発破を自動装填する山岳トンネル自動化技術「自動装薬システム」にロボット制御システム「V-Sido」で技術協力 アスラテック

アスラテック株式会社は、前田建設工業株式会社と株式会社前田製作所が開発した山岳トンネル自動化技術「自動装薬システム」について、ロボット制御システム「V-Sido(ブシドー)」による技術協力を行なったことを2022年10月6日に発表した。危険を伴う装薬作業員の安全性の向上が期待できる。

前田建設工業ICI総合センターに建設された模擬トンネル(2022年1月竣工)全景

「自動装薬システム」は、切羽(きりは:トンネル掘削の最先端箇所のこと)に作業員が立ち入ることがなく、自動的に発破を装填できるようにしたシステムだ。これらの機構自体の動作や各機構の連係動作に関する制御に、「V-Sido」が採用された。

「自動装薬システム」については、前田建設工業株式会社のICI総合センターに建設された模擬トンネルで実証実験が行われ、その基本性能が確認されており、同社は、今後もさまざまなジャンルのさまざまな企業にV-Sidoを提供し、その普及に努めていくと述べている。

「V-Sido」による自動装薬システムの制御画面



■自動装薬システム:ドリルジャンボのガイドセルに搭載され、①親ダイ供給機構、②位置合わせ機構、③送出し機構、④増ダイ供給機構で構成されている/※ドリルジャンボ:発破削孔やロックボルト削孔が可能なトンネル専用の削岩機 ※ガイドセル:ドリルジャンボのアーム部 ※親ダイ:発破孔最奥に装填される雷管を取り付けた起爆用爆薬 ※増ダイ:親ダイに続いて装填される爆薬




「自動装薬システム」の開発について

一般的な装薬方法は、5名程度の作業員が切羽直下に立入り、数多くの装薬孔に火薬類(親ダイ、増ダイ、込物の順)を人力で装薬する。このような装薬作業中に切羽から落下した岩石が作業員に激突する、切羽肌落ちによる重篤災害が後を絶たない。
切羽肌落ち災害は山岳トンネル特有の労働災害であり、統計上、鋼製支保工建込みや装薬作業中の被災事例が最も多い(全体の約8割)。厚生労働省が策定した「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン(2018年1月改定)」においては、機械化による事故防止対策が要望されているため、前田建設工業は切羽に作業員が立入ることなく、装薬可能な「自動装薬システム」を開発。前田建設工業のICI総合センター(茨城県取手市)建設した模擬トンネルにて実証試験を実施し)、同システムの基本性能を確認した。

模擬トンネル内に配備された状態のドリルジャンボ




模擬トンネルでの実証実験について

全自動ドリルジャンボ(「ROBOROCK」:古河ロックドリル製)と同システムを搭載した自動装薬機をデータ連携することで、運転席からオペレータ1名の操作のみで削孔から装薬の自動化を実現する。これにより、作業員が切羽に立入ることなく装薬作業をすることが可能となり、発破作業の安全性向上および生産性向上が期待できるため、同システムを搭載したドリルジャンボを模擬トンネル内に配備し、一連動作の実証試験を実施した。

一連動作の実証試験状況



▼実証実験結果

親ダイ供給機構 50本の親ダイ(1~10段×5本)を供給可能(3ブーム×50本=150本供給可能)
位置合わせ機構 センサーやカメラで装薬孔φ45mmを認識し、パイプ位置合わせや角度合わせが可能
送出し機構 親ダイ供給機構から自動装薬用親ダイの取出し、および、孔奥への親ダイ装薬が可能
増ダイ供給機構 含水爆薬やANFO爆薬を想定した粒状爆薬を装薬孔内に隙間なく装薬が可能
システム全体 各機構の連携により自動で装薬孔(φ45mm,L=1.0~2.0m)に親ダイ・増ダイを装薬可能

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ロボスタ編集部

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