コマツ「スマートコンストラクション」でDXを推進 1万4千件超の建設現場に導入 システムの流れとAWSを採用した理由を公開

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社(AWS)は、コマツが建設現場のデジタルトランスフォーメーションを推進するために展開しているソリューション「デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクション(DXスマートコンストラクション)」に、AWSクラウドサービスが採用されていることを発表した。それに伴って、6月25日に報道関係者向けにオンライン発表会が開催され、コマツからは「DXスマートコンストラクション」の内容と具体的な流れ、AWSを採用した理由を、AWSからは建設DXを支えるAWSサービスの5つの特長等が公開された。





DXスマートコンストラクションとは

「コマツ」は小松製作所、油圧ショベルやブルドーザーなどの建設・鉱山機械、フォークリフト、産業機械などに関する事業をグローバルに展開する総合機械メーカーだ。コンテナ、サーバーレス、データベースなどのAWSの幅広いサービスを活用し、「DXスマートコンストラクション」のさまざまな機能を日本、米国、欧州で提供している。

「DXスマートコンストラクション」は、コマツの顧客が建設生産プロセス全体のあらゆる「モノ」データをICTで有機的につなぐことで、現場のデータすべてを「見える化」し、安全で生産性の高いスマートでクリーンな「未来の現場」を創造していくソリューションのこと。


具体的には、IoT活用とデジタルツイン(建設現場と同じ世界をデジタル上に構築する)を駆使し、施工管理や運用の効率化、進捗の確認などが可視化された状態で確認することができるもの。

コマツ 執行役員 スマートコンストラクション推進本部長 四家 千佳史氏

四家氏は「ドローンを飛ばして現場を3Dデータ化することは実現でき、正確な地形の把握や必要な土量の算出には役立ったが、それらは単にデジタル化したに過ぎないと気づいた。私達のゴールはひとつひとつの業務をデジタル化した先にあるのではなく、今の建設工事のプロセスには大きな変革がやってきてそれを実現するのがDXなのだろうと考えた。業務をデジタル化してヨコの繋がりにも目を向け、必要のない業務をみつけてなくしたり、必要だと考えられていた部署が必要なくなったりと、プロセス自体に大きな変化が生まれる」と語った。



ソリューションは3つのレイヤーで構成

スマートコンストラクションのソリューションは3つのレイヤーで構成される。現場の機械・ヒト・サプライヤーをデジタル化する「デジタル化層」、それらのデータを処理し、機械・ヒト・材料・地形データを情報に変えていく「プラットフォーム層」、その上で顧客に最適化し価値を創造する「アプリ層」の3つ。


「アプリ層」には4つのレベルがあり、レベル1は現場の見える化/可視化、レベル2は課題の発見と分析(モニタリング)、レベル3はモニタリングした内容から最適解を求める/最適な施工計画を作る、レベル4は機械・ヒト・サプライヤーに対して「次は何をすべきか」最適な施工タスクを提供する。



SMART CONSTRUCTION Dashboard

例えば、DXスマートコンストラクションの機能の一つである「SMART CONSTRUCTION Dashboard」は、AWSを利用して建設現場のデジタルツインを構築。ドローンで測量した、建造物や樹木などを取り除いた地表面を表す3D地形データに、ICT建機やドローンからの施工進捗データをつなぎ、デジタルツインを3Dで視覚的に示す。
このデジタルツイン上に、コンテナ実行のための安全で信頼性の高い、スケーラブルなソリューションであるAmazon Elastic Container Service(Amazon ECS)などを利用して、完成地形設計データを重ね合わせることで、コマツの顧客は生産性の高い施工計画をたて、土砂の運搬に求められるダンプトラックの走行経路を最適化することができる。


