2030年の未来社会、ドローンと自動配送ロボット、AR/MRによる先端的物流サービスを先行実現 つくば市で内閣府スーパーシティ調査事業

​KDDI株式会社、KDDIスマートドローン株式会社、株式会社ティアフォー、株式会社Psychic VR Labの4社は、茨城県つくば市の協力のもと、内閣府から採択された「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」の取り組みを2022年8月25日から開始することを発表した。

同取り組みでは複数台のドローンと自動配送ロボットを組み合わせ、PCR検体輸送などのさまざまな目的に応じた物流サービスの実現可能性を検証する。ドローンの飛行にあたっては、現実空間にバーチャルコンテンツを重ね合わせ、ドローンの飛行経路を可視化し「空の道」をつくるリアルメタバースを都市連動型空間メディアとして活用する。

また、都市連動型空間メディアを通じて、つくば市らしいコンテンツやWeb3.0教育プログラムを提供する取り組みも行う。4社は調査事業を踏まえ、2023年度以降のサービス化を目指し、先端技術で地域課題を解決するつくば市の「スーパーシティ」構想の実現に向けて取り組んでいく。


2030年頃に目指す未来社会をつくば市で先行実現

つくば市は2022年4月、大胆な規制改革を伴ったデータ連携や先端的サービスを実現し、移動・物流、医療・介護、子育てなど様々な分野の地域課題を解決する「スーパーシティ型国家戦略特区」に指定された。スーパーシティはデジタルを通じて地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現するという「デジタル田園都市国家構想」を先導することが期待されている。今回4社が連携し各社の知見を活用することで、2030年頃に目指す未来社会をつくば市において先行実現していく。

取り組みの全体イメージ

今回の取り組みにより、データ連携や先端的サービスの社会実装を通じて地域課題を解決し、デジタル田園都市国家構想の早期実現につなげるとともに、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを推進していく。


1.モノが来る、コトが来る未来の実現

つくば市では公共交通による市内移動の効率性が十分でなく、自家用車がないと周辺地区における生活用品の買い物や処方薬の受け取りが困難であるといった課題がある。日本においても物流分野の人手不足が社会課題となっており、さまざまな物流手段の整備が必要となっている。取り組みではドローンや自動配送ロボットを活用した物流のサービス化に向けた課題解決に取り組む。


ドローンによるPCR検体輸送

2022年度を目途に実現予定の「有人地帯における補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)を想定し、新型コロナウイルス感染症PCR検体の医療機関への輸送実証(実証エリア協力:筑波大学)や、複数のドローンによる複数の目的に応じた配送サービスを提供する。KDDIスマートドローンの運航管理システム(注 2)で複数ドローンの飛行を遠隔管理し、複数台同時運航の際のリスク評価のあり方などの検討に貢献していく。

PCR検体輸送を導入済みの中国では輸送時間が1/3に削減されるなどの効果が出ており、日本においてもPCR検体などの輸送ルールの整備を目指す。また、ドローンと自動配送ロボットが連携した配送サービスを提供することで、道路における安全な走行を実現するための規制・制度の検討に貢献する。

ドローンによるPCR検体輸送イメージ


ドローンの運行情報をARコンテンツとして表示

ドローンが自身の生活圏内の上空を飛行する上で、万が一の落下リスクなどを不安に感じる住民の方の存在も想定される。ドローンが飛行する経路および運行情報をリアルメタバース上にARコンテンツとして表示し、地域住民がリアルタイムでそれらを視覚的に認識することで、ドローンの社会実装に向けた地域住民の認知獲得および理解浸透に取り組む。

空の道(ドローン空路可視化)イメージ


2.多文化共生の社会の実現

つくば市は高齢者から子育て世代、外国人など多様な住民が暮らす街。分散型のデジタル社会においては、誰もが先端技術を活用し自己表現にチャレンジできる環境の構築が重要となっている。


都市連動型空間メディアの構築

都市空間をメディアとして活用できるリアルメタバースの社会実装に向け、スマートフォンやデジタルサイネージを通じてオンラインのデジタルツイン(バーチャル空間)にアクセスし、AR/MR 体験が可能なソリューションを提供する。同ソリューションでは唯一無二であることをブロックチェーン技術で証明するNFTを活用したつくば市独自のAR/MRコンテンツの発信も可能。

都市連動型空間メディアソリューションイメージ

NFTを活用した作品の発信イメージ


Web3.0 教育プログラムの提供

XRの表現を学ぶ「NEWVIEW School」をWeb3.0に拡張し、特別な教育プログラムとして提供する。メタバースやWeb3.0の概要、 XRコンテンツ制作の一連のプロセスに加え、制作に使用するソフトウエアの使い方、NFTの付与・マーケットプレイスでの販売まで、Web3.0時代のコンテンツ制作・情報発信に必要なスキルを総合的に学ぶことが可能。同プログラムを通じ、つくば市民や事業者が誰でも最新テクノロジーを活用した自己表現にチャレンジできる環境の構築に取り組む。

Web3.0 教育プログラム イメージ

■各者の役割

KDDI 事業全体の企画・統括、委託事業管理、通信環境の構築
KDDIスマートドローン ドローンの運行・検証および、ドローン、自動配送ロボットに関するマルチシェアリングモデル構築に向けた提案
ティアフォー 自動配送ロボットの運航・技術およびサービス検証
Psychic VR Lab つくば市主要スポットのデジタルツイン開発とコンテンツ開発、教育プログラムの開発、提供
つくば市(協力) 事業への助言、社会実装に向けた官学民連携の推進、住民との合意形成
関連サイト
株式会社Psychic VR Lab

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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