヒント・マーケット」(ユーザーが東急ハンズでヒントを見つけ、くらしを創り出し、そして東急ハンズもユーザーから明日のヒントをもらっていくという考え)において、アバター遠隔接客がユーザーとのコミュニケーションを加速することで、より生活者にとって便利な暮らしが実現できることを目指す。


東急ハンズが「アバターを介した遠隔接客」を本格導入

近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、売り場におけるお客さまと売り手のコミュニケーションのあり方が変わろうとしている。極力接触を避けるニーズが高まる中で、これまであったようなユーザーと接客スタッフとのコミュニケーションの価値をいかにして維持かつ向上するかが、今後の売り場における重要な課題となっている。

そこで東急ハンズの接客のモットーである「コンサルティングセールス」をユーザーがより安心して受けることができ、スタッフは柔軟に働ける仕組みづくりを目指し、NTTデータと東急ハンズはアバターを介した遠隔接客の本格導入に向けて実証実験を実施。

6月に実施した1店舗での検証から、今回は3都市5店舗に規模を拡大、専用端末なしで遠隔接客できるように進化させ、2020年10月16日から12月15日まで行う。なお、サイバーリンクはアバター遠隔接客に欠かせないAI顔認証エンジン「FaceMe」を提供することで実証実験に参加している。


実証実験のポイント

1.専用端末不要で接客スタッフはどこからでも接客可能
実証実験で利用する遠隔接客機能(UsideU社の「TimeRep」)はウェブブラウザ上で接客操作を実施できるため、必要なアプリケーションがインストールされた専用の機器が不要。これにより、本社オフィス・店舗のバックヤード、自宅などさまざまなロケーションにいるスタッフが、普段利用しているパソコン・タブレット端末等からより手軽に接客を行うことができる。

2.接客シーンに応じた柔軟なアバター表現
今回の実験における接客シーン(ビューティ、実演販売)に合わせて、専用のアバターをデザイン。これによりユーザーがより接しやすく、接客コミュニケーションもしやすいシーン作りを行う。また、必要に応じてアバターではなく接客員の実画像にも切り替えられる機能を追加し、より多様な接客シーンに活用できるようになった。

3.接客データの見える化による、接客品質の改善、店舗戦略策定の加速
サイバーリンク社の「FaceMe」によりユーザーの性別・年齢層や感情を推定したデータ・会話データを、ダッシュボードから簡易に確認することができる。これにより、実際の接客コミュニケーションの内容を実データに基づいて振り返り、良かったこと・悪かったことの把握や、コミュニケーションの改善、さらには良かったコミュニケーション術の組織内展開も容易となる。(なお、ユーザーの個人情報は当該データには含まない)


今後について

実験で得られた結果を活用し、東急ハンズとNTTデータは、さらなる接客コミュニケーションの変革・普及を推し進める。活用店舗や接客シーンの拡大はもちろん、E-コマースサイトにおける自宅での接客など、その活用可能性は多岐にわたる。これらを通じて、リアル店舗・E-コマースサイトの垣根を越え、デジタル活用による新たな接客市場の変革に挑戦する。

また、NTTデータは、同社の決済ソリューション「CAFIS」との連携などをはじめとするさらなるサービス拡充の検討を行い、販売活動だけではなく、店舗運営全体のリアルとデジタルのシームレスな融合を実現するデジタル店舗の実現を推し進める。

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム