保安要員なしで自動配送ロボットが公道を走る パナソニック 完全遠隔監視・操作型での道路使用許可を取得

パナソニックホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンにて実施中の小型低速ロボットを使った住宅街向け配送サービスの実証実験において、国内で初めて完全遠隔監視・操作型(フルリモート型)の公道走行の許可に関わる審査に合格し、道路使用許可を取得したことを発表した。

これにより、これまで道路運送車両法に基づく保安基準緩和認定の条件として、ロボット近傍での配置が必須となっていた保安要員の配置が不要となり、完全遠隔監視・操作型でのくらしに溶け込むロボットを活用した配送サービスなどの実証実験が可能になる。


パナソニックHDの取り組み

少子高齢化による労働力不足に対して、パナソニックHDでは小型低速ロボットを活用した配送サービスの実用化に向けて取り組んでおり、2020年11月からFujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)で実証実験を開始。これまでに、国内で初めて1名のオペレーターが遠隔で4台同時に監視しながら公道での自動走行や、自動走行ロボットを活用した店舗から住宅への配送サービス実証などを実施してきた。これらの実証実験では安全確保の徹底や緊急時の対応のため、オペレーターによる遠隔監視・操作に加えて、ロボット近傍に保安要員を配置して運行を行ってきた。

Fujisawa SSTにおける4台運用



完全遠隔監視・操作型の道路使用許可を取得

今回は国内で初めて警察庁の定める「特定自動配送ロボット等の公道実証実験に係る道路使用許可基準」における完全遠隔監視・操作型の公道走行の許可に関わる審査に合格し、道路使用許可を取得。これはFujisawa SSTにおける1,200 kmを超える走行実証実験を行う中で、小型低速ロボットの認識能力の向上、ならびに遠隔監視・操作に関するAI技術の進化により実現できた。

具体的にはロボットの認識能力を向上させ、遠方の人や近接車両等の移動物体、路上落下物などを即座に発見し、遠隔監視・操縦を行うオペレーターに通知することにより、緊急時でもオペレーターが遠隔で介入し、適切な対応をとることができる。また、オペレーターが遠隔操作してロボットが横断歩道を走行する際に遠隔システムとの通信が途切れたとしてもロボットが自律的に安全な場所まで走行する。これらの進化により、ロボット近傍の保安要員のサポートが不要となり、完全遠隔監視・操作型でのロボットの自律走行が可能になった。なお、万が一の場合は人が駆け付ける体制も整えている。


完全遠隔監視・操作型でのロボットの公道走行が可能になることで、更なる運行の効率化とともに、小型低速ロボットを用いた配送サービスの展開や拡大が期待できる。


エリアモビリティサービスプラットフォーム「X-Area」(クロスエリア)

パナソニックHDは今回進化させた技術を搭載した小型低速ロボットや遠隔管制システムをエリアモビリティサービスプラットフォーム「X-Area」(クロスエリア)と名付けた。今後、ユーザーのニーズに応じて提供し、くらしに寄り添う次世代モビリティサービスが街にあふれ、ユーザーが望むモノやサービスをいつでも・どこでも・非対面で・気軽に受けることができる世界の実現を目指していく。具体的には2022年5月からFujisawa SSTにて商業施設から住民に商品を届ける実証サービスを提供予定。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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