東京大学とNECが「次世代5G」の技術開発と社会実装、人材交流、産学教育で連携「Beyond 5G価値共創社会連携講座」開設

5Gサービスの次世代の通信として、超広帯域・低遅延通信、広大なカバレッジ、詳細な位置測位が同時に実現されるBeyond 5Gの導入が2030年頃に見込まれており、Beyond 5Gにより、空間・時間といった物理的制約から解放され、新たなコミュニケーション体験および生活者の求める多様な価値観に沿う働き方や暮らしが実現する社会が到来すると考えられている。

そこで、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(東京大学)と日本電気株式会社(NEC)は「Beyond 5G価値共創社会連携講座」を開設し、Beyond5Gに係る技術の開発および開発技術の社会実装に取り組むと同時に、人材交流・産学教育などの新たな産学連携の実現に取り組むことを2022年2月15日に発表した。

なお、東京大学とNECは、共同で国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業「Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤の研究開発」を受託しており、その成果も同社会連携講座で活用していく予定だ。
(※冒頭の画像はイメージ)





同社会連携講座が目指すもの

同講座では、東京大学キャンパスに実験ネットワークを構築し、開発した技術の実証を行い、通信事業者・一般事業者・自治体等、多くのステークホルダーと共に、社会に新たな価値と行動変容をもたらす「場」の形成や、Beyond 5Gの鍵となる高周波数帯の無線通信(ミリ波・サブテラヘルツ波等)を使いこなすことで利用者の体感品質(QoE:Quality of Experience)を最大化するネットワーク制御技術を確立し、その活用による新たな付加価値の共創を目指すとしている。また、キャンパステストベッドを活用した研究開発の第一の成功モデルケースとして、協力者を呼び込み、多くのステークホルダーとのオープンな価値共創活動も目指しているとのことだ。


社会実装

開発技術の実装評価の場として、東京大学次世代サイバーインフラ連携研究機構が推進するキャンパステストベッドに実験ネットワークを構築し、Beyond 5Gによる超高速通信の実証を行う。例えば、ローカル5Gのように、一般事業者、自治体、大学、通信キャリアなどが様々な形で協力して通信サービスを提供することにより、サービス開発の民主化に取り組み、新たな通信の革新を推進する。


人材育成

Beyond 5G人材の育成と社会への送り出しに向け、相互人材交流や学生向けのセミナーなどを行う。


両者の役割
東京大学 電波伝搬路やアンテナの制御技術・ダイナミック時空間スライシング技術の研究開発およびキャンパスでの実験ネットワーク構築、社会実装に向けた通信事業者等との共創
NEC Beyond 5GネットワークにおけるEnd-to-EndのQoE制御技術の研究開発、社会実装に向けた製品・サービスの開発および事業化検討




研究内容

同社会連携講座では、【「新たなサービス・行動変容」を創造する、リアルタイム・大容量通信システム】【「新たな通信の提供形態」を創造する、人やモノに紐付いた超高空間分解能の情報通信システム】【「情報通信産業の競争力」を創造する、新たな情報通信の迅速展開性を追求する技術】を目指した研究開発を行う。


「新たなサービス・行動変容」を創造する、リアルタイム・大容量通信システム

Beyond 5Gでは、5GHz以上の高周波数の電波を活用した数十から百Gbpsクラスの高速・大容量通信が利用可能となる。同社会連携講座では、Beyond 5Gで主に使用されると想定されるミリ波帯を使いこなすために電波伝搬に着目し、次世代RANの実現に向け、電波伝搬路やアンテナの制御技術とそれらを組み合わせる通信システムの開発を行う。また、開発した通信システムを活用した、医療・モビリティ・製造現場などのミッションクリティカルなシステムにおける状況把握とAIによる状況予測、サイバー世界で現実世界をシミュレートして予測するデジタルツイン、場の雰囲気をも伝える超臨場感通信など、新たなサービスの創造と行動変容の促進に取り組むとしている。


「新たな通信の提供形態」を創造する、人やモノに紐付いた超高空間分解能の情報通信システム

高周波数の無線通信は、大容量通信が可能になる一方で、電波の直進性や減衰によりカバレッジが小さくなることから通信として利用しにくいという課題がある。そのため、以下の内容に取り組むとしている。

1. カバレッジが小さいという短所を、通信の空間分解能が向上する長所と捉え、人やモノそれぞれに紐付いた通信エリアの構築による新たな通信の提供形態の創造に取り組む予定だ。具体的には、時間的・空間的に周波数の効率的利用を目指すダイナミック時空間スライシング技術の開発に取り組む。同技術では、ネットワークを仮想的に薄切り(スライシング)にして複数の層を作り、超広帯域・低遅延など要求条件の異なるアプリケーション・サービスそれぞれに適した通信の実現を目指す。
1. Beyond 5Gネットワークにおける利用者のQoE向上を目指すEnd-to-EndのQoE制御技術の開発にも取り組む。同技術では、システム全体でQoEや通信品質の変動を予測し、その変動に合わせてスライシングや接続先基地局の選択など通信リソースの最適な制御手段をAIにより自動決定することを目指す。





「情報通信産業の競争力」を創造する、新たな情報通信の迅速展開性を追求する技術

ダイナミック時空間スライシング技術・End-to-EndのQoE制御技術などを活用し、サイバーインフラシステムおよびサービスの構築における柔軟性と迅速性を追求する。ソフトウェア化やカスタムハードウェアの統合技術を駆使することで、この市場への迅速展開性(Rapid Deploy-ability)の向上による競争力の創造に取り組むとしている。


▼ 同社会連携講座の概要

設置期間 2021年12月~2024年11月(3ヵ年間)
代表教員 中尾彰宏(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 教授)


ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム