アールティの協働ロボット「Foodly」が巻き寿司製造を自動化 鈴茂器工の「海苔巻きロボット」と連携

株式会社アールティは鈴茂器工株式会社とコラボし、同社の海苔巻きロボットと連携して海苔巻きを作る人型協働ロボット「Foodly スズモコラボモデル」を開発したことを発表した。同コラボ機は2021年4月20日、21日に池袋サンシャインシティで開催される「スズモフェア 2021 東京」で展示予定。


開発の背景

お弁当・惣菜などを製造する中食(なかしょく)の現場において、盛り付け工程は自動化の難易度が高く、現在その工程の大半を人手で行っている状況。そして慢性的な人手不足への対応、労働生産性向上、COVID-19感染拡大防止のための三密回避などの課題を抱えている。

寿司や海苔巻きの製造においては、シャリ(酢飯)を握る作業、シャリを平らに敷く作業をサポートする米飯加工ロボットが1990年頃より開発され、現在世界中の製造現場で働く人を支えている。一方で寿司や海苔巻き製造の全行程のロボット化、自動化についてはさらに高度で繊細な技術が求められ、また多品種のネタ、具材に対応する必要があるため、実用化が難しいと言われている。

海苔巻き製造の自動化について更なる可能性を探るため、世界初の寿司ロボットを開発し世界No.1シェアを獲得するなど、米飯加工ロボットについて高い技術や豊富なノウハウを持つ鈴茂器工と、世界初の食品盛り付け人型協働ロボットFoodly(フードリー)を開発し、多品種の食材を扱う中食現場にも対応する高い画像認識技術とロボット制御技術を持つアールティが協力し、互いの既存製品を活用した技術コラボレーションをすることとなった。


Foodly スズモコラボモデルの特徴

Foodly スズモコラボモデルでは、Foodlyが人が手作業で行う「海苔のセット」と「具材供給」を担当。そして、鈴茂器工の海苔巻きロボット(SVR-NVG)が成形して完成した海苔巻きをFoodlyが掴み、鈴茂器工の海苔巻きロールパック機(ZNS-FRA)に投入し、フィルム包装を行う。


海苔巻きロボットの製造工程とFoodlyの担当工程

ロールパック機の包装工程とFoodlyの担当工程

海苔巻きロボットとロールパック機のハード・ソフトウェアに特別なカスタマイズは行っておらず、Foodlyが人による操作を想定して作られた機械を使いこなす。従来のFoodlyは「から揚げ」「トマト」「ハンバーグ」などの丸みのある固形物のピッキングに対応していたが、スズモコラボモデルでは右手、左手部分それぞれに専用のハンドを開発。海苔・具材・完成した海苔巻き、3種類の食材のピッキングをFoodly1台が対応している(具材などの対象物は頭部のカメラで認識)。



また、従来のFoodlyは正面を向いてのピックアンドプレース(掴んで置く動作)を繰り返し行うものだったが、スズモコラボモデルでは腰軸と連動してのピックアンドプレースが実装され、複数の作業をこなすことが出来るようになった。


スズモフェアでデモ機を展示

Foodly スズモコラボモデルは2021年4月20日、21日に池袋サンシャインシティで開催される「スズモフェア 2021 東京」で展示される。また、実際に海苔巻きを製造するデモンストレーションも実施予定(同展示会は食品業界関係者を対象に開催されるため、一般公開はされない)。

スズモフェア概要 鈴茂器工が主催する、寿司ロボット・飯盛り機などの商談展示会。「スズモフェア 2021 東京」では寿司ロボット・海苔巻きロボット・飯盛り機を中心に展示し、関連企業も出展する。来場は事前予約制。
開催日時 2021年4月20日(火)10:00~17:00
2021年4月21日(水)10:00~17:00
場所 池袋サンシャインシティ 文化会館ビル3F 展示ホールC
展示会情報URL https://www.suzumo.co.jp/products/show/


コラボモデルはニーズに応じて発売予定

今回のコラボではFoodlyが従来の「ライン生産方式」ではなく、1台で製造工程を完成まで行う「セル生産方式」に初めて挑戦。人の作業向けに作られた既存の機械製品と連携できることや、1台で製造工程を完成まで行う「セル生産方式」に対応できる事例として実装した。

Foodly スズモコラボモデルはアールティと鈴茂器工の技術コラボレーション展示のために開発した機体となるが、発売や実用化についてはニーズに応じて相談を受け付ける予定。また、Foodlyのカスタマイズの可能性が拓けたことで、より広い分野の食品製造現場にソリューションを提案できるため、今後は他の既存機械製品との連携や、ベルトコンベアによるライン生産が難しく、セル生産で食品を扱うことの多いスーパーなどに協働ロボットを導入するための開発も進めていく。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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