JAXAがNASAと開催した 第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会 大多数が大学生以上の中、日本の高校生チームが優勝

株式会社Manai Enterpriseは、2020年10月8日に開催された国際プログラミングコンテスト、第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会・決勝戦で、サインエス・テクノロジーの研究・学びに特化したコミュニティであるManaiの研究生が所属するチームが日本代表として参加し、参加の大多数が大学生以上という状況の中、プログラミングスキル部門で優勝したことを発表した。

今回優勝した日本代表チームの3名中2名は、現在14歳と15歳のManai研究生で、2019年9月および2020年5月よりプログラミング分野、数学分野においてManaiで研究活動を行い、積極的にManaiで開催されるワークショップ/レクチャーに参加していた。


写真中央:佐藤 裕成 アレックス(14歳)、右:Joshua 衣笠 Karpelowitz(15歳)


JAXAがNASAと協力して開催「きぼう」ロボットプログラミング競技会

「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)は、国際宇宙ステーション(ISS)で実際のドローンロボット(AstrobeeとInt-Ball)を使用して、様々な問題を解決するプログラミングコンテスト。JAXAがNASAと協力して開催し、7つの国と地域から313チーム、1,168名が参加。予選は各参加国で行われ、予選優勝チームが各国の代表として、国際宇宙ステーション「きぼう」船内で開催される決勝戦に参加した。

競技大会決勝戦は、各国予選大会優勝者6チームが出場し、実際のISS内でドローンロボットをプログラミング操作し、仕掛けられた課題(ターゲットへの移動、およびレーザー照射)をクリアする。ターゲットに到達し、レーザー照射を行うまでの時間と照射位置の正確性を競う。





Manaiは多国籍の高校生たちが自身のサイエンスプロジェクトに打ち込む新しいスタイルの学びを提供する研究機関(2019年9月、東京・市ヶ谷に開設)。科学・技術に関する研究およびその応用に取り組む中高生の支援を目的とし、学び・研究する環境を提供している。春・夏にはSpring Program / Summer プログラムとして世界中から研究に取り組む中高生を募り、宿泊型の研究・教育プログラムを実施している。



Manaiは、今後も引き続き彼らの研究活動をサポートしていくと共に、サイエンスを日常的に扱い、その応用を考え、さらにそれを自分の言葉で世界に伝えられる人々を一人でも多く送り出したいとしている。


2位はアラブ首長国連邦代表、3位はインドネシア代表

以下、JAXAホームページで掲載されている決勝大会レポートをまとめて紹介。

第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)決勝大会を「きぼう」船内実験室で開催。同競技会はアメリカ航空宇宙局(NASA)の協力を得て行う宇生向けの国際的なプログラミング競技会。参加する学生たちに、宇宙開発やロボットのプログラミングなどの工学的スキルだけでなく、チームワークやチャレンジ精神、創造的探究心を育むことを目的としている。


Cassidy宇宙飛行士とAstrobee/Int-Ball(出典:JAXA)

今回のKibo-RPCには、オーストラリア、インドネシア、日本、シンガポール、台湾、タイ、アラブ首長国連邦からの313チーム、1168名の学生が参加。また、オブザーバとして参加したバングラデシュの学生も加えると、全部で361チーム、1340名の参加者となった。決勝大会には2020年6月上旬頃各国/地域で行われた予選を勝ち抜いた1チームずつが、各国/地域の代表として参加。しかし、今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で日本チーム以外の参加者は筑波宇宙センターに来ることができず、Web会議ツールを使用したリモートでの参加となった。


出典:JAXA

今回の決勝大会を迎えるにあたり、NASAエイムズ研究センター(ARC)のAstrobeeチームとJAXAで、一連のAstrobeeの軌道上動作確認を実施してきたが、軌道上Astrobeeの自己位置推定に懸念点が残ったままの開催となってしまった。飛行に失敗した場合、その原因が参加者のプログラムによるものなのか、Astrobee本体によるものかを明確に区別できない状況であったため、プログラミングスキルの評価はシミュレーション環境によって順位付けを行い、軌道上での飛行結果による評価として特別賞の表彰を行った。

プログラミングスキル賞(Programming Skills Award)は日本代表Hypernovaが優勝し、2位はアラブ首長国連邦代表999-IN-SPACE、3位はインドネシア代表Spacecatとなった。見事優勝したHypernovaのプログラムはターゲットへの的確なレーザー照射だけでなく、ミッション完遂時間がとても短かったことが特徴的であり、勝利を掴むことができた。


出典:JAXA

次に軌道上のAstrobee飛行で最も優秀な動作を行うことができた特別賞(Best Achievement Onboard Award)の結果発表を行い、見事インドネシア代表のSpacecatが受賞。Spacecatのレーザーは的のかなり近くに照射されたが、惜しくもターゲットの円の外側であったためターゲットへの照射とならなかった。2位のTaipei Fuhsing Robotics Omega(台湾)の飛行結果とは僅差だったが、両チームともレーザーがターゲットから外れていたため、より早くミッションを完遂したSpacecatの勝利となった。なお、第2回Kibo-RPCも開催予定。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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