注目集まる【メタバース】での生活実態が明らかに!「ソーシャルVR国勢調査2021」公開

Facebook社が、Metaに社名変更し、今後メタバースに注力することを発表した。しかし、メタバースの大規模生活実態調査のレポートはそれほど一般に公開されてこなかった。
そんな中でバーチャルアバターを用いたシステムなどをワンストップで提供する株式会社ブイノスが調査レポートを発表した。

仮想現実(VR)における人類の新たな生活空間「メタバース」としてソーシャルVRが現在非常に注目されており、COVID-19拡大に伴いユーザー数が急速に増加しているが、高い匿名性によりその生活実態はほとんど知られていなかった。

そのような中、HTC公式VIVEアンバサダー・VTuber「バーチャル美少女ねむ」とスイスの人類学者「ミラ (Liudmila Bredikhina)」は、2021年10月28日、現在注目が集まる「メタバース」での生活実態を明らかにするために全世界のユーザーを対象に行ったアンケートへの回答1,200件を分析したレポート「ソーシャルVR国勢調査2021」を無償で公開した。

同レポートは、利用サービスや目的・利用時間などの一般的な統計に留まらず、「お砂糖」と呼ばれるVR内恋愛やファントムセンス(VR感覚)など、VRならではの実態に深く踏み込んだ60Pにも及ぶ壮大な内容だ。


▼ソーシャルVR(メタバース)とは

SFに登場する仮想空間になぞらえて「メタバース」と呼ばれる事が多い「ソーシャルVR」とは、ヘッドマウントディスプレイなどを利用し、多数のユーザーがバーチャル空間内でコミュニケーションできるサービスのことだ。バーチャルYouTuberのライブに参加して会いに行く事ができたり、大多数のユーザーが集まった様々なイベントなども行われている。圧倒的なユーザー数を誇る「VRChat」を始めとして、様々なサービスが続々と登場しており、バーチャル空間では感染リスク等もないため新型コロナ拡大の影響もあり利用者が急拡大している。今後10年間で10億人のユーザーが利用するようになるとも言われており、Facebookが今後毎年100億ドル以上を投資すると発表し話題となっている。ただし、様々なサービスが存在することと、実際のコミュニケーションはフレンド同士の閉じたコミュニティで行われる事が多いため、その生活の実態はこれまでなかなか明らかになる事がなかった。




「ソーシャルVR国勢調査2021」の目的

同調査はCOVID-19拡大後に利用者が急拡大したソーシャルVRのユーザーの生活実態を明らかにするために実施したもので、恋愛やファントムセンス(VR感覚)にスポットを当てた質問も用意した。日本・北米・ヨーロッパを始め、全世界のソーシャルVRユーザーから回答が集り、利用するソーシャルVRも、VRChat・RecRoom・Neos VR・バーチャルキャスト・clusterと多岐に渡った。


同レポート調査チーム、 VTuber研究ユニット「Nem x Mila」

同レポートは、VTuber「ねむ」と人類学者「Mila」によるVTuber研究ユニット「Nem✕Mila」による調査プロジェクトだ。昨年もインタビュー記事の公開や「バーチャル学会2020」での登壇発表を行っており、今後はレポートを元にした動画配信や有識者との対談企画を予定している。なお、同ユニットによる「ソーシャルVR国勢調査2021」ライブ報告会は、11月3日、YouTubeねむちゃんねるにて公開予定だ。

■バーチャル美少女ねむ
日本のバーチャル文化エヴァンジェリストにして、世界最古(自称)の個人系VTuber。NHK人気番組「ねほりんぱほりん」にゲスト出演しお茶の間に「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」の衝撃を届けた。VTuberによる人類進化を予言した自筆小説『仮想美少女シンギュラリティ』はamazon売れ筋ランキング「小説・文芸」部門1位達成。HTC公式の初代VIVEアンバサダーにも任命されている。
■ミラ(Liudmila Bredikhina)
VTuberを研究するスイス・ジュネーブ大学の人類学者(修士課程終了) にして、自身もバーチャル美少女ねむと共にVTuberとして活動する。日本のVTuber現象が人間のアイデンティティやコミュニケーションに与える可能性について着目し、様々な研究レポートを発表して話題となっている。




