NEC 赤外線カメラ搭載スマートマスクで要救助者の捜索を支援 ICTを活用した「消防向け現場活動支援ソリューション」を開発

日本電気株式会社(NEC)は、先進のICT技術を活用し、安全な消防活動を支援する「現場活動支援ソリューション」を開発した。
このソリューションは、赤外線カメラを搭載し、暗闇でも要救助者の検索活動を支援する「スマートマスク」や、GPSが届かない屋内で消防隊員の位置情報をリアルタイムに確認できる「屋内位置測位システム」、指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって現場の消防隊員間や指令センターなどとの情報共有・指揮伝達を支援する「指揮支援システム」から構成される。

NECは今年度から電子指揮盤と連携した指揮支援システムの提供を開始しており、2023年度までには「スマートマスク」と「屋内位置測位システム」を実用化し、全国の消防への展開を目指す。さらに各システム間のデータ連携強化を進め、消防活動の一層の迅速化・効率化に貢献したいとしている。

現場活動支援ソリューションのシステム間連携イメージ


スマートマスク

スマートマスクは、火災現場などで消防隊員が着装する空気呼吸器の面体に、ヘッドマウントディスプレイと赤外線カメラ・可視光カメラを搭載、赤外線カメラ映像により暗闇や濃煙下での活動や要救助者の検索活動を支援する。
また、現場隊長や指揮本部との無線技術によるネットワーク化により、リアルタイムな情報共有ができる。


消防隊員の活動時の視界を妨げないよう透過型のヘッドマウントディスプレイを採用し、赤外線カメラ映像に加えて空気ボンベの残圧、現場隊長のタブレット端末から送られる様々な指示情報などが投影できる。このような面体用に専用設計されたフルカラー表示のヘッドマウントディスプレイを内蔵し、外部と双方向の情報伝達を実現する仕組みは世界初という(2022年2月7日時点、NEC調べ)。

なお、本スマートマスクは、エア・ウォーター防災株式会社、株式会社重松製作所と共同開発した。また、開発は総務省消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」における令和元年度・2年度採択の委託研究(代表研究機関:一般財団法人日本消防設備安全センター)として実施したもの。


屋内位置測位システム

GPSが届かない屋内で、モバイルビーコンを装着した消防隊員の位置情報を確認できる屋内位置測位システム。予め設置された位置情報を取得するためのインフラは必要としない。現場到着時にアンカービーコンを設置することで、複数の消隊員の現在位置がリアルタイムにタブレット端末に表示され、活動状況の把握が可能となる。


本システムは、NEC北米研究所が開発したUWB(Ultra Wide Band)を用いた屋内位置測位の特許技術「TrackIO」を活用。またNECの子会社で新事業の創出を推進するNEC X, IncとNEC北米研究所が、本システムの実証実験を北米の消防機関で進める。


指揮支援システム

指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって、現場の消防隊員間や指令センターとの情報共有・指揮伝達を支援するシステム。2017年から複数の消防で導入実績のある指揮支援システムのノウハウを活かし、今回、指揮支援タブレット端末と電子指揮盤との情報連携を実現する新たな指揮支援システムを開発した。
指揮支援タブレット端末は、現場の消防隊員や現場隊長、指揮本部、指令センター間を相互かつリアルタイムに情報共有することができる。


電子指揮盤は、これまで紙や無線通信などで行っていた火災現場や救助等における指揮本部の運用をデジタル化し、防水仕様により雨天でも使用できる。電子指揮盤は、株式会社リコーのRICOH eWhiteboard 4200(大型電子ペーパー)を活用。
新たな指揮支援システムは今年度から提供を開始している。

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ロボスタ編集部

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