SMART CONSTRUCTION Retrofit

コマツはまた、AWSを活用した従来型の建設機械をICT建機化することができる「SMART CONSTRUCTION Retrofit」も提供。建設機械のオペレーターは、ICT建機の専用モニタや「SMART CONSTRUCTION Retrofit」搭載の建機では市販のスマートフォンやタブレットを使い、リアルタイムに施工状況が反映される3D地形データを見ながら、自立した土木作業を高品質で行うことができる。
さらに、どこからでも施工の進捗を管理できるため、監督者が作業員への作業の割り当てなどの施工計画をリアルタイムに調整し、大規模工事の効率化および短期化を通じて環境負荷の軽減を実現しているという。

■動画 【KOMATSU】DIGITAL TRANSFORMATION SMARTCONSTRUCTION




AWSを採用した理由

これまで土木・建設業界ではデジタル化が遅れていると言われており、デジタル技術を活用した生産性の向上が課題とされてきた。こうしたなか、建設現場の生産性を向上させるため、コマツは国内外の開発者がクラウドで連携し、迅速に開発を進められるよう、幅広いサービスを提供するAWSを採用したという。

コマツがスマートコンストラクションにAWSを採用した理由

コマツの執行役員 スマートコンストラクション推進本部長の四家 千佳史氏は、次のように述べている。

四家 千佳史氏

私たち コマツは今日までの100年、お客様が安全性に妥協することなく、より効率的に、環境に配慮しながら建設プロジェクトを進められるよう、幅広い製品・サービスを提供してきました。今回、DXスマートコンストラクションの基盤にAWSを採用したことで、コマツはクラウドを利用して世界中の建設現場のデジタル化をさらに加速することが可能となりました。日本ではすでに14,000以上の建設現場でスマートコンストラクションが活用されており、お客様の現場における効率化と省力化を実現しています。今後は、機械学習を含む先進的なAWSのサービスの活用や、世界各地のAWSのパートナー、エンジニアコミュニティとさらに連携し、お客様とともに施工方法を革新していきたいと考えています。




建設DXを支えるAWSサービスの5つの特長

AWSからはエンタープライズ事業統括本部長の佐藤氏と技術統括本部長の岡嵜氏が登壇した。
AWSは現在200を超えるサービスでワークロードをサポートしている。ワークロードは、リソースとビジネス価値をもたらす顧客向けアプリケーションやバックエンドプロセスなどの集まりのこと。


「建機やドローンから取得したデータ、解析/生成したデータをどこからでもアクセスして共有することで作業を効率化したり、工程管理を正確に分析するなど、プロセスの改善/最適化にAWSとして貢献していきたい。また、多くの連携しているシステムから膨大なデータが集められ、迅速にコンテナで作られたアプリケーションが処理する環境を提供している」と語った。




建設DXを支える上で、AWSの5つの特長・利点をあげた。
アプリケーションを迅速に開発できる「サーバーレスの活用」、サービスの停止が工期の遅れに直結するため、建設生産プロセスの安定運用を重視した「高い可用性・耐障害性」、顧客やICT建機の増加への対応力向上を目指した「建設生産プロセスの安定運用」、建機やドローンから取得した膨大なデータの分析と解析、デジタル世界を創造・運用する「物理と仮想の融合」、建設DXを世界展開に繋げる「グローバルリージョンの提供」の5つとした。


アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 執行役員 エンタープライズ事業統括本部長 佐藤 知成氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 執行役員 技術統括本部長 岡嵜 禎氏

また、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長での長崎 忠雄氏は、リリースを通じて次のようにコメントしている。

長崎 忠雄氏

コマツ様は建設現場の生産性、サステナビリティ、安全性、そして効率性の向上のため、AWS上で伝統的な産業を変革する革新的なソリューションを構築されています。お客様がクラウドを活用して、未来に向けたインテリジェントなアプリケーションを構築できることを示す素晴らしい事例です。今後も、コマツ様がDXスマートコンストラクションの提供を通じて生産性と安全性の向上を支援し、ビジネスを変革し続けられるのをご支援してまいります。


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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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