トヨタの港湾物流業務DXの実証実験にソフトバンクの「AI-OCR」と高精度測位サービス「ichimill」を採用

ソフトバンク株式会社は、トヨタ自動車株式会社が実施する港湾物流業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を目指す実証実験に、ソフトバンクの「AI-OCR」(光学文字認識)技術と高精度測位サービス「ichimill」(イチミル)が採用されたことを発表した。

トヨタ自動車の実証実験は、港運事業者向けに、コンテナ輸送の最適化を支援するクラウドサービスシステムを構築するもの。
港運事業者の協力の下、2021年から名古屋港において実施されている。従来、海上コンテナの陸上輸送を行う際には、担当者がコンテナや梱包資材、書類に書かれた情報を目視で確認後、紙に記載し、その情報を踏まえて、経験や勘などに頼って車両やドライバーの手配を行い、関係者に無線などで連絡して物流管理をしていた。

今回の実証実験では、ソフトバンクのAI-OCR技術を活用し、文字情報を自動認識させてデータ化する。また、高精度測位(位置情報)サービス「ichimill」(イチミル)を活用して車両の位置情報を把握し、さまざまな情報を基に最適な配車が行われる。
更に、クラウドサービスシステムを通して、倉庫の担当者ともデータを共有し、輸送と荷役作業の連携を実現する。配車業務をデジタル化することで、コンテナ輸送業務の最適化や業務効率化を図る。


「AI-OCR」技術でコンテナや輸送書類、封かんシールを読み取り

ソフトバンクのAI-OCRは、AIを活用した画像の補正技術が組み込まれており、十分な明るさがない場所でも、スピーディーで高精度な文字認識ができる技術を活用している。また、非定型帳票に対応しているため、看板や標識のような表面に凹凸がある物に書かれた文字の認識もできる。今回の実証実験では、担当者がスマートフォンのカメラ機能を使って、コンテナや輸送書類、封かんシールを撮影し、その画像から自動的に文字を認識させてデータ化を行う。


「ichimill」で車両の位置情報をリアルタイムに把握

GNSSの信号を利用したRTK測位により、高精度な測位が可能な「ichimill」(イチミル)を活用して、車両の位置情報をリアルタイムに把握する。「ichimill」は、5種類の衛星に対応しており、それぞれ2周波以上の信号を一度に受信できるため、測位の演算時間が短く、車両の位置をスピーディーに高精度で把握できる。また、ソフトバンクが全国3,300カ所以上に設置している独自基準点を利用するため、顧客側で基準点を事前に設置する必要がなく、スムーズに利用できるとしている。

ソフトバンクは「AI-OCR技術や「ichimill」の提供を通して、物流管理業務のデジタル化の支援を行い、港湾物流業務のDXの推進に貢献していきます」と語っている。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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