「ソーシャルVR国勢調査2021」レポートの内容

同レポートは、「VR生活実態レポート」「お砂糖レポート」「ファントムセンスレポート」の3つのテーマに沿ってまとめられている。




Part1「VR生活実態レポート」

【テーマ】:ソーシャルVRの利用動向・アバター表現・音声コミュニケーション

1.国に関わらず、VRChatが最も利用されるソーシャルVRサービスだった。
2.ソーシャルVRの最大の利用目的は「友達との交流」だが、サービスにより顕著な違いがみられた。
3.約半数が「ほぼ毎日」「3時間以上」利用する「総プレイ時間500時間超え」のヘビーユーザー。
4.国やサービスに関わらず、ほとんどのVRユーザーが仮名 (キャラクター名) で生活していた。
5.ユーザーの物理性別に関わらず、約7割が女性型のアバターを利用する傾向がみられた。
6.アバターの種類は人間型が支配的。サービスにより傾向の差があり、多種多様なアバターがみられた。
7.約17%がボイスチェンジャーなど加工された音声を利用しており、うち半数以上が女声を出す目的であった。


Part2「お砂糖レポート」

【テーマ】:VR環境での恋愛と恋人関係(お砂糖:VR内での恋人関係を示すスラング)

● VR恋愛
1.約40%がVRで恋に落ちた経験あり。プレイ時間と相関があり、ヘビーユーザーでは76%を超えた。
2.VR内で相手に惹かれるきっかけは「相手の性格」が半数以上。次いで「アバターのビジュアル」「声」
3.約3/4にとってVR内での恋愛に相手の物理的な性別は関係ないが、国やサービスにより大きな違いがみられた。

● VR恋人(お砂糖)
1.約30%がVR内で恋人ができた経験あり。プレイ時間と相関があり、ヘビーユーザーでは72%を超えた。
2.VR恋人が物理現実でも恋人である割合は1/3程度。
3.VR恋人はほとんどの場合一人だけである。


Part3「ファントムセンスレポート」

【テーマ】:VRアバターコミュニケーションとファントムセンス(VR感覚)
※ファントムセンス(VR感覚)とは、本来視聴覚しか再現されないはずのVR体験中に擬似的に他の感覚を得る現象全般を本調査では指すものとする。

● VRアバターコミュニケーション
1.約3/4が物理現実より相手との距離が近くなる。
2.約74%がよくスキンシップをする一方、約43%は相手によっては不愉快だと答えた。
3.約1/3がVRでのセックス経験あり。プレイ時間と相関があり、ヘビーユーザーでは2/3を超えた。

● ファントムセンス(VR感覚)
1.落下感 (約75%) や触覚 (約45%) は比較的感じやすい。限界はあるが、感じる割合はプレイ時間と相関あり。
2.触覚と吐息など、似た感覚ほど共に感じやすい相関関係がある。
3.触覚は、顔・手など視界に入りやすいアバターの部位ほど感じやすい。



▼ソーシャルVR国勢調査2021

対象 VRヘッドマウントディスプレイを用いて、ソーシャルVR(VRChat、Rec Room、Neos VRなど)を直近1年以内に5回以上使ったユーザーで、英語もしくは日本語話者の方(デスクトップ・スマホからのみの利用者は今回は対象外)
方法 2021年8月23日~9月11日の期間、 Googleフォームによる公開アンケート
言語 日本語と英語のバイリンガル形式
レポート方法 各項目の相関関係を分析し、結果を可視化した。
回答数 1,197件
レポート形式 全60ページ。pdf形式。日本語と英語のバイリンガル形式。
その他 ・無料公開:今後のメタバースのより良い未来に向けた議論を活性化するため無償での公開とした。
・読後アンケート:更なる分析と今後の調査活動の参考のため、アンケートでフィードバックを受け付けている。
レポート公開ポータルサイト:
(日本語版)https://note.com/nemchan_nel/n/ne0ebf797984c
(英語版)https://note.com/nemchan_nel/n/n6c6f1bb22ef1

■【動画】【LIVE】VR国勢調査報告会 メタバースでのアバター・声・そして恋愛
※2021年11月3日に公開予定

関連サイト
株式会社ブイノス

ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム