【速報】国際宇宙ステーションISSの遠隔操作ロボット「スペースアバター」を通して見えた地球の姿 地球は青く光かがやいていた!

国際宇宙ステーション(ISS)のアバターロボットを地球から操作してみたい。できればそのロボットで地球の姿を見てみたい。そんな思いでイベントに参加しました。

東京の虎ノ門ヒルズにおいて、イベント「AVATAR X space avatar 宇宙を身近に感じよう」が開催され、世界初の試みとして虎ノ門ヒルズから国際宇宙ステーションISSに設置した遠隔操作ロボットを一般の来場者が操作するという実証実験が行われました(イベント期間は11/21〜22)。

イベント会場からISSのカメラロボットを遠隔操作する来場者

地上から400kmの上空を秒速8kmで周回する国際宇宙ステーションISS「きぼう」。先日、宇宙飛行士の野口聡一さんが到着して話題になりました。

「AVATAR X space avatar 宇宙を身近に感じよう」の会場に展示されていた国際宇宙ステーションISSの模型

プロジェクトに参加している各国が実験棟エリアを持っていて、日本(JAXA)のエリアが「きぼう」です


遠隔操作可能な4Kカメラロボット「space avatar」

そのISS「きぼう」には「space avatar」と呼ばれる遠隔操作可能な4Kカメラロボットが設置されています。

ISSの「きぼう」には4Kカメラロボット「space avatar」が設置されている

円筒型で遠隔操作によって、カメラの方向を様々に変えることができる。後ろの窓の向こうは宇宙

イベント「AVATAR X space avatar 宇宙を身近に感じよう」では、「一般の人たちが虎ノ門ヒルズのイベント会場よりその”space avatar”を操作する」という世界初の技術実証がイベント内で行われました。地上からの直接操作で、リアルタイムに「きぼう」船内から宇宙や地球を眺める体験です。(イベンの詳細は関連記事「【世界初】国際宇宙ステーションISSのスペースアバターロボットを一般の人が遠隔操作できるチャンス!宇宙や地球を眺める世界初の試み」)

スペースアバターを遠隔操作できる円形のパネル。手で触れてカメラの向きが変更できる(タイムラグが数秒ある)

もちろんISSのきぼう内部をスペースアバターで自分の意思で見渡すこともできる


地球は本当に見えるのか!?

下の写真はその時の(送受信による映像の時差は多少ありますが)リアルタイムの「きぼう」の映像です。奥に見える窓の外が宇宙です。窓の外に見える黄色く輝いているのが太陽光パネルで、太陽の位置に合わせて自動で向きを変えているそうです。


そして、この同じ窓から地球が見えるというのです。ISSが周回している位置を考えれば、地球は大きくすぐ間近に見えるはずですが、この場合は状況が異なるようです。窓の外には太陽光パネルやISS自体の機材等があり、地球は日の入りと日の出の、実質数分間だけ、カメラからは微かにしか見えないとのことでした。


地球が見られるチャンスはわずかな時間

イベントは21日と22日の2日間で、一時間ごとに人数制限が設けられた予約制。その中でも「space avatar」を操作できる時間は2~3回のみでした。一般人として(報道関係者枠ではなく)その初回に応募して、ISSの「space avatar」を虎ノ門ヒルズのイベント会場から操作する体験ができました。さらに運良く、操作しているときにそのイベントでは初めての日の入りのタイミングとなり、「space avatar」のカメラを窓の外に向けると地球を見ることができました。

それがこの写真です。窓の外に見える線のように見える青い光、ほんの一部ではありますが、私達が暮らす地球の姿です。


もちろんもっと「間近に鮮やかにはっきりと地球の姿が見えるのかな」と想像していました(読者の皆さんもそうだったのではないでしょうか)。それに比べればあまりにも細くて一部分だけ・・でも、これが虎ノ門から「space avatar」を通して(一般人の私達でも)見ることができる地球の姿の第一歩であると思えば、それはとても感動的な瞬間でした。

また、会場には家族連れや子ども達も来ていました。この子ども達がアバターロボットを通じて宇宙をさらに身近に感じ、将来サイエンティストや宇宙飛行士になる夢を抱いたとしたら素敵なことですね。そう感じましたし、私にとっても素晴らしい感動体験になりました。



遠隔操作ロボットを通して宇宙を身近に感じよう

このイベントは遠隔操作ロボットを使って宇宙を身近に感じようというものです。「space avatar」体験の他にも、ANAグループのavatarinが推進している遠隔操作ロボット「newme」も稼働展示され、種子島宇宙センター遠隔見学ツアーが行われていました(イベントの各時間回によって内容は異なる)。虎ノ門から種子島宇宙センターのnewmeを操作して見学したり、説明員の方に質問することができました。

画面の向こうは種子島宇宙センター。現地の説明員の方とアバターロボット「newme」で会話もできる


newmeの操作体験コーナー

また、会場の奥にも「newme」の体験コーナーが用意されていて、自分が操作する「newme」を見ながら操作体験。前後左右の移動がとても簡単、安全装置が付いているので、説明員の方や、他の「newme」にぶつからないことも確認できました。現在は一度の満充電で約3時間の稼働ということですが、開発中の新型は一気に6時間に増えることが予定されているそうです。

アバターロボット「newme」はANAグループのavatarinが開発、推進している。操作体験では簡単でシンプルな操作方法にビックリ

なお、今回は宇宙がテーマでしたが、「newme」は非接触の特性を活用し、新型コロナウイルス罹患者病棟での活用や、コロナ禍で面会が制限されている病棟や産婦人科(赤ちゃんとの面会)、高齢者施設などでの活用が進められているそうです。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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