メタバース/デジタルツイン基盤「NVIDIA Omniverse」約700社の大手企業が既に使用 開発者フレームワーク等のアップデートを発表

NVIDIAは、カナダ・バンクーバーで開催された国際会議「SIGGRAPH」にて、Universal Scene Description(USD)に基づきメタバース ワールドを構築および接続するためのプラットフォームであるNVIDIA Omniverse用の新しい一連の開発者フレームワーク、ツール、アプリ、およびプラグインを発表した。

Omniverseの拡張には、アーティスト、開発者、エンジニアが仮想世界とコンテンツをこれまでになく簡単に構築するためのAIを活用したツールが含まれ、PTC Creo、SideFX Houdini、Siemens Xceleratorプラットフォームのソリューションなどの今日の主要な3Dアプリケーションにシームレスに接続する機能を特徴としている。



世界中の約700社の大手企業がすでに使用する「Omniverse」

同プラットフォームは、仮想世界を構築するためのマルチGPUスケーラブル コンピューティング プラットフォームとして、建築およびプロダクトデザインを強化し、視覚効果ワークフローを簡素化し、工場や都市、および地球のデジタルツインを構築するために、世界中の約700社の大手企業によってすでに使用されている。

NVIDIAのOmniverseおよびシミュレーションテクノロジ担当 バイスプレジデントであるRev Lebaredian(レブ レバレディアン)氏は次のように語っている。

Omniverse及びsimulation technology担当 バイスプレジデント Rev Lebaredian氏

メタバースは、組織には無視できないことがわかっている数兆ドル規模の機会ですが、多くの人は、メタバースとの関わり方について明確な道筋を見つけるのに苦労しています。NVIDIA Omniverse は、物理世界と仮想世界の間のギャップを縮めます。これらの新しいツール、テクノロジ、およびコラボレーションにより、今日の3Dインターネットへの飛躍が可能になります。



■【動画】NVIDIA Omniverse for Architecture, Engineering, and Construction(英語)

■【動画】NVIDIA Omniverse Enterprise for Media & Entertainment

■【動画】Supercomputing for the Next Era of Digital Twins(英語)




新しいアプリケーションとフレームワーク

同社は、今回のNVIDIA Omniverse Avatar Cloud Engine(リアルな仮想アシスタントとデジタル ヒューマンを構築および展開するためのクラウドネイティブなAIモデルとサービスのスイート)発表に加えて、以下のプラットフォームのアップデートを公開した。


Omniverse Kit

同ツールキットは、ネイティブのOmniverse拡張機能とアプリケーションを構築するためのものだ。

● OmniverseのPhysXの主要なアップデート:リアルタイムのマルチ GPU スケーラブルなソフト ボディとパーティクル クロスのシミュレーションが含まれ、仮想世界とオブジェクトの物理的精度を高めるのに役立つ。
● 新しいOmniLiveワークフロー:Omniverse での USD ベースのコラボレーションを見直し、複数のアプリの3Dワークフローの速度とパフォーマンスが向上、非破壊的なUSDワークフローが可能になり、アーティストと開発者間のコラボレーションがこれまでになく簡単になる。



Omniverse Audio2Face

音声ファイルから直接フェイシャル アニメーションを作成できるAIツール。リアルな感情を推測して生成し、すべての顔の特徴をアニメーション化する新しい機能により、AIを活用したアニメーションに大きな飛躍をもたらす。


Omniverse Machinima

3Dシネマティクスとアニメーションフィルムを簡単に構築するためのアプリ。『Post Scriptum』、『Beyond the Wire』、『Shadow Warrior 3』 のゲームから何百もの新しい3Dアセットが無料で提供される。さらに、音声ファイルからリアルな腕と体の動きを生成するAIであるAudio2Gestureなどの新しいAIアニメーションツールのスイートが加わった。


Omniverse DeepSearch

今回のアップデートにより、Omniverse Enterpriseのユーザーも利用できるようになった。DeepSearch は、チームがAIにて「赤く、さびたドラム缶」などの自然言語を使用し、大規模なタグ付けされていない3Dビジュアル アセット データベースを直感的かつ正確に検索できるようにし、検索するのに大きな課題のある数十万のタグ付けされていないアセットを持つゲーム開発者やVFXスタジオ向けの画期的なツールだ。受賞歴のあるスタジオ「Industrial Light & Magic」は、DeepSearchを活用して、数十万の環境アセットからなる、増え続けるライブラリを解放している。さらに、物理機械学習フレームワークである NVIDIA Modulusが、Omniverse Extensionとして新たに利用可能になった。ほぼリアルタイムのパフォーマンスを提供する、Modulusでトレーニングされた物理MLモデルは、アプリケーションによっては4,000倍、さらには10万倍高速であり、高忠実度のシミュレーションに近い前例のない精度を提供する。なお、Modulusは、NVIDIAのEarth-2を含む科学的なデジタルツインの基礎の1つとなっている。



USD Connector を使用したメタバースの構築

NVIDIA は、産業、設計、シミュレーション、CADソフトウェアエコシステムのパートナーとの共同作業の一環として、USDベースのプラグインである11の新しいOmniverse Connectorも発表。産業および科学コミュニティの企業にOmniverseワークフローをさらに開放した。なお、同発表により、Omniverse USDエコシステムへのConnectorの総数は112となった。


ベータ版で新たに利用可能

PTC Creo、Visual Components、SideFX Houdini用のConnectorが、ベータ版で新たに使用可能に。他、Blender、Autodesk Alias、Autodesk Civil 3D、Siemens JT、SimScale、Open Geospatial Consortium向けの Connectorの継続的な開発を発表した。NVIDIAは、これにより、製造、エンジニアリング、設計会社のメタバース ワークフローがさらに解き放たれると述べている。


コア シミュレーション テクノロジのメジャーアップデート

また、メタバースの世界でマテリアルや物理、ライトを表すコア シミュレーション テクノロジのメジャーアップデートをリリースした。

NVIDIA MDL 3Dマテリアルを物理的に正確に表現するためのマテリアル標準として10年間役割をはたしてきたNVIDIA MDLは、現在、完全にオープンソースになり、開発者はあらゆるレンダラーにマテリアル定義言語のサポートを提供できるようになった。
NeuralVDB 間もなくベータ版が公開されるNeuralVDBは、OpenVDBの次の進化形であり、AIとGPU最適化をスパースボリュームデータセットにもたらし、これらの大規模なデータセットのメモリ使用量を最大100分の1に削減する。


NVIDIA Omniverse詳細ページ:https://www.nvidia.com/ja-jp/omniverse/
SIGGRAPHの特別講演:https://www.nvidia.com/ja-jp/events/siggraph/
関連記事
NVIDIA

ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム