ソフトバンクが「業務スーパー」を次世代型スーパーに変える? AIカメラと予測、提案式ショッピングカートで来店客の満足度向上へ

株式会社神戸物産とソフトバンク株式会社は2021年8月にオープン予定の神戸物産の直営店「業務スーパー天下茶屋駅前店」(大阪市西成区)をAI(人工知能)などを活用してユーザーの満足度向上を実現する次世代型スーパーの実験店舗として構築することを発表した。


魅力的な施策を全国の業務スーパーに展開

「業務スーパー」は神戸物産がフランチャイズ本部として全国に900店舗以上展開する食品スーパー。「良いものをより安く」をコンセプトとして製販一体体制を構築し、国内外の工場で製造したプライベートブランド商品などをベストプライスで販売している。2000年に第1号店をオープンしてから急成長を続け、認知度の向上に伴ってユーザーの来店が年々増加している。引き続き店舗数の増加を計画し、ユーザーのさらなる増加が想定される。

こうした背景の下、神戸物産はソフトバンクなどが企画・開発したソリューションを活用して、「業務スーパー天下茶屋駅前店」でユーザーの満足度向上を実現するための取り組みを実施する。また、その取り組みの効果や運用方法を検証し、魅力的な施策を全国の業務スーパーに展開することで、さらなる業務スーパーのファンの獲得と事業の成長を目指す。

ソフトバンクは「Beyond Carrier」戦略の下、従来の通信事業者の枠を超えて、幅広い産業分野における革新的なサービスの提供や他社との共創によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みに注力している。「業務スーパー天下茶屋駅前店」で検証するソリューションや取り組みを生かして、小売業界が抱える人手不足の課題解決や新しい買い物体験の創出に貢献し、業界のDXを促進することを目指す。

「業務スーパー天下茶屋駅前店」の概要

オープン予定日 2021年8月26日(木)
所在地 大阪市西成区岸里1-3-4
営業時間 午前9時〜午後9時
店舗面積 878.89平方メートル


「業務スーパー天下茶屋駅前店」で実施する主な取り組み内容

1.AIカメラで品切れを自動検知

陳列棚の映像をAIカメラで解析し、品切れを自動で検知してスタッフに知らせるシステムを導入する。このシステムを導入することで、最適なタイミングで商品の補充が可能になり、ユーザーはスムーズに買い物を楽しめる。店舗側はスタッフの業務量や人件費を削減することが可能で、業務スーパーの強みである「ローコストオペレーション」のさらなる強化を実現する。




2.選んだ商品に応じて商品やレシピを提案する「レコメンドカート」を導入

ショッピングカート「レコメンドカート」に設置されたタブレットでユーザーが商品のバーコードを読み取ると、ソフトバンクのグループ会社であるヤフー株式会社が提供する多様なサービスから得られるビッグデータや神戸物産が保有する実績データなどを基に、AIが導き出したおすすめ商品やレシピをタブレットに表示する。AIによる提案がユーザーの購買意欲にどのように影響するかを検証する。ユーザーはタブレットに表示されるQRコードをスマートフォンで読み取ることで、店舗を出た後もおすすめのレシピを確認することが可能。

レコメンドカートによる商品やレシピの提案イメージ

また、バーコードを読み取った商品をカートに入れると、タブレットでカート内の商品を一覧で見ることができ、買い忘れ防止となる他、その時点の買い物合計金額も一目で確認できる。カートをレジと連携させると、セルフレジとしても利用できるようになるため、ユーザーはレジに並ぶことなく精算できる。店舗側はレジ業務を担うスタッフを削減でき、通常より少人数での店舗運営が可能になる。


3.AIを活用してレジの待機人数を予測

店内に設置したカメラの映像を基に入店人数やレジの待機人数、精算に掛かる時間などをAIで分析することで、レジの待機人数を予測して、曜日や時間帯ごとのレジの稼働台数やスタッフの配置の判断などに役立てる。適正な台数のレジを稼働させることにより、ユーザーの待ち時間が削減される。

なお上記以外にも、店内におけるユーザーの動線分析の他、サイネージでの情報配信やその視聴者の属性分析など、さまざまな取り組みを順次実施する。これらの取り組みにより、業務スーパーをより魅力的な店舗とすることでユーザーの満足度向上を目指す。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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